パリの映画館めぐり①

日本では単館系の小さな映画館がどんどん少なくなっているけれど、それとは対照的にパリには個性的な映画館がたくさんあるらしい。大学のときのフランス語の先生が、パリでは100種類以上の映画が見られると言っていたのを覚えているけれど、旧作だけ、または特定の国の作品だけなど、封切り館では見られないプログラムをそろえたいわゆる名画座やミニシアターが、今もパリの映画ファンを楽しませているようだ。フランス映画に引かれてパリまで来てしまったシネフィルとしては、なんとしても行ってみなければ。

まずは、1区のフォーラム・デ・アールというショッピングセンター内“シネマ通り”にある「フォーラム・デ・イマージュ」から。入るとすぐにチケット売り場があって、4、5人のスタッフが並んで待っている。ここは一度リニューアルされたそうで、2階には居心地のよさそうなモダンなサロンが。一見、日本でも見慣れたシネコンだけど、古いアメリカ映画や今村昌平作品のポスターなんかも貼ってあって、独自のプログラムを組んでいるようだった。特集上映や関係者のトークショーも時々やっているらしい。でも映画館って、そこに行ってみるだけでは上映作品の内容が分からないし、残念ながらこのときも時間的な問題もあって映画自体は見なかったのだけど、ちゃんとチェックしてからぜひまた行きたい。
 

 
そして見逃せないのが、すぐ隣にある「フランソワ・トリュフォー映画図書館」。言わずと知れたヌーヴェル・ヴァーグの監督フランソワ・トリュフォーの名を冠した魅力的なネーミング。中には映画の資料が満載で、国別・俳優別・監督別・ジャンル別などに分類されている。あの『カイエ・デュ・シネマ』も読めるし、DVDや映画音楽のCDも。映画を研究している学生なら、ここに来れば探しものがみつかりそう。ただ、当然日本語ではないから、読めないのがなんとも残念!
 

 
日本では映画というとやっぱり娯楽というイメージが強いけれど、フランスでは自国の映画を文化として守る仕組みがあり、毎年、国が一定の予算を組んで映画・映像産業を支援しているそう。商業主義的でない、ユニークな作品が生まれ続ける環境が整っているのだ。とはいえ、最近のフランス映画はあまりおもしろくないので、なんとか頑張ってほしいところ。

 

シネマ通りポスター
“シネマ通り”では豪華な顔ぶれがお出迎え

 

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語学学校の授業がスタート

先週まで毎日気温が30度を超えて半袖でも暑かったのに、突然秋になった。後から送ってもらった荷物が届いてよかった。さっそくフリースやひざ掛けを箱から出して活用。外に出るときはもう秋物のコートがないと寒い。曇りや雨の日が続く中、いよいよ授業が始まった。
 

辞書

 
初日最初の授業は「D32」という教室。迷わずにたどり着けたので安心していたら、まだ時間じゃないのにもうすでに授業が行われていて、どうもここではないよう。同じクラスの子がほかにも待っていたので、一緒に探したけれどみつからない。うろうろしていたら先生たちが案内してくれたのだけど、なんと同じ建物の中に別の通路があり、そこにも「D32」という教室があったのだった。なんて分かりにくい。

授業開始時には6人しかいなくて意外に少ないなと思っていたら、遅れて1人登場。それでも本当はあと4人いるらしく、彼らは最後まで来なかった。出席7名のうち、日本人が私を入れて3人、あとは韓国人、中国人、ブラジル人で、見事にアジア人ばっかりだ。年齢層は幅広く、20代の大学生から、すでにリタイアしたと思われるシニア世代までさまざま。平均年齢は高いようで、クラスの雰囲気も落ち着いている。

先生は50代ぐらいの穏やかな男性。メインの授業は1週間通してこの人が担当することになる。すごく分かりやすいフランス語でしゃべってくれて、けっこうスピードは速いのに割と聞き取れた。まあ6割ぐらいは理解できたんじゃないかなと思う。初日は2、3人のグループに分かれて簡単な質問をし合ったり、テキストを読んで自分の考えを言い合ったり、でもまだ本格的な内容ではないかんじ。レベル分けテストでいったんクラスは決まったけれど、しばらく授業を受けてみて自分のレベルに合わないと感じたら変更できるようになっているから、今はまあお試し期間のようなものなのだ。私はというと、話すのと聞くのはまだまだついていけないけれど、逆に文法は分かるという、典型的な日本人のパターン。1つ上のクラスでもいけそうな気はするけど・・・どうしようか。といってもこのクラスがずっと続くわけではなく、期末ごとにテストがあって、その度にまた各レベルに振り分けられるのだけど。
 

