パリ20区歩き ―19区―

19区地図

 
日本で長年住んでいた大阪市に比べると半分ほどの大きさしかないパリ。端から端まで移動するのも、メトロを使えばほんの短時間で可能なぐらい小さな街なのだけど、生活圏から外れた場所へはほとんど行くことがないし、19区は未知のエリア。距離は近くても、ここではまた違ったパリの表情を見ることができる。

観光客でにぎわう隣の18区モンマルトルとは対照的に、19区には有名なスポットは特にない。このエリアの特徴は、ピクニックにぴったりの広い公園と運河沿いの散歩道。まあこれまでにも書いてきた通り、パリには大きな公園や気持ちのいい散策コースが他にもたくさんあるのだけど、この地区にあるものはなかなかユニーク。

まずは19区の北東に位置するヴィレット公園へ。ここはパリで最大の緑地だということで、なるほど歩いてみるとだいぶ広い。例によって太陽の下でのんびりと過ごす人たちの姿があちこちに。こういう景色、パリでは本当によく見る。
 

 
園内はきれいに整備されていて、科学産業博物館やコンサートホールなど大きな建物が点在している。そのせいか、ちょっと人工的な雰囲気がただよっていなくもない。夏には野外でのフェスティバルや映画上映なども行われるそう。
 

 
ヴィレット公園をひと回りしたあとはウルク運河に沿って西へ向かう。普段見ているパリとは違う風景が続き、同じ街じゃないような気がしてくる。
 

 
運河の先はバッサン・ドゥ・ラ・ヴィレットと呼ばれる大きな池になっていて、ここにも散歩コースが設けられている。元々は、運河を通って運ばれてきた穀物などを荷揚げするために造られた波止場とのこと。池ではアクティビティを楽しむ子供たちがたくさん。
 

 
池に沿ってさらに進むと、両岸に映画館mk2が見えてくる。1878年のパリ万博で使われた建物を再利用しているそうで、こんな自然の中にあっても違和感がない。mk2はパリのあちこちにあるシネコンなのだけど、場所によってはすごく小さくて独自のプログラムを組んでいるところもあり、常にチェックが必要。6区にあるmk2では、8月から9月にかけてトリュフォーの特集をやっていたので、ほぼ毎日通っていた。
 

 
端まで歩き池を見下ろすと、ちょうど観光客を乗せた遊覧船が通るところ。門の前で水量を調節する光景は、10区で見たものと同じ。池の向こうのヴィレット通りを越えるとその10区、サン・マルタン運河に出る。
 

 
ここから南東に向かい、今度はビュット・ショーモン公園へやって来た。今年見たエリック・ロメールの映画『飛行士の妻』に出てくる公園はここだそう。これを見たのは初めてだったのだけど、ロメールらしい素敵な作品で、緑が多い公園のシーンは特に印象的だった。
 

 
さっきのヴィレット公園よりナチュラルな感じがするけれど、ちょっと変わった風景も見られる。起伏が激しく、滝や吊り橋もあり、アスレチックスポットのような雰囲気。こういうのはパリにはなかなかないから、意外に楽しい。
 

 
一番高い場所には展望台があって、園内と街の眺めが楽しめる。こんな風に、緑と大きな建物のコントラストが見られるのって都会ならでは。客観的に観察すると面白い。
 

 
ちょっと街歩きもしてみなければ。観光客がいないからゆったりした空気が流れていて、地元に住んでいるであろう人たちの何気ない姿が興味深い。それに、ガイドブックには載っていないかわいらしいお店に偶然出会うことができるのも楽しいし、パリにいることを思い出させてくれる四角いアパートを見るとうれしくなる。ただ、2つの公園と散歩コースに時間を割いてしまい、このエリアならではの雰囲気をあまり感じることができなかったのは残念。
 

 
 
イメージとは少し違うパリを感じながら、ゆったりと、またはアクティブに楽しめるのが19区。これはこれで面白いし、観光客がほぼいないのもいいのだけど、個人的にはあまり好きじゃなかった。チュイルリーとかリュクサンブールとか、外国人であふれていてもやっぱり趣きのある公園の方がいいし、散歩するにしてもサン・マルタン運河の方が気持ちいい。ただ、あくまでもこの日歩いてみただけの感想なので、毎日通えばまた違った印象になるんだろうと思う。でも、これまで知らなかったパリを発見できたことには満足。

 

船が通るときだけ上がる可動橋

 

その他の区はこちら。
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2件のコメント

  1. こんにちは。

    良い写真をたくさんアップされてますね。
    観光スポットがないとされつつ、きれいな公園が結構あるのですね。

    私は住んでいた中学時代は、19区には全く用事がなかったので
    おそらく1回も足を踏み入れなかったと思いますが、こうして見ると
    わりと感じの良い区ですね。

    ちなみに私が住んでいたのは日本人駐在員が多いとされている16区です。
    ここも目玉の観光スポットは少ないですが
    近くに東洋美術を展示するギメ美術館がありました。

    いつかこちらのブログで紹介されることがあれば、きっと懐かしく感じると思います。
    ささやかながら期待しております(笑)

    1. コメントありがとうございます。
      この日は残念ながら途中から曇ってきたのですが、少しでも雰囲気が伝わったのであればよかったです。観光スポットがない区は行くことも少ないですが、歩いてみると興味深いですね。
      もう街歩きはほぼ終わっているのですが、なかなか更新が追い付かず・・・。でも実は、偶然にも次回は16区を予定していました!ここも楽しかったです。ギメ美術館についても書く予定なので、気長に待っていてくださいね(笑)

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