バカンス前の3つの出来事

この週末からクリスマス休暇に入った。11月に1週間の秋休みがあったばかりなのに、フランス人ってどれだけ休むんだろう。この休暇は2週間で、日本ではあり得ないことに1月2日から授業が再開するけれど、20日には今学期の最終日を迎える。つまり、1年間の授業のうちの半分があと3週間で終了するわけだ。ただ、アメリカの生徒たちはなぜかみんな年内で帰ってしまうのが恒例らしく、私が受けている各授業からも2、3人ずつ抜けてしまう。ほとんど話したことのない人もいるけれど、おそらくもう二度と会うことはないと思うと寂しい。

カトリック系の学校だからなのかどうか分からないけれど、アメリカの生徒たちの送別会も兼ねてクリスマスのお祝いがあった。午前中の授業を途中で打ち切り、語学学校の生徒全員が講堂みたいなところに集合。毎年おなじみの行事らしく、参加しないといけないのだそうだ。パン、ハム、サラダ、ケーキなどが並んでいて意外に豪華だったのだけど、残念ながら時間がなかったのと人が多かったのとで、ほとんど食べられなかった。でも、学校でこういうパーティーがあるってヨーロッパらしいしおもしろい。

 
この日の午後、映画の授業で2回目の遠足があった。1回目のときと同じようにみんなでバスに乗って5区へ向かい、授業で見た作品が撮影された場所を散策。そして帰り道、たまたまインドネシアの男の子と一緒になり、夕日がきれいな公園があるのでいってみないかと誘われた。彼と話すのはまだ3回目ぐらいだったけど、生徒同士はすぐに仲良くなれる。それに、彼の仕事が私のやっていた仕事と少し似ていたので、親近感もわいた。連れていってもらったのは、おそらく19区にあるビュット・ショーモン公園。残念ながら日没には間に合わなかったのだけど、まだ空に夕日の紅が残っていて、ゆっくりと夜が訪れるのを感じることができた。ここは人も少ないし、雰囲気もいい。何より、こんな時間を過ごすことができたのはうれしいハプニングだった。
追記:正しくは20区のベルヴィル公園)

 
そして休暇前の最終日。いつもの通り、学校の売店でサンドイッチを買おうとしていると、発音のクラスで一緒の韓国人の生徒と偶然出会った。彼女ともう1人、台湾の生徒とは気が合って、そのうちごはんを食べにいこうと前から話していたのだけど、ちょうどその台湾の彼女も近くにいたので、3人で近くのレストランへ。もちろん、たくさん話ができるわけじゃないのだけど、みんなアジア出身だし年齢も同じぐらいで、なんとなく通じ合うものがある。まあ日本人同士でも大した話をするわけじゃないし、言葉が不自由でも楽しいのだ。それに、会話の練習にもぴったり。残念ながら写真は撮りそびれたのだけど、このときのレストランはイタリアンで、日本で食べるのと同じようになかなかおいしかった。

野菜イメージ

 
ところでバカンスになると、みんな旅行の話題で盛り上がる。私はまたパリにずっといるつもりだけど、今回は2週間あるから、いったん自分の国に帰るという人もけっこういるみたいだ。でも、なんでみんなそんなにお金があるんだろう?まあ、どうせ今はどこにいっても寒いし、パリにいたってやることはいっぱいある。それにしても、フランス人がこんなに休んでいることを考えると、日本でゆとり教育だのなんだのって言っていることがばからしく思えてくる。だってフランス人はみんな“ゆとり世代”だ。

 

学校のクリスマスツリー
学校にもクリスマスツリーが登場

 

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フランスのテレビ番組②

日本の公共放送といえばNHKだけど、フランスではフランス・テレビジョンという放送局がこれに当たる。ただ、国が経営に関与する国営放送のようだから、NHKとは性格が異なる。ホームページによるとチャンネルは6つあって、このうち私が今、テレビと同時配信されている番組をネットを通して見られるのはフランス2、フランス3、フランス4、フランス5の4チャンネル。教育関連、芸術関連などそれぞれ特徴があるようだけど、毎日ずっと見ているわけじゃないから違いはよく分からない。国営放送だからといって硬いのかといえばぜんぜんそんなことはなく、むしろNHKよりはるかに伸び伸びしている。このほかにもちろん、民放やケーブルテレビもたくさんあるらしいのだけど、家にテレビがない人にとってはネットで全部見られるわけではない上に、中には有料チャンネルもあるみたいだから、全体像をつかむのはなかなか難しい。

