パリ20区歩き ―15区―

15区マップ

 
日本人にとって、パリでもっとも住みたい人気エリアの一つ、15区。パリを象徴するエッフェル塔やセーヌ川に近い一方で、中心部からは離れていて親しみやすいイメージもある。個人的にもよく足を踏み入れる地区ではあるのだけど、いつもよりゆっくり歩いてみたらどんな景色が見えるんだろうか。

6区、14区との境にあるモンパルナス駅からスタート。すぐ近くにおいしいパンとケーキがそろうデ・ガトー・エ・デュ・パンがあるというので、前を通ってみる。高級そうな建物の1階に入る、パン屋らしからぬスタイリッシュなお店。中が見えないし入りづらい雰囲気だけど、パンもケーキも上品な味らしい。いつか機会があれば、ぜひ見てみよう。
 

パン屋

 
ゆるやかにセーヌ川を目指しながら、南西方向へ歩く。遠くからでもはっきり見えるエッフェル塔が目印。今の季節なら、緑が濃くてもっと明るい写真になるはず。
 

モンパルナスから見えるエッフェル塔

 
少し行くと、カラフルな外観が印象的な建物が。ここは、このブログの読者の方から教えてもらった図書館で、映画のDVDも豊富だそう。中には入らなかったのだけど、知らなければ絶対に行き着くことはなかった。こんなパリらしくないデザイン、外から見られただけでも満足。彼女はもう、日本に帰っているかな・・・。
 

図書館

 
そのままぶらぶらと南に向かって歩きながら、いつものように建物をチェック。一時期、気の迷いでインテリアコーディネートの勉強をしていたことがあるのだけど、やっぱり建築そのものの方が好き。中心部から離れるにつれて、色も装飾も増えていくのは他の地区と同じ。建物が明るいと、気分も明るくなる。
 

 
やって来たのは、ジョルジュ・ブラッサンス公園。私もパリに来るまでまったく知らなかったジョルジュ・ブラッサンスという人は、第二次大戦後に活躍したシャンソン歌手で、フランスでは今も知らない人がいないくらい国民的人気を誇るんだそう。とはいえ、なぜこの公園に彼の名前が付いているのかはよく分からないのだけど。
 

ジョルジュ・ブラッサンス公園

 
ここでは週末に古本市をやっていて、地元の本好きに人気とのこと。確かに、蚤の市みたいに観光客もいないし、ゆっくり本を選べそう。本、こっちに来てからほとんど読んでないなあ。
 

 
さて、ここからはまっすぐセーヌ川へ向かう。しつこいけど、建物が楽しい。こんなにバリエーション豊かなのに、ちゃんと街並みになじんでいて、どこまで行ってもパリだからすごい。パリの表情って様々だ。
 

 
やっと川沿いに出た。高いビルがたくさん並んでいて、ここは逆に、エッフェル塔がなければパリだと分からないようなモダンな光景。パリ市内は景観条例で建物の高さが規制されているはずなのに、ここはいいんだろうか。なんかちょっと残念。
 

セーヌ川沿い

 
川に沿って北東へ上がっていくと、見えてきた、自由の女神像。フランス革命100周年を記念して造られたもので、パリ在住のアメリカ人たちが寄贈したとのこと。フランスに自由の女神って唐突な気がするけれど、ニューヨークにあるあの有名な女神像はこれより前にフランスから贈られたらしく、そのお返しという意味もあったそう。こちらの女神像は、1889年のパリ万博のときからここに立っているということだから、かなりの貫禄。確かに、エッフェル塔をバックにした姿にも不思議と違和感がない。
 

自由の女神1

 
女神像が立つ中州は「白鳥島」と呼ばれていて、降りることができる。せっかくなので、優雅な後ろ姿も撮影。
 

自由の女神2

 
そして、ここから北東に向かう「白鳥の小径」がなんとも素敵!距離は短いのだけど、セーヌ川を両側に眺めながら並木の下をゆっくり歩くのは、すごく気持ちいい。大都会なのに、こんな風にあちこちで自然と調和しているのは、パリの好きなところの一つ。
 

