スペインより④

バルセロナ4日目。今日も朝からよく晴れて、きのう以上に暑かった!Tシャツからタンクトップにして少し楽になったけど、デニムが完全に失敗。明日からは短パンにしよう。

11時前にチェックアウトして次の宿へ。といっても、地下鉄で3駅ほど行ったところのバルセロナ市内。せっかく出した荷物を片づけて、なぜわざわざ近いところに移動したのかというと、今朝までいたホステルは値段が高かったから。ホテル予約サイトの価格設定がどういう仕組みなのかよく分からないのだけど、この3泊の平均額と、残りのバルセロナ滞在を全部ここに泊まった場合の平均額を比べると、長く泊まった方がだいぶ高かったのだ。なので、少しでも安く抑えるためにわざわざ別のホステルに移ったというわけ。まあ、気分も変わるし。今度の宿は、市内最大だというサンツ駅のすぐ近く。ただ、まだ時間が早くてチェックインはできなかったので、荷物だけ預かってもらう。
 

サンツ駅
駅前は人がいっぱい

 
向かったのは、これもバルセロナで人気の観光スポット、世界遺産のグエル公園。ここはウディ・アレンの『それでも恋するバルセロナ』で見て面白そうだな~と思っていた場所。実際、予想以上に楽しめた。

グエル公園は、ガウディのスポンサーでもあった実業家のグエル氏が、田園都市をつくるという計画のために造成した宅地らしいのだけど、資金の問題などで中断し最終的に公園になったそう。山の上にあるから、最寄駅からは坂道を上っていく。

 坂道

 
上にたどり着くと、この山全体が散策コースのようになっているのか、公園以外の場所を歩いている人もけっこういた。山道からグエル公園を見るとこんなかんじ。

 参道から見たグエル公園

 
さて、ここでさっそく問題発生。このグエル公園には入場制限があり、事前にネットで予約すると時間通りに入れる上に、チケットも安くなる。だからきのうにでもしておこうかと思ったのだけど、今使っているのは各ホステルのフリーwi-fi。さすがにこれでクレジットカード情報を送信するのは気が引けたので、まあとりあえず行ってみることにした。だってネットで見ると、毎日どの時間帯も空いているのだ。ところが13時前に着くと、次の入場時間がなんと16時半!3時間半かあと思いながら、どうするか決めかねてとりあえず正面入り口に行ってみる。なんとも特徴的なこのデザイン。手前の白い屋根の建物2つは、童話『ヘンゼルとグレーテル』のお菓子の家をイメージしているとのこと。

 正面入り口

 
いったんチケット売り場に戻ってみると、ほんの少ししかたってないのにもう入場時間が17時半に変わっている!うーん、さすがにあきらめたのだけど、結局これがまちがいだった。なぜなら、このグエル公園には無料ゾーンもあり、この無料ゾーンをうろうろ見て回るだけで2、3時間ぐらいあっという間に過ぎてしまったからだ。公園を出たのは結局17時だったから、16時半でぜんぜんOKだった・・・。まあ、もう終わってしまったことなのだけど。

有料ゾーンは、要するにこの中央広場の中。色鮮やかなモザイクのベンチやギリシア神殿風の柱、そしてそこにあるらしい天井飾りなどなどが近くで見られる。やっぱり、外側からと内側からではぜんぜん違う。有名なトカゲの噴水があるのももちろん有料ゾーン。
 

 
ベンチに座って写真を撮る人たちを遠巻きにして眺めながら、その後ろに広がる無料ゾーンへ。まずは山の上までゆっくり登り、上からの眺めを堪能。左の方に小さく見えるのがサグラダ・ファミリア。こうやって見ると、ファサードが背中合わせになっているのがよく分かる。今日は本当に暑かったから、上がるのがしんどかった・・・。この高い場所で30分ぐらい休憩。

 山の上からの眺め

 
今度はゆっくり下りていく。景色もいいし、下りはだいぶまし。

 下り道

 
そして有料ゾーン近くまで戻ると、妙な建造物を発見。樹木のような柱廊があちこちに!上も下も観光客が歩いている。
 

 
中に入ると涼しくて、この暑い日の休憩場所にぴったり。そしてここでは、プロの路上ミュージシャンたちが演奏したりしているから、運がよければそれも楽しめる。たまたま、帰り際に座っていた場所でフラメンコのちょっとしたライブ(しかもダンス付き!)が始まったので、それが17時までいた理由のひとつなのだけど。
 

 
これはガウディが暮らしていたという家。現在は博物館。

 ガウディの家博物館

 
食事できるスペースや、ちょっとしたお花畑も。
 

 
公園自体がすごく広くて、いろいろな趣向が凝らされているから、アミューズメント感満載。思った以上に楽しかった。ただ、ずっと外にいたから、帰ってから肩を見ると見事に真っ赤!ちゃんと日焼け止め塗っていたのになあ。というか、腕自体は大丈夫だったのに、肩だけやられたのだ。そういえばここは昔から焼けやすい。しまったー、この年でタンクトップ焼けとは・・・。まあでも、これ以上肩が出る服は着ないから、とりあえずは大丈夫だ。今のところ、痛みはぜんぜんないのでそれだけでもよかった。明日からは厳重に日焼け対策せねば。

