夏が来る前に

パリはこのところ、20度にも達しない寒い日が続いている。4月に入っていったんかなり気温が上がり、毎日30度近くの夏のような一時期があったのだけど、それも10日ほどで、またいつものどんよりとした天気に逆戻り。日によっては、冬のコートを出さないといけないぐらい風が冷たい。でも、さすがに5月になってそれは気分的にいやだから、頑張って耐えている。大阪は今、かなり暑いだろうけどカラッとした気持ちのいい気候のはず。この季節は日本の方がいいなあ。
 

八重桜
パリに咲く八重桜

 
さて、フランスでは9月に新年度が始まって、これからが年度末。夏にはバカンスという、フランス人にとって絶対に欠かせない重大なイベントがあるから、その前にいろいろなことが動く。

まずは、新しい入学生の募集。大学なら大体4~5月ぐらいに出願受付があり、無事に入学が認められれば安心して夏休みを楽しめる(ちなみに日本のような入試はない)。私も次は国立大学付属の語学学校を狙っているので、だいぶ前からいろいろ書類を準備していて、そろそろ提出しようとしているところ。

次に、新しい入居者の募集。学期制の学校はほぼ、5月までで終わりだから、まもなく一斉に留学生が帰国する。アパートを持っている大家は次の入居者をバカンス前に決めておきたいので、まさに今が一番、物件数が豊富な時期。私が今住んでいる郊外のアパートも今月いっぱいまでの契約で、しばらく前からパリに部屋を探し中。今は毎日、空き物件をチェックしている。決まれば引っ越さなければいけないので、かなりバタバタすることになりそう。

さらに、確定申告。去年はうっかりして忘れていたのだけど、できればしておきたい。もちろん、これはフランスでの話。

そんな最中に体調があまりすぐれず、去年も行ったアメリカン・ホスピタルでまた診てもらった上、MRI検査まで受けるっていう事態になり、なんだかいろいろなことが一気に襲いかかってきたかんじ。まあ、特に異常なしだったのでよかったのだけど。今月はまたもやお金の問題で学校を休んでいて、こんなにふらふらしていていいんだろうかと思っていたけれど、休んでみるとやらなければいけないことがたくさんあったので、結果的にはよかった。カタが付いたものから、また詳細を書いていく予定。

 

廃線
まだまだ知らないパリがいっぱい

 

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パリで語学力テストを受ける

前にも少し書いたことがあるのだけど、フランス語にも英語のTOEICやTOEFLみたいな世界共通のレベルテストがある。よく知られているのはDELF・DALFというもので、日本を含む多くの国で受けることができ、これを目指して勉強している人も多い。もちろん、仏検という資格もあり、私はフランスに来る前に2級を取ったけれど、日本だけでしか通用しないし、聞き取りと会話のレベルがかなり低くても通るので、本気で実力を試したい人にはイマイチかもしれない。

ただ、あまり知られていないテストもあって、その一つがTCFというもの。これも世界共通で、日本でも受験可能らしいのだけど、私自身は最近までまったく知らなかった。そもそも、個人的にこれらのテストや資格には興味がなく、自分なりにフランス語のレベルを上げていければいいと思っていたから。でもそれが、どうしても受けなければいけない状況になり、TCFを初受験。というのは、9月以降も学校を変えて滞在を延長する予定で、新しい学校への出願のために公式なレベルの証明が必要なのだ。ただの語学学校に入るために普通はそんなものいらないのだけど、もうお金がないから国立大学付属の学費が安い学校にしたい。でもそういうところは、入学金さえ払えば誰でも入れる今のような学校と違い、人数制限もあるしいろいろ書類を用意しなければいけないというわけ。まあこの辺りは、また後日詳しく。

TCFロゴ

画像引用元:http://www.delfdalf.jp/tcf_jp.htm

 
DELF・DALFとTCFの違いは大きい。前者は仏検と同じように自分の目指すレベルを受験して、合格か不合格で結果が出る。合格すれば世界で通用する資格として一生有効だから、価値はある。ただ、問われることは難しい。選択問題だけでなく筆記もある上に、アカデミックな内容も含まれる。私は受けるとすればDELFのB2レベルなのだけど、まず聞き取りで不合格になる自信が100%。その他も全体的にレベルが高いし、口頭試験の内容を見てあっさり断念した。与えられたテーマについて1人で準備する時間が30分、その後、質疑応答が20分。30分の準備時間って・・・。めんどくさい。これは前に通っていたパリカト(パリ・カトリック学院)のような学校でそれなりに対策をしないと、なかなかしんどいかもしれない。

