フランスで銀行口座をつくる

以前、どうやってお金を持っていくかの中でも書いたけれど、別にこちらに口座がなくてもお金は引き出せる。でも長期間生活するなら、やっぱりあった方がいい。私の場合は光熱費が毎月引き落とされるので、まずはそのために必要(ちなみに家賃は1年分一括で支払い済み)。そしてカード社会のフランスでは、買い物には現金ではなくてカルトブルーというものを使う(もちろん現金も使える)。日本でもデビットカードというのが出てきているけれど、カルトブルーも同じように使った分の金額が後日引き落とされるカードで、レジではこれだけでOKという便利なもの。もちろんキャッシュカードとしても使える。口座を開くとこのカルトブルーをつくってもらえるので、日本のカードを使い続けるより現実的だ。

日本人がフランスで銀行口座をつくる場合、大体クレディ・リヨネかケスデパーニュになると思う。どちらも日本人スタッフがいて、日本語で対応してもらえる。例によっていろいろな人のブログを見ていると、クレディ・リヨネは評判が悪く、逆にケスデパーニュは好評。留学エージェントがクレディ・リヨネと提携しているようでまたもや、ここで口座をつくるなら一緒に行きますよーと言ってくれたのだけど、断って勝手にケスデパーニュにした。日本語で対応してくれるなら一人で大丈夫。

日本ではいつでも好きなときに銀行に行けば口座を開けるけれど、フランスではなんと予約が必要。SIMカードを買ってからすぐに電話でアポを取った。口座開設に必要なものは以下の通り。
・パスポート(身分証明書)
・住居証明(アパート発行の証明書)
・経済証明(日本の銀行の預金残高証明書。ビザ申請の時もこれが必要だったので流用)
・学生証
顧客一人ひとりに専属スタッフが付くようで、そのスタッフの個室に通されて手続きする。私を担当してくれた女性スタッフはすごくシャキシャキした気さくな人で、楽しい雑談を交えながらこちらのシステムについて教えてくれた。評判通り、仕事が早いし感じもいい。

日本の口座と違うところは、まず通帳がない。代わりに毎月、利用明細書が送られてくるので、それをきちんとチェックして残高確認しないといけない。それから口座維持手数料がかかる。これはカルトブルーの保険や、オンラインバンクサービスなどの料金らしく、毎月850円ぐらい取られる。日本人の感覚だと、口座を持っているだけで手数料がいるというのはちょっと納得いかないけど・・・。

口座は上記書類を提出すればすぐに開設。これで日本からの送金もできるようになった。それから約1週間後に、オンラインバンキング用の初期暗証番号と、カルトブルーの暗証番号が別々の封筒で郵送されてきて、受け取ったらまたアポを取り再度訪問。このときにカルトブルーをもらえるのだけど、つまり2回行かなければいけないわけで、これはだいぶ面倒だ。ちなみに、オンラインバンキングの暗証番号は後で変えられるけど、カルトブルーの暗証番号は指定されたものしか使えない。日本と同じように4ケタの番号なんだけど、支払いの時にもATMでお金を引き出すときにも必要だから、日本みたいに好きな数字を選べない以上、絶対に忘れないようにしないと。
 

カルトブルー

 
カルトブルーを受け取るのと同時に、貯蓄口座というのもつくってもらった。これはフランス政府が開設を推奨しているもので、フランスに住んでいる人なら誰でも1つ持つことができるそう。日本の定期預金とは少し違い、一定期間預けておかなければいけないのではなくて、ネット上でいつでも振替できる。どこの銀行でつくっても同じ条件で、日本よりもかなり高い0.85%(だったと思う)の利息がつき非課税、口座維持手数料も不要(ただし預け入れ額に上限あり)。日本からある程度まとまった金額を送ったので、当面お金を下ろしたり引き落としに必要だったりする分はいわゆる普通口座に残し、あとはこの貯蓄口座に置いておけば少しでも増やすことができるというわけ。なかなかよくできている。

日本とはだいぶシステムが違うので戸惑うことも多かったけれど、これでまた一歩、フランス人の生活に近づいた。次の買い物からさっそくカルトブルーを使ってみよう。

 

銀行前のブティック
銀行前のブティックにたくさんのミシンが!

 

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パリのコピー屋

日本に比べればパリで困ることはいろいろあるけれど、1番はトイレの数が少ないこと、そして2番目がコピーが手軽にできないことだと思う。移民局に書類を送るの中でも少し書いたけれど、パリでは日本の都会のように簡単にコピー機がみつからない。モノプリにはあるらしいのだけど、きっと何の機能もないモノクロ印刷機だろう。普通、コピーなんて学校でできそうなものなのに、図書館は入るのにお金がいるらしいし、学生が出入りする校舎にはコピー機らしきものが見当たらない。事務局はいつも混んでいるのでまだちゃんと聞けていないのだけど、期待はできなさそう。まあモノクロコピーで足りる場合はそこまで苦労しなくていいかもしれないけれど、先日、USBに入ったデータをプリントする必要があった。これは一体どこに行けばできるのか。

ネットで情報収集し、メトロに乗って5区へ。ここは学校が多いのでどうやらコピーが安くできるお店がそろっているらしい。どんな店かというと、ずばりコピー屋。日本でも大量にコピーしたい場合、一般の人がキンコーズなどを使うことはあるけれど、パリでは枚数が少ない場合でもみんな日常的にこういう店でコピーしているみたいだ。5区を歩いてみると、確かにコピー屋があちこちにある。ということは、この辺の大学にもやっぱりコピー機はないのだろうか。
 

