パリ20区歩き ―9区―

9区位置

 
右岸と呼ばれるセーヌ川の北側の地区には普段の生活でほとんど行くことがなく、未だによく知らないエリア。中心部から少し離れただけの9区もめったに足を踏み入れない地区で、未知の領域。パリを代表する建物の一つ、オペラ・ガルニエがあるのがこの9区なのだけど、これは南側の2区に近い場所にあるから、もっと奥にある世界を見てみたい。ということで、9区歩きは18区に近い北側からスタート。

通りを一本渡ればモンマルトルのサクレ・クール寺院に続いていくので、すぐ近くにその姿をとらえることができる。こぢんまりとしたパリでは、このサクレ・クールやエッフェル塔がけっこう遠くからでも見えて楽しい。

 サクレ・クール

 
18区の方を向いて立つのは、今年最初に見た映画の監督で、日本でもおなじみのフランソワ・トリュフォーが通ったというリセ(高校)、ジャック・ドゥクール。亡くなって30年以上経っても日本でときどき特集上映をやっているし、こちらに来てからも何本も見直したから、今では個人的にすごく思い入れのある監督になった。
 

 
ここは去年、パリカト(パリ・カトリック学院)の秋学期最終日の授業で見た『プチ・ニコラ』が撮影された学校でもあるそうで、なんとこの9区歩きをした日の夜、偶然にもテレビで放映していたからまた見てしまった。外側から見ただけでは中がこうなっていることは分からないのだけど、なかなか雰囲気があってよさそう。
 

 
この学校の近くにあるのがリノ・ヴァンチュラ広場。往年のフランス映画ファンなら彼のことはよく知っているだろうけど、こちらに来てフランスでも人気のある俳優だったのだということを知った。『冒険者たち』は見ていたけれど、パリの映画館でいろいろな作品に出会って、今では私も大好きな俳優の一人。トリュフォーと同じく、もうだいぶ前に亡くなっているのが残念。でもこうやって、フランス人に愛された彼の名前は街の一部として刻まれている。

 リノ・ヴァンチュラ広場

 
広場から南へ続くマルティール通りには、おしゃれなショップやカフェが並んでいて、歩いているだけで楽しい。坂道になっているところが、少しモンマルトルの雰囲気にも似ている。両側の景色に目と心を奪われながら、一気に下まで。
 

 
下りてくると、素敵なパッサージュを発見。入っているお店はまあ普通なのだけど、思わず通ってみたくなる誘惑には勝てない。風情あるノスタルジックな装飾が、パリの街並みによく合う。抜けるとまたパッサージュ、と思ったらもう2区だった。
 

 
ここから西へ向かうと、いよいよ華麗なオペラ・ガルニエが登場。去年、一度だけバレエを見にいったけれど、パリにいる間にまた入ってみたい。正面から建物に沿って歩いていくと、チケット売り場の入り口がある。
 

 
少し南側には、バレエ用品で有名なショップ、レペットも。正確には2区になる。通りに面したショーウィンドウにはたくさんのトゥ・シューズが飾られていて、よく見ると実際にこれらのシューズを使っていたオペラ座のエトワールたちのサインとメッセージが添えられているよう。これはバレエ好きなら思わずじっくり見入ってしまう素敵な趣向。私自身も愛用している一般のお出かけ用のバレエシューズやバッグもあるのだけど、雰囲気は日本のショップに比べると少し高級感があって、スニーカーだとなんとなく入りにくい。

 レペット

 
さて、このオペラ座のすぐ近くにあるのが、日本人観光客にも人気のデパート、ギャラリー・ラファイエット。ヨーロッパ最大級の広さだそうで、もちろんショッピングを楽しむのもいいけれど、豪華な内装も必見。どこかで見たようなこの景色・・・そう、まさにガルニエ宮のようなきらびやかさ。カフェでゆっくりラグジュアリー感を味わうのもあり。
 

 
おととし、パリカトの映画の課外授業で来たときは、大きなクリスマスツリーが飾ってあった。
 

 
そしてもう一つ、ここに来たら見逃せないのが、屋上からの景色。すぐ目の前にあるオペラ座、遠くからでも目立つエッフェル塔、そして隣の18区にあるモンマルトルと、パリらしい眺めが楽しめる。
 

 
ギャラリー・ラファイエットを出てさらに少し歩き、西端まで来ると、こちらも有名なデパート、プランタンが堂々とした姿を現す。ここにはまだ入ったことはないけれど、ショッピング好きなら外せないスポットなんだと思う。

 プランタン

 
華やかなエリアを離れて住宅街を歩いてみよう。明るくてなかなかいい雰囲気。庶民的すぎずハイクラスすぎず、毎日忙しく過ごしながらも人生を楽しんでいるパリの人たちの生き様が伝わってくるよう。パリのイメージにふさわしく、ちょっとすました感じはあるのだけど、活気があって洗練された7区ともまた違い、もっと素のパリに近いのかも。
 

 
中心部から少し離れた右岸、その場所だけでこれまであまり興味がなかった9区だけど、実際に歩いてみると意外になかなか楽しかった。素敵なお店が立ち並ぶ通りはそれだけでわくわくするし、デパートが近くにあるというのもポイント。ここで生活したら、パリにいる実感が毎日味わえそう。面積が広くなる2桁の区に比べると、こぢんまりしていて歩きやすいのも魅力。パリ市内に住むなら、9区も選択肢の一つになり得るかも。

 

女の子
小さなパリジェンヌに出会う

 

その他の区はこちら。
1区2区3区6区7区8区10区12区14区16区18区19区

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください