フランスで確定申告する

会社員だった日本では、無職の時代に1度やっただけの確定申告。ところがフランスでは、なんと源泉徴収という制度がなく、自営業者はもちろん、サラリーマンも主婦も学生も、誰もが確定申告しなければいけない。さらに、日本なら一定の収入がなければ無申告でいいけれど、こちらでは収入なしでも申告が必要。フランス国民だけでなく、留学生にも申告の義務があるから、当然私も対象になる。毎年5月が確定申告の時期で、先週なんとか終えた。

申告は、1月1日に居住していた場所をもとに課され、前年1~12月までの所得が対象。私は今年1月1日にこのアパートに住んでいたから、この地域で去年1年間の所得を申告することになる。フランスに来る前に制度は知っていたものの、去年はうっかり忘れていて、締め切り期間をだいぶ過ぎてから思い出した。ただ、今もらっている住宅補助アロカを管理するCAFから申告するよう通知があり、ネット上にあるCAFの自分専用のページで済ませた記憶がある。

本来、この確定申告をもとに住民税が計算され、夏から秋にかけて支払い通知が届くらしいのだけど、去年はこれが来なかった。まあ収入がないし、調べた限りではどうも留学生の場合、3年間は無課税という決まりがあるようなので、税務署のミスではないと思う。このアパートが学生専用であることも関係しているのかも。このかんじでは、このまま申告しなくても通りそうな気もするけれど、一応義務なのでちゃんとやっておこう。

申告はネットでもできるのだけど、初めての場合は指定の用紙でする必要がある。用紙は専用のホームページからダウンロードするか税務署に取りに行くかで、私はよく近くを通る6区の税務署で入手。自分の地域の管轄税務署より近いし、どの紙をもらえばいいのか直接聞きたかったから。というのも、所得の種類によって申告用紙が異なり、外国人にはかなりややこしいのだ。
 

6区税務署

 
この確定申告に関しては、ネット上で探し回っても詳細な情報がなかなかなくて苦労した。フランスでの収入はゼロだから簡単だと思っていたのだけど、どうも生活費として日本から送金した場合も申告する必要があるということが分かり、これが頭を悩ませた一番の原因。すでに日本で税金を払い済みの貯金だから、この分は別の用紙に書かなければいけない。つまり「フランスでの収入がない」という申告と、「日本で課税済みのお金を送った」という申告を別々の紙で同時にしなければいけないことになる。少ない情報で得た知識をもとに、結局、税務署に2回行き、2枚の用紙をもらってきた。
 

申告用紙

 
青がフランスでの収入を申告する用紙、赤が外国で課税済みの収入を申告する用紙。でも、ようやくこの2枚を入手したものの、今度は書き方が分からない。青い方は全部0と記入するだけなので問題ないけれど、赤の方はたくさん欄がある。どこに送金額を書くんだろうか。さすがにお金のことなので適当にするわけにもいかず、直接行って聞いてみることにした。それにしても、パリ市内なら各区に税務署は1つしかないはずなので分かりやすいのだけど、私が住んでいる郊外のこの地域にはいくつかある。滞在許可証更新時の役所も間違えて大変なことになったけれど、どの税務署に行けばいいのかを調べるのもまたひと苦労。同じ地域内とはいえ、ここも家からけっこう時間のかかる管轄署へ向かう。
 

管轄税務署

 
前の日にテレビのニュースで見たほどではないものの、けっこう並んでいる。この日は締め切りの前日で、大勢の人が殺到。中へ入ると50人待ちでうんざりしたけれど、まあ待つのは慣れている。でもこうなるのは、税務署のせいなのだ。本当はもっと早く行きたかったのにこの前の週、つまり5月2週目は火曜と木曜が祝日で、税務署はなんと丸々1週間休み。だからギリギリになってしまった。なんでこんな忙しいときに、連休の谷間(しかも3日!)を休みにするんだろうか。ただ面白いこともあり、待っている間スマホを見ていたら、横に座っていたおばさんが「そのスマホ、電卓ある?」と聞いてきて、計算してあげたら「ありがとう!もう私はこれで大丈夫だから、この番号札あげるわ」といって若い番号を譲ってくれたので、ちょっと早めに窓口へたどり着くことができた。こういう光景、こっちではよく見かける。