 
ブログで安いと評判だったお店を探してみたけれど結局分からず、近くの1軒へ。中には日本と同じような(たぶん)最新型のコピー機がいくつかあって、2、3人が使用中だった。お店のおじさんは私が入って来たのを見ても何も言わず、勝手に使って最後に精算するシステムのようだったけど、分からないので話しかけてみた。すると奥から別のお兄さんが出てきて私の前へ。こういう場合、正確なフランス語は話せなくても、コピー屋に入ってUSBを見せれば意図は分かってもらえるというもの。すぐにお兄さんが近くのマシンにUSBを挿してくれた。そのときにフランス語で何か言われてぜんぜん分からなかったのだけど、画面を見ると何やらダウンロードが始まっていたので、きっとそのUSBに対応するソフトが入っていなかったのだろうと見当をつけ、適当に返事。こんな風に、そのときの状況を見て勘で答えることってよくある気がする。人生経験が役立つ瞬間。無事プリントアウトできた後、もう1枚普通のコピーをお願いして終了。値段は1枚0.2ユーロで郵便局と同じだったけれど、機械の機能やスタッフの手間を考えると今回の方が安いと言えるかもしれない。ただ、この店がこの辺のほかの店と比べて安いかどうかは分からないけど。

それにしても、たった2枚コピーするのがこんなに面倒だとは!でもまあ、これがパリだ。きっと日本が便利すぎるのだろう。お店の人もやさしかったし、個人的には悪くない体験だった。コピーをする機会はおそらくこれから増えてくるだろうから、安くて対応のいい、そしてなるべく近くのコピー屋をみつけておかなければ。

 

5区のアパート
5区にて。同じ位置できれいに並んだ窓が大好き

レベル分けの複雑さ

授業が始まって最初の1週間が終了。状況がいろいろ変わった。一応レベル分けのテストはあったわけだけど、それでもクラスのみんなが同じぐらいフランス語をできるか(できないか)というと、そう簡単にはいかない。先生も、クラスの中で差があるのは普通のことだと言っていたけれど、それでもやっぱり授業の内容が自分のレベルと合わない人、それもかなりよくできる人がけっこう交じっていたみたいだ。私も2日目まではまあまあついていけたものの、3日目で打ちのめされた。元々、一人で勉強していた期間が長かったから、読み・書きに比べて会話、それも聞き取りが極端にできないことは自覚していた。それにしても、聞き取りの問題で2、3割ぐらいしか内容が分からない。なのに周りは理解できている人が多く、中には簡単と言っている子もいたから、いやこんなの無理だーと焦っていたところ、やっぱりその子を含む何人かが上のクラスに変わったよう。

私のほかに2人いた日本人のうち、相当しゃべれる1人も1段階レベルアップ。最初、空きがないから無理だと言われたらしいけれど、強気で再度交渉し次の日から上のクラスへ。もう1人は、まだ文法も一通り終わっていないのに今のクラスに振り分けられたようで、本当は下のクラスへの変更を希望していたのだけど、よくできる何人かが去った後、先生が残ったみんなの学習歴を聞いて「このクラスはもう本来のA2-2じゃない。1段階下のA2-1だ」と宣言、授業の内容もそれまでより簡単になり、彼女も同じクラスに残ることになった(ちなみにこの人は、旦那さんの転勤でパリに来てフランス語を始めたそう)。やっぱり今までが難しすぎたんだと私も安心したのだけど、今度は逆に初歩的な文法から始まってしまった。うーん、さすがにこれは簡単すぎる。文法は散々自分でやったから、もう練習問題をやることにはあまり意味がない。それより応用をやってほしいんだけど・・・と思いつつ、聞き取りはやっぱりできない。これもだいぶゆっくり、そして内容も簡単なものになったのだけど、それでも必死にならないとついていけない。なんでこんなに差があるんだろうか。
 

iPod

 
それにしても、なんとも適当なクラス分け。一応変更できるとはいえ、実際にはなかなかスムーズにいかないようで、最初に同じクラスだった日本人の子が言われたみたいに、人数がいっぱいだから移れないという場合が多いよう。そんなこと言われても、こっちだって高い授業料を払っているわけだから、レベルに合っていないクラスで受けるなんてもったいなすぎる。ただ私は、結局このクラスでいくことにした。読み・書きの応用はそれこそ自分でいくらでもできるし、今必要なのは、とにかく聞けるようになることとしゃべれるようになること。基礎は一応、一通りはやっているので、理屈から言えば耳さえ慣れれば後は早いはずだ(と願っている)。ただこの耳が慣れるっていう感覚、英語でも味わったことがない。もちろん、周りがフランス語ばかりという状況は普通になったけれど、それは音に慣れたというだけで、内容はほとんど聞き取れない。よく、ある日突然分かるようになったっていう話を聞くけれど、本当にそんなものなんだろうか。今はまだ、そんな日が来る気さえしないけど・・・。
 

アルファベット
ところで、日本は島国だからか“長期間外国に住めば言葉ができるようになる”って思っている人が多いような気がする。私も出発前、何人かに言われたけれど、それは真実じゃない。生活するだけなら、お金さえあれば別にしゃべらなくても可能だから。日本でも、一人暮らしで学校にも会社にも行っていなければ、会話する機会があまりないのと同じだ。じゃあ語学学校に通えば話せるようになるかというと、これも一概には言えない。なぜなら、日本ではたいていの人が中学・高校の最低6年間、英語を勉強するけれど、どれだけの人がしゃべれるようになっているかはご承知の通り。結局、自分がやるかどうかなのだ。逆に言えば、語学を身につけるだけなら日本でだってできる。とはいえ、やらなければいけない状況に追い込まれないとなかなか難しいので、思い切ってここまで来たしまったわけなんだけど。それが成果につながるかどうかは、これからの努力次第。

 

テキスト
これから使う教科書。なかなかおもしろそう

 

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