フランス・テレビジョンのチャンネルロゴ(ホームページより)

 
毎日、大体フランス2か3をつけているのだけど、視聴者参加型のクイズ番組がなぜかものすごく多い。ほぼ毎日、午前中からやっているし、夕方には3時間ぐらい続けてさまざまな形式のクイズ番組が登場する。ただ、これが意外におもしろいのだ。問題によっては数字や発音の勉強にもなるし、司会者と一般の挑戦者との会話を聞くのもフランス語を学ぶ上ではとても有効。

 
中でも気に入っているのが、フランス2で月~土曜まで毎日放送されている「N’oubliez pas les paroles」。ランダムに指定される歌の歌詞の一部を間違えずに歌えたら、その割合に応じて賞金がもらえるというもので、番組タイトルは「歌詞を忘れないで」ぐらいの意味かな。毎回、オーディションで選ばれたと思われる一般の視聴者が登場して2人で競い合い、勝った方は次に負けるまで“マエストロ”として新たな挑戦者を迎える。これまでに見た中で一番長く勝ち続けたのはこの2人。どちらもどんな歌が出てきても完璧に歌詞を覚えていて、永遠に負けることはないんじゃないかと思うほどだった。それぞれ2、3週間ぐらい毎日顔を見ていたから負けたときは残念だったけど、2人とも日本円で1千万円以上稼いでいったので、本人たちは満足しているはず。

NHKのど自慢と似ているけれど、断然こっちの方が楽しい。プロの生演奏もクローズアップされるし、司会のアナウンサーもお客さんもノリノリで、舞台の真ん中で踊りだしてしまう人も珍しくない。それになんといっても、フランスの歌がたくさん聞ける。フランス語でぼそぼそ歌うシャンソンや、アコーディオンを使った陽気な曲ばかりなのではもちろんなく、ロックやポップス、フランス語版のアナ雪なんかも出てくる。フランス語にロックは合わないと思っていたけれど、こうやって聞いてみると違和感はない。というより、最近の曲は日本で聞いたことがあるようなものばかりで、そのまま日本語にして日本の歌手が歌ってもおかしくないんじゃないかと思うぐらい。音楽好きの友人が、もう世の中に新しい音楽は出てこないって嘆いていたけれど、本当にその通りなのかも。だからエディット・ピアフの歌とかオー・シャンゼリゼなんかが出てくると、やっぱりフランスらしくていいなあと思ってしまう。

 
フランスのテレビはおもしろくないという人がけっこういるけれど、個人的には今のところ、特に日本と違う気はしない。おもしろいものもあれば、くだらないものもある。フランス映画は世界でも高く評価されているのに、それと比べたら差は感じないでもないけれど、まあテレビってそんなものだ。それにしても、こんなに毎日プレゼントや賞金を出せるって、国営放送に一体どれだけのスポンサーがついているんだろう。

 

こんな問題も登場

効果的な授業とは

今週、先生が体調をくずして2日間休んだので、代わりに2日とも違う先生が授業をした。いつもはテキストが中心で、読み・書き・聞き取りの練習が多いのだけど、1日目の先生は普段からテキストを使わない方針らしく、まずは1人1人自己紹介をして先生の質問に答え、そのあと、文章を聞いて書き取るディクテーションをやった。1人がじっくり話をすることも、それをみんなで聞くことも普段はないから、まずはそれが新鮮だったし、ディクテーションも授業では初めて。内容自体はそんなに難しくなかったのだけど、この先生はとにかくどんどんしゃべることを促す人で、すごく活発な授業だった。対照的に2日目の先生はまあ普通で、可もなく不可もなくというかんじ。ただ、2日間終わったあとで同じクラスの台湾の生徒と話をしてみると、1日目の先生はちょっとプレッシャーをかけすぎだから、2日目の授業の方がよかったそう。彼女は普段から積極的に発言するので、逆に強要されるのは好きじゃないのかも。でも個人的には、絶対にしゃべらなければいけない状況をつくってくれる方が訓練になる。

