パリのバラ園

梅雨の日本とは逆に、先週からずっといい天気が続いている。こんなに毎日、空に太陽しかないなんて、パリでは本当に珍しい。だんだん気温も高くなってきて、ここ2、3日はかなり暑いけど、せいぜい35度。さすがに歩くと汗ばむものの、湿気がなくカラッとしているから、夏好きの体には快適。クーラーどころか扇風機がなくても過ごせるぐらい。日が昇った瞬間からうだるような蒸し暑さに襲われるあの大阪の夏に比べれば、爽やかな初夏のような感覚だ。この青空、本当に取っておきたいぐらい気持ちいい。
 

青空と建物

 
さて、こう天気がいいと、勉強なんて放っておいて出歩きたくなってしまう。経済的な問題で遠出は厳しいのだけど、まだまだパリにも行っていない場所がたくさんあって、冒険は終わらない。16区にバラで有名な「バガテル公園」があるというので、散歩がてら行ってみた。ブーローニュの森の中にひっそりと佇むこの門から、すでに優雅な雰囲気が漂っている。
 

門

 
実は、ここからそれほど遠くない15区の郊外に本格的な日本庭園があるらしく、この日はそっちを見たかったのだけど、なんと工事中で入れなかったのだ。まあ、パリではよくあることだけど、けっこう楽しみにしていたから残念。そこで仕方なく予定を変更し、住宅街から森の中を通り1時間ほど歩いてここまでやって来た。前日にガイドブックを見ておいて正解。それまではこんな公園、名前さえ聞いたこともなかったし。

でも確かに、見る価値はある。こんなにたくさんのバラ!ぜんぜん詳しくないのだけど、色も形も様々で、一つひとつ見ていくと素人目にも違いがはっきり分かる。それにしても、本当に存在感たっぷりの花だ。昔から美の象徴とされることが多いのにも納得。
 

 
調べてみるとこの公園、毎年開催されるバラの国際コンクールの会場になっているそうで、1200を超える品種が植えられているんだとか。どうりで手入れが行き届いているはず。そしてこの庭園自体は、ルイ16世の弟アルトワ伯爵が改修し、バラ好きのマリー・アントワネットも訪れていたとのこと。なかなかの歴史だけど、改修したそもそもの目的は女性たちの気を引くことだったそうだから、王族が贅沢三昧していた時代の名残だともいえる。園内にいくつかあるメルヘンチックな館も、彼らが使っていたものだと考えると違和感がない。
 

 
園内は思ったより広く、バラ以外にもいろいろな花や植物が植えられているよう。それに、滝や池なんかもあって、なかなか趣向が凝らされている。
 

 
でも、個人的に一番のみどころは、放し飼いの孔雀!たくさんの孔雀たちが園内をあちこち歩き回っていて、甲高い鳴き声を上げている。近づいても何もしてこないし、危険はないよう。でも、あらためて見ると、孔雀ってなんてきれいな色をしているんだろう。模様も、まるでアーティストがデザインしたように見事だし。この優雅な羽を広げて求愛してくれないかなと期待したけど、まったく相手にされなかった。
 

 
特にバラに興味があるわけではないし、そもそも最初から目指して行ったわけではないのだけど、天気がいい日にのんびりするにはぴったりの公園だった。平日だったこともあって人も少なかったし、入場料はたったの2.5ユーロ!気軽に行けて、街なかとはまた違った雰囲気が楽しめるパリの穴場スポットかも。

 

園内から見るビル
外側の都会の景色とのコントラストも面白い

 

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