パリ20区歩き ―4区―

4区位置

 
久しぶりに中心部へ戻ってきた。4区のみどころといえば、なんといってもノートル・ダム大聖堂だけど、実はここより向こうへはあまり行ったことがない。いつも観光客にあふれている小さな区の奥には、どんなパリがあるんだろうか。

スタートはそのノートル・ダム大聖堂。セーヌ川沿いに立つ、パリでもっとも有名な観光スポットの一つ。約180年かかって14世紀に完成したというゴシック様式の建物は、さすがに見応えがある。中も広くて面白いし、独特の厳かな雰囲気が漂っているのだけど、いつ行っても旅行者だらけなのはもうしょうがない。
 

ノートル・ダム

 
もちろん、塔にも上れる。怪物をイメージした像、ガーゴイルとともに見るパリの景色は、ここにしかないもの。上から見ても、本当にきれいな街だ。
 

 
ちなみに、ノートル・ダム大聖堂があるのはセーヌ川の中州で、シテ島と呼ばれている。小さいけれど上の地図で“島”になっている部分の左(西)側がそう。このシテ島には花のマルシェもあって、散歩がてらのぞくとなかなか楽しい。
 

 
ここから川を渡って北へ向かう。橋から見えるのは、マリー・アントワネットが処刑される前の数カ月を過ごした独房が残るかつての王宮、コンシェルジュリー。同じくシテ島にあるけれど、正確にはこれは1区になるらしい。
 

コンシェルジュリー

 
しばらく歩くと見えてくるのはポンピドゥー・センター。国立近代美術館として知られているけれど、映画館や図書館も入っているとのこと。去年、入館料無料の第一日曜に一度、美術館に入ったものの、やっぱり近代アートはあまり好きじゃなかった。
 

ポンピドゥー外観

 
ポンピドゥー・センターのすぐ近くにあるのが、居心地のよさそうなカフェ、ダム・タルティーヌ。エリック・ロメールの映画『パリのランデブー』第1話のラストシーンに使われたお店で、確かに見覚えがある。主人公たちは確か、向かって一番右側に座っていたんじゃなかったかな。
 

ダム・タルティーヌ

 
続いて、これもポンピドゥー・センターから至近距離にあるレクリトワールという文房具屋へ。小さな店内には、使いやすそうなノートやかわいらしいカードなど、紙好きなら思わず手に取ってしまうアイテムがいっぱい!こういうショップって日本なら女性客が多いものなのに、パリでは年配の男性も普段使いしているようで、このときも何人か見かけた。日本人の感覚で“かわいい”“おしゃれ”と思うものでも、こちらの人にとってはきっと普通なのだ。
 

 
少し南へ下ると、ロベール・ドアノーの写真で名高いパリ市庁舎が堂々とした姿を現す。あのイメージと変わらず、街並みに調和する優雅な佇まい。これが役所だとは、さすがヨーロッパ。
 

市庁舎外観

 
実はここには一度、入ったことがある。毎年9月に「文化遺産の日」というのがあり、普段は見学できない大統領官邸や国会などの歴史的建造物が無料公開されるのだけど、去年これを利用した。内部もまるでお城のような豪華さ。こんなところで働いているから、フランスの公務員はせかせかとした気持ちにならず、仕事が遅いんじゃないかと考えてしまう。
 

 
すぐ近所にはデパート、ベー・アッシュ・ヴェーがある。ここは日本でいうとLOFTや東急ハンズの高級版みたいなイメージ。旅行用品や生活雑貨が豊富。
 

BHV

 
さてここからは、東側に向かって広がる4区内を足の向くまま散策。細い路地があちこちにあって、全部通りたくなってしまう。気になる小さなブティックも点在し、足を止めて眺めながらこの辺りの雰囲気を楽しむ。足取りも軽く、どんどん進んでいきたい気分。歩いているだけで楽しいエリアがここにもあった。
 

 
小さな通りに誘われながら進んでいくと、3区に面した北端に気持ちのよさそうな公園を発見。ここはヴォージュ広場というのだけど、こんなにきれいな場所が隠れていたとは。周囲に立つ赤レンガの建物には、かつて貴族や政治家などが住んでいて、中にはあの作家、ヴィクトル・ユゴーもいたそう。それが信じられるような品のある雰囲気が今もあるのは、パリのすごいところ。
 

 
南側に向かって戻る途中、骨董店が集まるヴィラージュ・サン・ポールに寄り道。残念ながらこの日は閉まっているお店が多かったのだけど、日本にいるときとは違って古いものが価値のあるものに見えてしまうのは不思議。
 

 
セーヌ川まで戻ってきた。川沿いはパリで好きな場所の一つなのだけど、12区に近いこの辺りは静かで、本当に住民の憩いの場というかんじ。絵葉書のような風景。こんな景色が毎日、家から見えたら素敵だろうなあ。
 

 
最後に、中洲の右(東)側、サン・ルイ島を見ていこう。庶民的な雰囲気はなく、ここも観光スポットの一つになっているよう。街並みはパリそのもので、遊びにくるには楽しいのだけど、住み心地はどうなんだろうか。そういえばこのサン・ルイ島にはベルティオン・サロン・ドゥ・テという老舗のアイスクリーム屋があり、このときは閉まっていたものの、1カ月ほど前に同じクラスだった日本人の女性と再チャレンジ。思ったより濃厚でおいしかった!
 

 
小ぢんまりとした中に、みどころがギュッと詰まった4区。パリのイメージ通りの建物が続く街並みは昔ながらの趣きを残しつつ、そこにある小さなショップからは今どきのセンスやこだわりが感じられ、さらには居心地のいい広場やセーヌ川もあって、パリのいいところが凝縮している。中心部なのに奥は意外と観光客が少なく、高級感がありすぎず親しみやすいのがいい。これまで4区に住むことなんてまったく考えたことはなかったのだけど、ここで毎日過ごせることになったらかなり楽しそう。新たに楽しい場所を発見できて、4区歩きは大満足。

 

骨董店でくつろぐ猫
骨董店で猫がお出迎え

 

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