 黒板とチョーク

 
9月から授業を受けてきて、苦手な聞き取りはおそらく一番訓練できているからそれはいいのだけど、今度は話すのがぜんぜんだめだと感じてきた。英語の例で考えると、書ければしゃべれるはずなのであまり心配していなかったけれど、やっぱりその場ですぐに単語や言い回しが出てこないことが多い。今通っているパリ・カトリック学院(通称パリカト)は上達のための体制が整っていて、ボランティアの先生たちによる会話のクラスを無料で受けることができるのだけど、私もこれに週1回通っていて、最近はみんな来ないからラッキーなことにマンツーマンで教えてもらっている。それから休み時間にはなるべくほかの生徒と話すようにしていると、よく使うフレーズはだいぶスムーズに出てくるようになった。でも、もちろんまだまだ十分じゃない。

いつもと違う先生の授業を受けて、上達のためには一体どんな内容がいいんだろうと考えた。個人的には読み・書きや文法はあまりやらなくていいから、今知っている知識を使ってもっと聞く練習と話す練習をしたい。ディクテーションは効果的だしずっと緊張感を保つことができるので、授業でやるのはありだと思う。でもよく考えたら家でもできるから、その時間は別のことをやってもらった方がいいともいえるのだけど、みんなが同じ状況なのではなく学校でしか勉強できない人もいる。読解も同じで、自分でもできるし授業ではあまり時間を割いてほしくないけれど、これを積極的にやらなければ新しい語彙や表現が増えないし、話せるけれど文法はできないという人もいるから、やっぱり文法もなしというわけにはいかない。

ただ、週に12時間ある「総合フランス語」の授業のうち、2、3時間だけでも会話の練習に充ててくれないかなと思う。クラスは11人いるからなかなか1人ずつ話すというのは難しいかもしれないけれど、例えば毎回何かテーマを決めて、今の自分のレベルでとにかくできる限りしゃべってみる。私が講師だったら、こういう授業をしてみたい。普段の授業では、隣の人と2人で意見を言い合うよう指示されることが頻繁にあるのだけど、これは隣の人のレベルによって濃度がかなり違う。よくできる人同士だと会話が始まるのも早いし、すごく話が弾んでいたりするけれど、ほとんど何も言葉を交わしていないペアもいる。いずれにせよ、これだけだとあまり効果的な練習にはならない。

 アーガイル柄罫線

 
ところで、パリカトは授業でプレゼンをするのが恒例らしく、今週は私にも順番が回ってきた。課題は「自分の街」で、クラス全員が毎回1人ずつそれぞれ住んでいた街を紹介する。もちろんフランス語で。プレゼンなんて仕事でもほとんど経験がないのだけど、どんな相手に、何を紹介するのかということを踏まえた上で内容を選別しレジュメにまとめるという作業は、仕事でやっていたのととほぼ同じ。けっこう楽しみながら資料をつくり、テキストを読むだけになってもおもしろくないので、文字はあまり書かず頑張って覚えてしゃべった。特徴のある大阪でよかった。

残念なのは、自分のフランス語が必ずしも全員に通じていないことなのだけど、ほかの人の発表を見ていて思ったのは、すらすらしゃべっているように見える人でも実はけっこう間違っているのではないかということ。自分で聞いていて気づくことはまああまりないのだけど、あとから先生が指摘するのを聞いていると、割と簡単な文法でも正しく使えていなかったりする。でもそういう人たちは、間違っていようがとにかく言葉がどんどん出てくるのだ。だからやっぱり、とりあえずは知っている表現を使って何とか意志を伝える訓練が必要。

それにしても、このプレゼンってなかなかいい。日本の会話教室ではおそらくどこも同じだと思うけど、毎回 Quoi de neuf?(英語のWhat’s new?)と聞かれるので、何か考えていかないといけない。でも、人に語れるような出来事ってそうそうないから、週1回のクラスだったりするとけっこう大変だ。だから代わりに、毎回1人ずつプレゼンをやるっていうのもおもしろいかも。

 

パリの大気汚染

恒例の大気汚染による車両規制のため今週は公共交通機関が無料に
画像引用元:http://www.afpbb.com/articles/-/3110578

 

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