ペンイラスト

 
いくつか授業を受けてみて思ったのは、日本人と韓国人以外は本当によく発言するなということ。日本なら、先生がみんなに問いかけをしても黙っているのがまあ普通。でもほかの国の人たちはどんどん答えて、時には先生が順番に指名していってるのに割り込んでまで何か言う。間違っているかどうかなんて気にしない。こういう感覚は、ずっと日本で育った日本人にはなかなかないもので、まず発言しようにも口からすぐにフランス語が出てこない。たとえ答えが分かっていたとしても、無意識に“待つ”姿勢になってしまっている。ほかの人が発言するのを聞いて、あ、そうだ、答えないとって気づくかんじ。まあこれは日本の教育の賜物だから、今こうなってしまっているのはしょうがないとして、意識は変えていかなければ。きっとこうやって積極的に自分で口に出すことが当たり前だから、ほかの国の人は会話がよくできるんだろう。こういうことってずっと言われているのに、日本っていつまでも変わらないんだろうか。

とにかく、少なくともついていけることが分かってよかった。後のことを考えるのは1週間終わってからにしよう。

 

学校中庭
中庭はお昼になると学生たちで賑わう

 

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移民局に書類を送る

フランスに長期留学するためには学生ビザというものが必要になる。これを日本で取得するのにも、本当にたくさんの書類をそろえて、志望動機書を書いて、面倒な手続きをしなければいけないのだけど(しかも東京に行かないと申請できない)、無事に発行されても実はそれで終わりじゃない。ビザはいわば仮の証明書みたいなもので、フランス入国後3カ月以内に移民局という行政機関で正式な滞在許可証をもらわなければいけないのだ。そのための第一段階として、必要書類を郵送してきた。

ここで例によって現地サポーターが登場。ただ今回は、書類の書き方が合っているかや、どうやって送るのかなどを直接ききたかったので、同行してもらうことにした。でもこの日本人サポーター、業者の社員ではなくフランス在住の一般人のようで、どうも頼りがいがない。実は先週、一度約束をしていたのだけど、待ち合わせの時間になっても一向に現れないので電話をしてみたら、なんと忘れて病院に行っていた!もうほんと、ケータイ使えるようにしておいてよかった。さすがに2回目は忘れずに来てくれて、無事落ち合えたのだけど。ただ、約束の時間を10分過ぎたところでこちらから連絡してみたら、後ろでずっと電話でしゃべっていた人がそうだった。なぜ時計を見ない。

一緒に近くの郵便局に向かい書類を確認。送らないといけないものは以下の通り。
■ビザ申請時に渡された、個人情報が書かれているA4用紙
■パスポートのコピー
・顔写真のページ
・ビザのページ
・入国日のスタンプが押してあるページ
このうちスタンプのページのコピーができていなかったため、郵便局にあったコピー機を利用。このコピー機、日本ならコンビニで簡単にみつかるけれど、フランスではそうはいかない。郵便局も置いてあるところとないところがあるらしく、たまたまあったのでラッキーだった。しかしこれ、いまどき見ないタイプの古めかしいルックス・・・。機能はシンプルにモノクロコピーのみで、拡大・縮小、濃度の調節など一切不可。もちろんPDFなんて取れない。これで値段は日本より高く1枚23円ぐらいする。おつりは出ない。日本って本当に進化した国なのだ。
 

コピー機

 
今回は受領証付きの書留で送る必要があったのだけど、窓口に出すだけかと思ったら、なんと専用の機械を使うのだった。こういうところだけ変に現代的だ。サポーターに言われた通りやったけど、ぜんぜん分からない・・・。これもまたいろいろな人のブログを見ていると、ここでつまずいたという話はあまりないので、きっと窓口に持っていってもやってくれるはず。でないと、フランス語ができない人にはけっこうハードルが高い。
 

郵送機械

 
ところでこの日本人サポーター、案の定というか見当違いのサポート力を発揮して、こちらが作業している間に伝票をもらいにいったり、間違っているところを自分で書き直したりしてしまった。そういうのを教えてほしいからついてきてもらったんだけど・・・。

結局、書類は記入する欄が間違っていたところもあったのだけど、スペースの関係で書き直しが難しかったのでそのまま提出。まあフランス人が見たら分かるから大丈夫だろうということ。その辺はフランスの感覚でいこう。それにきっと、同じように間違えている人もいっぱいいるはずだ。これで無事に届けば受領確認が郵送されてきて、さらにその後、呼び出し状がくることになる。とりあえず、第一段階は終了したのでひと安心。


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郵便局外観
郵便局は黄色のマークが目印

 

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