パリ20区歩き ―11区―

11区位置

 
中心部からそれほど離れていないのに、特に観光スポットがなく、みどころの多い他の区に囲まれて埋もれがちなのが11区。10区や12区と違って国鉄の駅もないし、このときまで足を踏み入れたことがなかったと思う。ここには一体何があるんだろうか。こういう、観光客とは縁のなさそうなエリアほど、興味をそそられる。

もうおなじみの場所、4区・12区との境にあるバスティーユ広場からスタート。東へ向かって少し歩き、左へ曲がってシャロンヌ通りへ入る。ここから伸びる小さなパッサージュにはかわいらしいショップが集まっていて、女子なら見逃せない。1軒のぞいてみた雑貨屋さんも、なかなかセンスのいい品ぞろえ。たまにこういうのを見ると、やっぱりワクワクする。
 

 
たくさんの人で賑わっているのが、有名なアーティストたちにも人気だというポーズ・カフェ。セドリック・クラピッシュの『猫が行方不明』に登場するらしいのだけど、この映画はだいぶ前から見たいと思いながらまだ機会がないので、こちらにいる間にスクリーンで見られることを願っている。この監督のヒット作といえば、何といっても『スパニッシュ・アパートメント』。これはフランス人もよく知っているのだけど、去年パリで見た『ce qui nous lie』(日本未公開?)もよかった。
 

ポーズ・カフェ

 
このシャロンヌ通りには、他にもカフェやブティックが立ち並んでいて、ショッピングエリアになっている。街を歩いている人もおしゃれ。3区のマレと似ているけれど、こちらは観光地化しておらず、地元の人たちが食事やショッピングを楽しんでいる雰囲気。買い物をするならこの辺りの方が、よりパリジェンヌらしいファッションアイテムやライフスタイル雑貨が見つかるかも。
 

 
途中、石畳の細い道を発見。商店街になっていて、日曜でほとんどが休みだったもののたくさんの飲食店がある。中でも特に目についたのは寿司店。寿司はこちらではすっかり日常のメニューで、店の前に行列ができていることも多い。パリで食べたことはないから本当の寿司なのかどうかは知らないけれど、ヨーロッパの他の国やアメリカでも寿司はかなりポピュラーになっているよう。日本人としてはうれしい反面、本来は高価な寿司がこれだけ世界で一般的になるっていうのはちょっと複雑。
 

 
続いてやって来たのはケラー通り。ここはかなり特殊。というのも、日本のアニメや漫画関連のショップが集中しているのだ。コスプレ用のゴスロリ系衣装なんかもショーウインドウに飾ってあって、とてもパリとは思えない。この風情ある歴史的な街並みにはまったく合わないのだけど、日本のアニメもまたフランスで大人気だから、こういうショップがどんどんできていくのも自然な流れなのかもしれない。でも・・・これはさすがに残念。
 

 
ここから北東へ向かって歩く。それにしても、本当にパリにはカフェが多い。天気がいい日はもちろん、雨の日でも雪の日でもテラス席に座っている人が必ずいる。この景色がなければ、パリがここまで多くの人を魅了することはなかったかも。
 

 
感じのいい通りを歩いて東端、20区との境までやって来た。メトロのメニルモンタン駅から向こう側は、20区のメニルモンタン通りに続いている。このメニルモンタンというエリア、パリジャンやパリジェンヌには住みたい場所として人気だそうなので、また20区の回で詳しく。
 

メニルモンタン広場

 
西へ戻り、最後は10区のサン・マルタン運河から続く散歩道へ。少し外れるとカラフルなアパートも多く、いつもながら建物を観察しながらあちこち寄り道。パリにあるのはオスマン様式の建築物だけではないのだと分かってきて、以前のイメージとはだいぶ違っていたことに気づく。
 

 
11区は観光地の騒がしさはなく、庶民的。でも他の区とはまた違い、なんというか、大きいけれど大都会ではなく、でも人口は多い中規模の便利な街という感じで、大阪で例えれば吹田や高槻のような佇まい。中心部ではなくここに住みたいと思っている人たちが、わざわざ選んで住んでいそうな雰囲気がある。残念ながら、個人的にはここで暮らしてみたいと思えなかったのだけど、また違ったパリの一面が見られる興味深いエリアであることは確か。

 

狭い道
こういう狭い道を通るのも楽しい

 

その他の区はこちら。
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