遠足と古本市

バカンスに入る前の先週の映画の授業は、先生と生徒全員で外出した。パリを舞台にした映画を見ながらその場所について学ぶことがこの授業のテーマの一つなので、じゃあ実際に行ってみようという楽しい試み。留学生を対象にしたパリツアーはたくさんあるけれど、そういうのには参加したことがないので、ほかの生徒と出かけるのは初めて。すでに自分でも歩いてみた1区のパレ・ロワイヤルやヴァンドーム広場、初めて入る9区の百貨店ギャルリー・ラファイエットなどをめぐり、最後は4区の端にあるバスティーユ広場を通って近くのカフェへ。みんなでバスやメトロに乗ってパリ市内を一緒に移動し、テラス席に並んでコーヒーを飲むという、なかなか体験できない3時間だった。
 

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このクラスの生徒は11人で、日本人は私を入れて4人、アメリカ人は2人いるけど、ほかはみんな違う国の出身。このうち英語をしゃべれる何人かはすでに友だちになっていて、普段から一緒に行動することもあるようだけど、ほとんどの人がこのときに初めてほかの生徒と話をしたんじゃないかと思う。そういう私も同じで、週に1度、顔を合わせているのに、言葉を交わしたことはなかったなという人ばかりだった。それで気づいたのだけど、こういうときなぜかアジア人はアジア人同士、仲良くなるのが早い。個人的にも、ヨーロッパ人やアメリカ人より、韓国人や中国人と接する方がなんとなく気軽に感じる。韓国人は日本人と感覚が似ているから安心するのかもしれないけれど、中国人にはどちらかといえばあまりいい印象を持っていないのに、こういう場面ではまったく関係ない。彼らの方でも同じことを感じているようで、やっぱり最初は同じアジア出身の生徒に話しかけている。でも、一緒に行動するうちにだんだん雰囲気に慣れてきて、クラス全体が少しずつ打ち解けていったようだった。なんだかこの日で一気にみんなとの距離が縮まった気がする。そして、やっぱりこうやって会話することで話す力と聞く力がついていくんだなとあらためて実感。
 

行進イラスト

 
こうして初めての“遠足”が終わった後、先生が近くで開かれている古本市のチケットを持っているというので、ほかの生徒2人と一緒について行った。もう夕方だったし、次の日も朝から授業があったので帰るつもりだったのだけど、チケットにあった「古い紙の本」というフランス語に引かれ、つい行くと言ってしまった。でもこれが大正解。すごくおもしろかった。
 

 
運河沿いの両岸にテントが連なっていて、セーヌ川の古本市と似ているけれど、規模が大きく店も多い。そして何より、いい景色!どうやらこの場所で定期的に開かれているみたい。フランスの古い本や雑誌、ポスターはもちろん、日本の浮世絵や現代アートなんかもあって、紙好きや本好きならきっと長居してしまうはず。先生もこういうところによく顔を出すようで、たくさんの知り合いに声をかけられていた。普段とは違うプライベートな一面を目撃して、先生の素顔も少し知ることができた気がする。

 

橋
趣のある橋を渡って対岸へ

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