 
心地よく散歩を楽しんでいると、前方に端正なビル・アケムがだんだんとその姿を現す。16区の記事にもちらっと書いた橋は、道路の上をメトロが通る特徴的な二重構造で、こうやって遠くから見ても絵になる。
 

ビル・アケム遠景

 
エッフェル塔の眺めもよく、パリらしい趣きのある橋なので、映画にもよく使われるそうだけど、有名なのはなんといっても『ラストタンゴ・イン・パリ』。細かい内容はあまり覚えていなくても、枯れた印象のマーロン・ブランドがやるせなげにここに佇む姿は、強烈なイメージとして記憶に残っている。最近は、真冬でない限り毎日必ずといっていいほど結婚記念写真の撮影が行われているらしく、このときもアラブ系のカップルが橋の半分を占領していた。
 

 
ちなみに、このビル・アケムを通るのはメトロ6番線。ここから望む景色は最高で、これが見たいがためにわざわざ遠回りして6番線に乗ったりもする。メトロからこんなパリらしい眺めが楽しめるって、すごい贅沢。
 

メトロから見る景色

 
最後に、ここから歩いてすぐの大型ショッピングセンター、ボーグルネルへ。2013年オープンと新しく、建物が3つに分かれているので、かなりの広さ。何でもそろうし、実際この近くに住んでいる人も、すごく便利だといっていた。私は一度、この人の家に遊びに行ったときに、ここに入っているショップ、ラ・パティスリー・デ・レーヴでケーキを購入。
 

 
15区は、一言でいって住みやすそうな印象。高級住宅地である7区や16区に隣接しているけれど、もっとカジュアルな雰囲気だし、かといって隣の14区ほど庶民的でもなく、適度にモダンで、確かに日本人が好みそうなちょうどいいバランス。クラシックなパリを楽しみつつ、現代の便利な生活が送れそうなイメージ。ただかなり広いから、南の方に下るとまた違った、より開放的な表情になる。どちらにしろ、住むエリアとしては本命候補の一つになりそう。

 

『ラストタンゴ・イン・パリ』のカフェ

『ラストタンゴ・イン・パリ』に出てきたカフェはビル・アケムのすぐそば

 

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4件のコメント

  1. コメントついたんですね。気づかなかっただけかも。
    15区いいですよ。便利ですし、暮らしやすく。
    高さ規制なのですが、15区の一部は再開発可能エリアだそうで、13区同様開発されています。

    1. 実はコメント欄、最初からついていました。
      分かりにくいですよね、すみません・・・。
      15区は本当に日本人向きだなと思います。やっぱり住みやすいんですね。
      でも再開発ですか、道理で。
      パリらしさが失われていくのは残念ですが、仕方ないですね。
      情報ありがとうございます。またよかったらメッセージください。

  2. 懐かしい景色がたくさん!と思いながら記事を拝見していたら、懐かしい図書館が出てきたので思わずコメントしてしまいました。多分この図書館のこと話したブログ読者、私です。笑
    私がパリで住んでいたのが、まさにジョルジュブラッサンス公園の横で、上の写真で公園奥に写っている白い高いマンションの1室でした。
    久々にブログを拝見したら、まだパリで頑張ってらっしゃるんですね。私はワーホリだったので1年限りの滞在でしたが、パリを離れた今も、彼の地で過ごした思い出はキラキラと輝いています。今はイギリスで最後のワーホリを満喫中ですが、となりの国なのにこうも違うものか、といろんなカルチャーショックを受けているところです。

    1. お久しぶりです。コメントありがとうございます。
      ブラッサンス公園の横に住んでいらしたんですね!しかも写真に写っているとは。
      15区いいところですね。図書館も機会があれば入ってみたいと思います。情報ありがとうございました。
      イギリスですか、それもいいですね。
      カルチャーショックの内容にも興味があるので、よければまたメッセージください。
      私はまだしばらく、パリで逃亡生活を続けるつもりです笑。

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