パリで語学力テストを受ける

前にも少し書いたことがあるのだけど、フランス語にも英語のTOEICやTOEFLみたいな世界共通のレベルテストがある。よく知られているのはDELF・DALFというもので、日本を含む多くの国で受けることができ、これを目指して勉強している人も多い。もちろん、仏検という資格もあり、私はフランスに来る前に2級を取ったけれど、日本だけでしか通用しないし、聞き取りと会話のレベルがかなり低くても通るので、本気で実力を試したい人にはイマイチかもしれない。

ただ、あまり知られていないテストもあって、その一つがTCFというもの。これも世界共通で、日本でも受験可能らしいのだけど、私自身は最近までまったく知らなかった。そもそも、個人的にこれらのテストや資格には興味がなく、自分なりにフランス語のレベルを上げていければいいと思っていたから。でもそれが、どうしても受けなければいけない状況になり、TCFを初受験。というのは、9月以降も学校を変えて滞在を延長する予定で、新しい学校への出願のために公式なレベルの証明が必要なのだ。ただの語学学校に入るために普通はそんなものいらないのだけど、もうお金がないから国立大学付属の学費が安い学校にしたい。でもそういうところは、入学金さえ払えば誰でも入れる今のような学校と違い、人数制限もあるしいろいろ書類を用意しなければいけないというわけ。まあこの辺りは、また後日詳しく。

TCFロゴ

画像引用元:http://www.delfdalf.jp/tcf_jp.htm

 
DELF・DALFとTCFの違いは大きい。前者は仏検と同じように自分の目指すレベルを受験して、合格か不合格で結果が出る。合格すれば世界で通用する資格として一生有効だから、価値はある。ただ、問われることは難しい。選択問題だけでなく筆記もある上に、アカデミックな内容も含まれる。私は受けるとすればDELFのB2レベルなのだけど、まず聞き取りで不合格になる自信が100%。その他も全体的にレベルが高いし、口頭試験の内容を見てあっさり断念した。与えられたテーマについて1人で準備する時間が30分、その後、質疑応答が20分。30分の準備時間って・・・。めんどくさい。これは前に通っていたパリカト(パリ・カトリック学院)のような学校でそれなりに対策をしないと、なかなかしんどいかもしれない。

それに比べて、TCFは全問選択式。フランス国籍取得を希望する人向けなどいろいろ種類があり、詳しくは知らないのだけど、誰でも受けられる一般的なものは初歩的な問題から難しい問題まであって、不合格というのはなく、点数によってレベルが判定される。内容からいうとTOEICに近い。ただし、結果の有効期間は2年間のみで、ずっと使えるわけじゃない。でも、今回はとりあえずレベルを証明するものがあればいいわけだから、これで十分。それに、DELFはパリで受けるとすごく高くて300ユーロぐらいする。安い語学学校に入るために仕方なく受けるテストなのに、ちょっと費用がかかりすぎだから、それもあってTCFにした。ただ、オプションで作文と口頭表現も追加したので、結局200ユーロぐらいかかったのだけど。
 

罫線

 
パリでTCFを受ける場合、調べた限りではソルボンヌとアリアンス・フランセーズという両学校で可能なようで、日程がよかったソルボンヌで申し込み。全部ネットでできるし、特に難しい手続きもなかった。ちなみに、テストは毎月やっているようだから、割と受けやすいと思う。そして今は、こういうテストもPCでやるようになっていて、ほとんどがPC版。個人的には、初めてだし紙の方が安心感があったのだけど、紙バージョンは半年に1回ぐらいしか実施していないみたいで、ぐずぐずしているうちに埋まってしまい、PCになってしまった。でも、やっかいな操作も必要なかったし、結果的にはPCでよかったかも。何より、聞き取り問題には最適。個別にヘッドホンをつけるから、音がクリア。それによって内容がいつもより分かることはないとはいえ、全員で一つの音声を聞くよりはるかに集中できる。
 

会場
14区のテスト会場

 
それと、作文もなんとPCだった。最初の全体説明で、1人の受験者が「作文もPCですか?」と質問すると、近くにいた別の受験者が即座に「Non」と答えたのだけど、試験官の先生が「そうよ。PCよ」と言ったので、私もびっくり。フランス語のキーボードって日本語と少し配列が違うから心配していたところ、実際、本番で何度も打ち間違えて時間をムダにしてしまった。あと「é」とか「ç」という特殊記号の出し方が分からないのも不安だったのだけど、これは案の定、別画面があって、そこをクリックすれば出るようになっていたのでひと安心。

余談だけど、手書きだと思ってせっかくフリクションを買ったのに。こちらでは、日本のようにシャーペンを使う習慣がなく、テストでもペンで書かなければいけないから、消せるペンをわざわざ入手したのだ。初めは日本から送ってもらおうと思っていたのだけど、調べてみるとフランスでもすでにフリクションは発売されていてかなりの人気らしく、文房具コーナーにたくさんの色が並んでいた。もちろん、パイロットのブランドで売られている。デザインはフランス仕様。
 

フリクション

 
事前の対策は特にせず、本屋で立ち読みして形式だけ把握。聞いていた通り、とにかく量が多くて、どんどんこなしていかないと最後までたどり着けない。ただ全体的な印象としては、レベル自体はそこまで難しくなく、時間さえあれば辞書を引かなくても理解できそうだし、もう少し速読できればきちんと時間内に終わりそう。TOEICのように、必死で頑張っても絶対に全問終わらせるのは無理、という感じではない。でも、今の学校はテストなんてないから久しぶりだったし、時間も長いので、集中力が途切れてぼーっとしてしまう瞬間が何度かあった。意外と緊張せずに受けられたのはまあよかったのだけど、やっぱりテストってしんどい。

驚いたことには、終わった瞬間に結果が出て、すぐにその場でプリントアウトしたものを渡された。まあPCだからそういうことも可能なのだけど、普通は数週間後ぐらいにもらえると聞いていたから、心の準備ができていない。作文と会話の結果はもちろん後日なのだけど、それ以外の総合評価はB2。でも本当にギリギリで、一つ下のB1に限りなく近いB2だった。大学付属の語学学校に出願するためにはとりあえずB1レベルがあればOKだし、特に気合も入れないで受けたのだけど、とはいえこの結果はかなりマズイ。もう少し余裕でB2が出るぐらいの勉強はしてきているはずなのに・・・。また全部の結果が出てから、振り返ってみよう

 

窓からの眺め
試験が行われた部屋からはエッフェル塔が

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