今考えれば、私の質問はどこに書けばいいかだけだったので、その辺にいた職員に聞いてもよかったのかもしれない。窓口のお姉さんに教えてもらって記入し、そのまま提出したけれど、なんかあの書き方だと去年働いて収入があったように見える・・・。自分の貯金を送金しただけなのに、あれでよかったんだろうか。人が多かったからあんまりゆっくり聞く余裕がなかった。周りに立っていた職員に聞けば、もっと丁寧に教えてくれたかも。フランスは役所仕事が最悪なことで有名だけど、税金を払おうとしている住民に対して税務署だけは親切だと聞いていたのに、別に普通だったし。

早速、心配になっている。まあ住民税は免除されるだろうけれど、あの額だったらアロカは所得制限に引っかかって、打ち切られるんじゃないだろうか。滞在許可証を更新するときにはそれなりの貯蓄があることを求められるのに、生活資金として必要最低限の額を送ったら手当が出ないって、矛盾している。でも、送金額を申告してアロカの支給が止まったという話は聞いたことがないから、みんな知らないか、額が少ないか、虚偽申告で通しているんだろうと思うけど、見つかったら罰金だし、やっぱり正直に申告しておきたい。もし打ち切りになったら、また交渉しないといけないんだろうなあ。めんどくさい・・・。

でも、日本では当たり前の源泉徴収、珍しい制度なのかと思っていたら、やっぱりヨーロッパでも採用している国が多数派みたいで、フランスでも来年1月から始まることになっているそう。だって、住民全員の収入をチェックするって、どう考えても無理があるんじゃないだろうか。

 
申告に当たって参考にしたサイトはこちら:
フランス/パリ滞在質問箱
http://okamotohirotugu.blog130.fc2.com/blog-entry-494.html

http://okamotohirotugu.blog130.fc2.com/blog-entry-315.html

 

追記:その後、思っていた通り住民税は免除されたものの、アロカは打ち切りになった。でも、いろいろ考えて異議申し立てはしないことにした、という話はこちら

再追記:アロカが打ち切りになったのは引っ越してCAFの管轄が替わったからのようで、その後、新たに申請し直すと、額は減ったものの支給が復活。

 
 
ケーキセット

気になっていたカフェでのんびり・・・する前にやっておけばよかった

 

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2件のコメント

  1. こんにちは、はじめまして。

    ブログ、拝見させていただきました。
    私も現在パリに滞在しており、
    去年の9月から学生ビザで滞在中です。

    そして、アロカシオンを受給しているのですが、今年確定申告のことを知らずに提出できておらず、そのままでした。
    すると一昨日ぐらいにCAFから
    「私たちは税務サービスから収入を回収することができませんでした。 2019年1月1日現在のあなたの権利を計算するには、あなたの2017年の資源を知る必要があります。」
    と知らせが来ました。

    上記に書いていらっしゃった、
    「去年はうっかり忘れていて、締め切り期間をだいぶ過ぎてから思い出した。ただ、今もらっている住宅補助アロカを管理するCAFから申告するよう通知があり、ネット上にあるCAFの自分専用のページで済ませた記憶がある。」
    というのは、どのように処理されたのでしょうか?

    突然の質問で申し訳ございませんが
    ご回答いただけると助かります。

    どうぞよろしくお願いいたします。

    1. こんにちは。ご訪問ありがとうございます。
      ほぼ記事の記述通りになるのですが、CAFの自分専用のページに収入を申告する欄があり、そこに金額を記入しました。それ以外に紙での申告などはしていません。
      申告していない人はおそらくたくさんいると思いますし、CAFは対応も割と早くすべてネットでやり取りできるので、あまり心配しなくても大丈夫だと思いますよ!

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