パリ20区歩き ―8区―

8区位置

 
パリはみどころが本当に多い街だけど、この8区もまた絶対に外せない。多くの人が思い浮かべるパリといったらこの地区なんじゃないだろうか。ちなみにここを歩いたのはもう半年以上前の秋なので、写真に秋の気配が漂っている点はご了承を。

まずは16区、17区との交差点にある凱旋門前に行ってみると、ものすごい数の観光客。よく見ると展望台にも人がいっぱいだ。この壮大な凱旋門はナポレオンの命によって建てられた戦勝記念碑で、今では無名戦士も祭られているとのこと。誰もが知っている観光スポットであると同時に、フランス国民にとっても大切な場所なんだろう。そういえば、マクロン新大統領の就任セレモニーにここが含まれていたのも印象的だった。
 

凱旋門就任セレモニー

 
ここから続くシャンゼリゼ大通りは、まさに華やかなパリのイメージそのもの。行列のできるブティック、多くの人でにぎわうカフェのオープンテラス、地図とカメラを持って歩く大勢の観光客たちなどを眺めながら歩くだけで、パリにいる実感が味わえる。シャンゼリゼ大通りといえば、なんといってもゴダールの『勝手にしやがれ』だけど、さすがに映画の中の印象とはかなり違う。今ではほとんど観光客しか歩いていないと言ってもいいぐらいかもしれない。
 

シャンゼリゼ通り勝手にしやがれ

 
にぎやかな雰囲気を楽しみながら歩いていくと、向かい合って立つグラン・パレ国立ギャラリーとプティ・パレ美術館が見えてくる。どちらも1900年のパリ万博の際に展示品会場としてつくられたとのこと。建物自体にも価値があるけれど、特にプティ・パレの方は、私の好きなモネやセザンヌの作品、18世紀の装飾品などが常設展示されていて、なんと無料だそうだから、あらためてじっくり訪れてみよう。
 

左:グラン・パレ国立ギャラリー 右:プティ・パレ美術館

 
さらに進むと、オベリスクがそびえるコンコルド広場に出る。フランス革命時にはここにギロチンが設置され、ルイ16世やマリー・アントワネットが処刑された。今では想像できないけれど、美しい街にも激動の時代があったのだ。

 
コンコルド広場

 
ここから少し北に行くと、ギリシア神殿風のマドレーヌ寺院がその堂々とした姿を現す。これは本当に大きくて、歩いて通り過ぎるだけでもけっこうかかる。19世紀に完成したという歴史的な建物が街並みに溶け込んでいるのもパリの特徴。
 

マドレーヌ寺院

 
南に戻ってセーヌ川に出ると、パリでもっとも美しい橋と言われるアレクサンドル3世橋が目の前に。確かに、黄金の彫像がきらびやかでほかの橋とは違う。セーヌ川にかかる橋は全部で37あるそうだけど、それぞれ異なる雰囲気があって、比べてみると面白い。
 

アレクサンドル3世橋

 
アレクサンドル3世橋からはセーヌ川に沿って気持ちのいい散歩道が続いている。歩いていくにつれ、川を渡った対岸の7区にあるエッフェル塔がどんどん近づいてきて、それこそ映画のワンシーンのよう。
 

 
セーヌ川沿いの景色を堪能したら、またシャンゼリゼ大通りの方へ。この辺りにはハイブランドのファッションブティックが多く、こういうところで買い物するのが好きな人にはたまらないだろうと思う。
 

 
女性でも楽しめるという美しいストリップショーが見られるクレイジー・ホースには、スピルバーグやビヨンセもよく遊びに来るとか。こういうナイトクラブって日本にはなかなかないから、パリにいる間に一度は入ってみたいのだけど、トップダンサーたちのショーとあって料金もそれなりにするらしい・・・。
 

クレイジー・ホース

 
シャンゼリゼ大通りを北側に少し越えた凱旋門近くには、これもまたハイクラスのゲストに向けた高級ホテルが立ち並ぶ。落ち着いた閑静な雰囲気はさすが。あの印象的な映画『ディーバ』でオペラ歌手が泊まったホテルもこの辺り。数々の有名人も宿泊者リストに名を連ねるというこのホテルは、映画の世界観そのままにエレガントで静かな佇まい。

 ディーバのホテル

 
東に向かい住宅街に出ると『死刑台のエレベーター』で主人公が閉じ込められた建物も。携帯電話がある現代では成立しないストーリーだけど、マイルス・デイヴィスのサックスも忘れがたいクールな作品。もう少し北に上がると日本大使館もある。
 

死刑台のエレベーターのビル

 
そして8区の一番北の端、モンソー公園で休憩。ここは観光客がそれほど多くなく、地元の人たちの日常をのぞくことができる。こんな風に子供たちがのびのびと遊べる大きな公園がたくさんあるっていい環境だ。日本みたいに小さな公園というのはパリではあんまり見ない。
 

 
最後に、東端にある国鉄SNCFのサン・ラザール駅まで行ってみた。パリでもっとも古いターミナル駅で、モネが連作の題材としたことでも知られる。残念ながら、パリではよくある工事中という状況のため、外観は看板で覆われていたのだけど、中も何年か前に改装されたそうで、約70のショップが入る大きなショッピングモールになっている。今のところこの駅を使う予定はないけれど、知らない人たちであっても、不安と期待の詰まった出発の風景というのはいいものだ。
 

 
 
華やかで、エリア全体が観光客のためにつくられているような8区。セーヌ川を挟んだ左岸とはぜんぜん違う、右岸のエッセンスが凝縮したような地区。それだけに楽しいスポットもたくさんあるけれど、毎日これだとちょっと疲れそう。観光で来るならおもしろい場所だけど、住んでいる人にとっては時々でいいのかも。

 

シャンゼリゼ+凱旋門
これぞまさにパリを象徴する景色

 

5月24日「再び期末テスト」の中で、フランスは6月から夏休みと書いたけれど、通常は7月からのようなので訂正。さすがにそんなに早くはなかった。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください