濃密な授業

前の記事をアップしたころから急激に気温が下がり、けっこうな雪が降った。パリに積もるほどの雪が降るのは珍しく、交通機関も大混乱。滑るから歩くのも大変だったのだけど、幻想的な雪のパリには本格的なカメラを持った人がたくさんいた。ただ、凍えるような寒さも1週間ほどで終わり、今は最高気温7、8度前後に戻ってほっとしている。やっぱり寒いのはいやだ。
 

雪のパリ
降り始めはこんな感じ

 
前回のつづきのようになってしまうけれど、先週からまた先生が変わり、授業内容も大きく変わった。この先生は生徒が多いときだけ臨時で来ているようで、普段は見かけないのだけど、教師としてはベテラン。文法の練習問題、聞き取り、読解、プレゼン、クイズ、議論など盛りだくさんの内容で、しかもけっこう難しい。クラスのレベル自体は変わっていないのに、やっていることの難易度は明らかに一段階アップした。宿題もたっぷりあり、毎日3、4時間かかる。この学校に来てからほとんど宿題がなかったこともあってこれはさすがにしんどいのだけど、すごく勉強になるのも確か。

この学校は、旦那さんの転勤でパリに住んでいる主婦や、バカンスを利用して数週間だけ勉強しに来る社会人が多いから、前に通っていたパリカト(パリ・カトリック学院)のような大学付属の語学学校に比べると内容もそんなに難しくなく、どちらかというとアットホームな雰囲気で楽しく会話することを重視している。もちろん、それはそれでプライベートの小さな学校のメリットだし、そういう雰囲気を求めて来る生徒もたくさんいるのだけど、個人的にはちょっとゆるすぎるなと思っている。学校というよりは、習い事に近い。特に、今年に入って最初の先生は“友だち”という感じだったし、文法の練習問題があまりにも基本的すぎて知っていることばかりだったので、宿題がない上に復習するべきこともなく、だからといって授業中にバンバン発言できるわけでもなく、ちょっともやもやしていたところだったのだ。
 

罫線

 
新しく変わった先生は、文法の説明をほとんどしない。復習程度にさらっと流して、あとは大量に練習問題を課す。これが私としては理想的で、無駄な時間がなくなってうれしいのだけど、やっぱり同じクラスにはその文法を初めて習うという人が必ずいて、彼らは何が何だか分からないままいきなり練習問題をやらされているから、ぜんぜんついていけないと言っていた。確かに、あの説明では絶対に不十分だと思う。その練習問題も、ルールに沿って機械的に当てはめていくだけのものじゃなく、難しい単語がたくさん出てくる文章を読んで内容を理解しなければ答えられないので、文法力と同時に単語力や読解力も問われる。

初日は紙の練習問題が多かった上に、前の先生の授業と比べて一気に雰囲気が変わったから、その先生を知っている他の生徒たちはかなり不満だったよう。やり方を変えてもらうため、直接校長に訴えようという話になった。まあ先生によって内容が変わるのは当然なのだけど、確かに最初の日は会話の時間が少なかったし、この学校のルールを守れていない部分があったのは気になったから、私も同意。こういう場合、先生のやり方に口を挟んでいいものか迷うところだけど、授業料を払っている以上、気になることは言ってみるべきだと思う。それが小規模学校の別のメリットでもあるし。結局、生徒の1人が実際に訴えてくれて、次の日から徐々に改善。レベルは変わらないまま、話す時間がぐんと増えた。

それも、今までの授業のように話したい人が好き勝手に話すのではなく、1人ずつ平等に機会を与えてくれるところがいい。特に全員での議論の場合、しゃべり好きな人たちがいるとこちらの出番はないのだけど、この先生は毎回1人、ジャーナリスト役を立てて、必ず全員が発言できるよう配慮しながら進行することを求めるのだ。なるほど。こうすれば特定の人だけがしゃべり続けることなく、みんなが参加できる。まあこれもその週のクラスの雰囲気によるのだけど、先週はちゃんと人の話を聞ける感じのいい生徒ばかりだったので、安心して発言できた。テーマは環境問題や医療システムなど社会的なことが多いからある程度考えないといけないし、単語がなかなか出てこないという個人的な課題の深刻さを痛感するけれど、この議論を毎日やってくれるので、こんなに練習できるのはラッキー。こういう授業こそ、少人数学校でやるべきこと。先生も、最初はみんなが発言したところで終わっていたのが、だんだん間違いを指摘してくれるようになったから、今かなり理想的な内容になっている。

それにしても、先生によってこれだけレベルや内容に差があるというのはどうなんだろうか。まあどの学校でも同じだと思うけれど、今までよりはるかに充実している。会話力をつけたいからこの学校を選んだので、しゃべるチャンスは多ければ多いほどいいし、だからといって読み書きのレベルも落としたくはないから、ある程度難しいことをやってくれる方が個人的にはうれしい。正直、先生の人柄に関してはあまりいい印象ではないし、アカデミックな内容が気に入らないと言っている人もいるけれど、やっぱりせっかく勉強しに来ているのだから、これぐらいじゃないともったいない気がするのだ。確かに宿題は大変で、自分のペースで勉強できないのはしんどいけれど、しばらくこの先生の授業が続いてほしい。ただ聞き取りに関しては、相変わらず私1人まったくついていけてないので、もう少しレベルを落としてほしいのだけど・・・。

 

雪だるま
アパートの中庭にできていた雪だるま

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