それに比べて、TCFは全問選択式。フランス国籍取得を希望する人向けなどいろいろ種類があり、詳しくは知らないのだけど、誰でも受けられる一般的なものは初歩的な問題から難しい問題まであって、不合格というのはなく、点数によってレベルが判定される。内容からいうとTOEICに近い。ただし、結果の有効期間は2年間のみで、ずっと使えるわけじゃない。でも、今回はとりあえずレベルを証明するものがあればいいわけだから、これで十分。それに、DELFはパリで受けるとすごく高くて300ユーロぐらいする。安い語学学校に入るために仕方なく受けるテストなのに、ちょっと費用がかかりすぎだから、それもあってTCFにした。ただ、オプションで作文と口頭表現も追加したので、結局200ユーロぐらいかかったのだけど。
 

罫線

 
パリでTCFを受ける場合、調べた限りではソルボンヌとアリアンス・フランセーズという両学校で可能なようで、日程がよかったソルボンヌで申し込み。全部ネットでできるし、特に難しい手続きもなかった。ちなみに、テストは毎月やっているようだから、割と受けやすいと思う。そして今は、こういうテストもPCでやるようになっていて、ほとんどがPC版。個人的には、初めてだし紙の方が安心感があったのだけど、紙バージョンは半年に1回ぐらいしか実施していないみたいで、ぐずぐずしているうちに埋まってしまい、PCになってしまった。でも、やっかいな操作も必要なかったし、結果的にはPCでよかったかも。何より、聞き取り問題には最適。個別にヘッドホンをつけるから、音がクリア。それによって内容がいつもより分かることはないとはいえ、全員で一つの音声を聞くよりはるかに集中できる。
 

会場
14区のテスト会場

 
それと、作文もなんとPCだった。最初の全体説明で、1人の受験者が「作文もPCですか?」と質問すると、近くにいた別の受験者が即座に「Non」と答えたのだけど、試験官の先生が「そうよ。PCよ」と言ったので、私もびっくり。フランス語のキーボードって日本語と少し配列が違うから心配していたところ、実際、本番で何度も打ち間違えて時間をムダにしてしまった。あと「é」とか「ç」という特殊記号の出し方が分からないのも不安だったのだけど、これは案の定、別画面があって、そこをクリックすれば出るようになっていたのでひと安心。

余談だけど、手書きだと思ってせっかくフリクションを買ったのに。こちらでは、日本のようにシャーペンを使う習慣がなく、テストでもペンで書かなければいけないから、消せるペンをわざわざ入手したのだ。初めは日本から送ってもらおうと思っていたのだけど、調べてみるとフランスでもすでにフリクションは発売されていてかなりの人気らしく、文房具コーナーにたくさんの色が並んでいた。もちろん、パイロットのブランドで売られている。デザインはフランス仕様。
 

フリクション

 
事前の対策は特にせず、本屋で立ち読みして形式だけ把握。聞いていた通り、とにかく量が多くて、どんどんこなしていかないと最後までたどり着けない。ただ全体的な印象としては、レベル自体はそこまで難しくなく、時間さえあれば辞書を引かなくても理解できそうだし、もう少し速読できればきちんと時間内に終わりそう。TOEICのように、必死で頑張っても絶対に全問終わらせるのは無理、という感じではない。でも、今の学校はテストなんてないから久しぶりだったし、時間も長いので、集中力が途切れてぼーっとしてしまう瞬間が何度かあった。意外と緊張せずに受けられたのはまあよかったのだけど、やっぱりテストってしんどい。

驚いたことには、終わった瞬間に結果が出て、すぐにその場でプリントアウトしたものを渡された。まあPCだからそういうことも可能なのだけど、普通は数週間後ぐらいにもらえると聞いていたから、心の準備ができていない。作文と会話の結果はもちろん後日なのだけど、それ以外の総合評価はB2。でも本当にギリギリで、一つ下のB1に限りなく近いB2だった。大学付属の語学学校に出願するためにはとりあえずB1レベルがあればOKだし、特に気合も入れないで受けたのだけど、とはいえこの結果はかなりマズイ。もう少し余裕でB2が出るぐらいの勉強はしてきているはずなのに・・・。また全部の結果が出てから、振り返ってみよう

 

窓からの眺め
試験が行われた部屋からはエッフェル塔が

退屈な授業

パリもだいぶ暖かくなってきて、長かった冬もやっと終わり。まだ気温が安定せず、急に寒くなったりするから、冬のコートを直すのはしばらく先になりそうだけど、それでも気分的にだいぶ楽。夏時間に切り替わって日も長くなったし、こうなると出かけるのが楽しい。桜がないのは残念だけど、春っていい季節だ。
 

リュクサンブール公園
花にあふれるリュクサンブール公園

 
さて、4月から久々に学校通いを再開。というのも、3月は1カ月休んでいたのだ。今通っているところは授業料が高くて、そろそろ休みを挟んでいかないと続けられないので、この後ももうあまり行けない。そんなことをしているのなら日本に帰ればいいのだけど、まあ帰ってもそんなにいいことはないから、可能な限りここにい続けたい。

