ランチにお呼ばれ

先日、語学学校で同じクラスの日本人女性Cさんの家にご招待いただいた。こちらも同じクラスの日本人大学生Mさんと一緒にお伺いし、なんとも豪華なランチをごちそうになった。こんなに家庭的で日本らしい食事は久しぶり。パリでもちゃんとやればこんなのできるんだなー。サンドイッチも悪くないけど、やっぱりお味噌汁とごはんがあるとほっとする。

 
ランチ

 
Cさんのアパートは15区にあり、大きな窓からセーヌ川が見える。以前は知り合いの日本人家族が住んでいて、彼らが出た後ここに入ったとのこと。向きの加減で残念ながらエッフェル塔は見えないけれど、位置的にはかなり近いので、通りに出るとその姿をとらえることができる。周りにはスーパーも多いし、なかなか住みやすそうだ。彼女は私より少し年上で、旦那さんの転勤で1年半ほど前にパリに来て、今は小学生の息子さんと3人でここに住んでいる。来た当初はフランス語もほぼまったくできず、街に出るのも買い物に行くのもいやで、鬱状態になったのだそうだ。いつも明るくとても勉強熱心だから、そんな時期があったなんて意外だけど、なんとか普通に生活できるようになるまでかなり時間がかかったと言っていた。そして息子さんも日本語しかできない状態でパリに来て、今はインターナショナルスクールに通っているから授業は基本的に英語、その中にフランス語と日本語の授業があり、全部を同時に勉強しているそう。部屋には今習っている漢字表もあった。心からエールを送りたい。

 
窓からの景色

 
私も大学生のMさんも、それなりに努力と苦労をしているとはいえ、自分の意志でパリに来た。特に私の場合はホームシックみたいなものもまったくなく、気楽にここでの生活を満喫している。でも、来なければいけなくなってここに来た人もいるのだ。クラスの中にはほかにも、旦那さんの仕事の都合でパリに住んでいるという人が何人かいるから、彼女たちも人知れず大変な思いをしているのかもしれない。けれど、Cさんも含めみんなちゃんと学校に来てフランス語を勉強しているのだから、本当に尊敬する。言い方は悪いけど、自分が望んだのではないことを“やらされている”とも取れるのに、時間がかかったとしてもそれを受け入れているのだ。私自身は、同じ場所にとどまっていることが好きじゃないのに加え、一応は経験を増やし視野を広げたいという思いもあって能動的にいろいろやってきたけれど、自分から行動することだけが人生をつくっていくことではないんだな。また一つ、新たなものの見方を学ぶことができた気がする。今まで考えたこともなかったけど、自分なら同じ状況でやっていけるだろうか。仕事を辞めて留学するというのも確かに大きな決断だけど、それはあくまでも自分が望んだこと。意志とは関係なく、言葉も通じない場所で小さな子供を抱えながら一生懸命生きている彼女たちの方が、よっぽどすごいと思う。フランス語でよく使う表現に 「C’est la vie(これが人生)」というフレーズがあるのだけど、まさにそれだ。

 花びら

 
食後のデザートは、ラ・パティスリー・デ・レーヴというショップのケーキ、サントノーレ。日本でも東京や京都に店舗があって人気のようだけど、ガイドブックなんかをつくっていた割にグルメ情報には疎いので、ぜんぜん知らなかった。このアパートの近くにボーグルネルという大きなショッピングモールがあり、そこにショップが入っているというのを前日に知って、試しに買ってみたのだった。まあおいしかった。日本でも話題になるはずだ。
 

 
本当は、一番有名なパリブレストというのがあったからそれが欲しいと店員さんに言ったのだけど、なぜかその日はだめだと言われた。なぜだめなのかについて3回ぐらい説明してくれたけれど、結局分からず。料理もフランス語も人生も、まだまだ勉強が必要だ。

 

お蕎麦
おみやげにお蕎麦までいただく

 

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