以前の記事にも書いたけれど、休みに入る前の先生はすごくよくて、授業内容が本当に充実していた。このまましばらくこの先生だったらいいと思っていたのだけど、残念ながら今回は1カ月だけの契約だったらしく、あっという間に終了。そのタイミングもあって、3月を休みにしたのだ。そして久しぶりに行ってみると、去年9月、この学校に来た最初の週に当たった先生が担当。1週間だけで合わないなと感じて、もう二度と教わりたくないと思っていた人。そのときは運よく次の週からクラスが変わり、それ以来たくさんの先生に教わったものの、この人はずっと避けることができていたのに。巡り巡って、また戻ってきた。そして、やっぱり好きじゃないなとあらためて確認。

特に、この週の授業の内容が、前に通っていたパリカト(パリ・カトリック学院)も含めてもう10回以上やった条件法で、個人的に新しいことが何もなかったことと、もう一つのテーマである現代アートにもほとんど興味がなかったことで、毎日すごくつまらなかった。それに、この学校は1クラス最大7人までのはずなのに、この週は例外的に8人いたことも大きい。常に15~20人ぐらいいたパリカトに比べれば確かに少人数なのだけど、やっぱり5人以上になると会話するには多くて、実際みんなほとんどしゃべれていなかった。例によって、隣の人と2人で話す時間はたくさんあったけど、これも何度も書いている通り、せっかく授業を受けに来ているのに分からない同士でしゃべっても意味がない。
 

罫線1

 
でも何より、先生の人柄が好きになれないのだ。教師としてはたぶん優秀で、頭もよく経験も積んでいるのだけど、どうしても相性が合わない。別に緊張はしないのだけどリラックスもできないから、ぜんぜん楽しくないし、どちらかといえば苦痛。他の先生だと、言葉に詰まっても助けてくれたり、待ってくれたりするのに、この先生はこちらがまだ話そうとしているにもかかわらず、すぐに他の生徒に話題を振ったり、次の話題に移ったりする。それがなんとなく、私がしゃべるときだけそうしているように感じるから、さらに悪い。

一口に「話す」といっても何を重視するかは先生によってバラバラで、例えば去年の年末まで担当だった先生は、たくさん話すことと同時に文法通りきれいに話すことを求めていた。だから、話好きな欧米人だけがデタラメな文法で気持ちよくペラペラしゃべり続けるという状況にはならず、口数が少なくても構造的に正しく話せる私はこの先生によく褒められていたのだけど、今の先生はどちらかというと、文法よりも中身を重視するタイプ。内容も「芸術とは?」みたいな深いテーマだから、表面的なことじゃなく、自分の意見をきちんと掘り下げて発表することを要求している気がする。

でも、パリカト時代にも思っていたことだけど、それってもはや言葉の問題じゃないから難しい。個人的に、自分がどう感じているかをその場で言葉にする作業は日本語でも苦手なので、当然フランス語だと余計にうまくいかない。みんなよく、個性的な意見をすぐに思いつくことができるなと感心する。たぶんこの先生は、日本人は文法はたくさん勉強しているけれど、それを使って自分の考えを言うことはできないというのをよく知っていて、ちょっとそれをバカにしている感じがあるのだ。自分の弱点を知っている人は、それだけで一緒にいると居心地が悪いのに、そういう態度を取られるとますます意欲を失ってしまう。
 

罫線2

 
結局、人数が多い点と、文法が簡単すぎるという点は、クラスを決める責任者である別の先生に訴えて改善されることになったのだけど、しばらく担当の先生が変わることはなさそう・・・。この責任者の先生によると、先生たちにもバカンスがあるし、今の先生が好きだから変わってほしくないという生徒もいるので、なかなか難しいとのこと。でも、それって変だ。私だって、いい先生のときはずっとこのままのクラスがいいと思っていたのに。この学校は、そもそも短期間だけ勉強しに来る人を対象にしているから、長くいる生徒にとっては不満な点が多い。

授業の内容についても、その週の生徒のレベルに左右されるのが大きな問題。週によって、難しくなったり簡単になったりする。私はこの学校ではだいぶレベルが高くて、大体いつも1番上か2番目のクラス。よくできる人がたくさんいれば上のクラスになるけれど、今のようにあまりいないとそのレベルのクラスが成立しないので、普段より下のクラスに入れられる。だから、簡単すぎるからといって上がることもできない。まあこれは入る前から予想していたことではあるのだけど、大学付属の語学学校に比べると全体的なレベルはどうしても低いので、本格的に勉強したい人にとっては限界があるのだ。

それにしても、先生によってこちらのやる気はかなり変わる。留学で来ているのに学校が面白くなかったら、どうしたらいいんだろう?まあ、自由に行ったり休んだりできることはこの学校の大きなメリットなのだけど、学生ビザで来ている以上、一定期間は通わなければいけないので、あんまり休んでばかりいるわけにもいかない。でも、好きじゃない先生に習うぐらいなら、自分で教材を使って勉強する方がよっぽどマシだと思うんだけど。

 

アイスクリーム屋
早くもアイスクリーム屋の前には行列が

 

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