ということで、なかなか楽しい一日だったけど、中が見られなかったのはやっぱり悔しいからまた行くかも。

 

ホステル
新しいホステルの部屋

スペインより③

バルセロナ3日目。朝から快晴で、半袖にデニムだと暑かった。今日はゴシック地区へ。旧市街の中でももっとも古い地域だそうで、1日目に歩いたメインストリート、ランブラス通りの東側に広がっている。きのう、バルセロナはあまり面白くないと書いたけれど、このゴシック地区は石畳の道に歴史的な建物が並ぶ、雰囲気のあるエリア。ただ歩いているだけで楽しい場所だ。特に、狭い抜け道は思わず通ってしまいたくなる。
 

 
ヨーロッパの街には必ず、ところどころにこういう広場がある。
 

 
中央郵便局。

 郵便局

 
ゴシック地区の中心、カテドラル。

 カテドラル

 
王の広場。正面にあるのは王宮で、バルセロナ伯爵の住居として使われていたそう。この広場の奥の階段は、なんとかつてコロンブスが上がったこともあるんだとか。

 王の広場

 
そして何よりいいのは、ここに住んでいる人たちの生活が少しのぞけること。カラフルな建物が並び、バルコニーに洗濯物がはためく様子は、まさにハバナで見た光景。ここまで自国と同じように変えてしまったんだなあ。
 

 
こんな風に、歴史のある街をそこに住んでいる人たちの息づかいも感じながら当てもなくぶらぶら歩くのって大好き。というより、私の旅はほぼそれで十分だ。残念なのは、この旧市街があまり大きくないこと。ここを一歩出ると大通りがたくさんある大都会で、バルセロナの印象もまさにそんなかんじ。これがパリとは違うところなのだ。

最後に、ランブラス通りの西側にあるガウディ作グエル邸にも行ってみた。彼の初期の作品で、ここも世界遺産だそう。外から見ただけでも、やっぱり変わっている。

 グエル邸

 
ちょっとバルセロナは時間を持て余し気味。今回も日本人宿に問い合わせてみたのだけど、そもそも数がそんなにないからもう予約でいっぱいだった。だから友達もできないし、食事もずっと一人だ。今泊まっているようなユースホステルはどうしても英語が共通言語なので、旅に最低限必要なぐらいしか話せないと、すごく肩身の狭い思いをする。これは世界中どこに行っても同じで、英語をしゃべれる人たちがすぐに仲良くなっているのを見ながら毎回ちゃんと勉強しようと思うものの、思うだけで終わっている。だからいつも、話しかけられるのが好きじゃない人を装って一人でいるようにしているのだけど、これってすごく居心地が悪いし、情けない。かといって普通のホテルに泊まる余裕はないし……。せっかく旅行に来ているのに、これがいつもいやなのだ。日本人が来てくれないかなあ。

 

クレープ屋
夕食は市場のクレープ屋で

スペインより②

朝、けっこう雨が降っていたのでえー!と思ったけど、10時ぐらいにはあがっていい天気に。バルセロナはやっぱり、パリとそれほど気温が変わらず、夜は長袖に靴下を履かないと寒かった。今日は結局よく晴れて、半袖1枚で暑くもなく寒くもなくちょうどいいぐらい。

旅人は早起きのようなイメージがあるかもしれないけど、ぜんぜんそんなことない。みんな遅くまで夜遊びしたり、スマホを触ったりしているから、昼近くまで寝ている人もいる。そういう私も、今の宿は朝食が付いていないこともあって、だらだら。11時になってようやく出発。

今日は一日、サグラダ・ファミリア。当日券ももちろん買えるようだけど、シーズン中は予約しておく方が確実とのことだったので、事前にネットで今日のチケットを買っておいた。それに、サイトから購入した方が少し安いらしいし。予約は午後なのでそれまでは入れないのだけど、絶対迷うし、いったん見ておくことに。宿からサグラダ・ファミリアまでは歩いて15分ほど。案の定、それほど難しくない道を何度か間違えた末にたどり着き、予約した方がいいとの情報に納得。すごい人!しかも、周りが道路になっているからあんまりスペースがなく、ノートルダムの前より混雑しているように見える。それにしても、この建物は想像以上。

 受難のファサード

 
サグラダ・ファミリアってテレビや雑誌であまりにもよく見るし、実はそれほど興味なかったのだけど、実際に目の前で見てみるとイメージよりも相当大きい。ものすごいスケール。やっぱり、映像や写真ではぜんぜん伝わらないものなのだ。

でも、ここで驚いている場合じゃなかった。今日、行ってみるまでサグラダ・ファミリアについてほとんど知らなかったのだけど、鐘楼(塔)を備えたこのファサードと呼ばれる“正面”部分は全部で3つあるそうで、このうち「受難のファサード」「生誕のファサード」は塔の上を見学できる。というか、残りの1つ「栄光のファサード」の塔はまだ完成していないとのこと。見学中も工事の音がかなりうるさかった。上の写真は「受難のファサード」で、反対側に回ると「生誕のファサード」があるのだということを今日初めて知ってびっくり。よく似ているけど違う。きっとこちらの方がメディアではよく出てくると思う。

 生誕のファサード

 
もうこの2つのファサードを外から見ただけでかなり満足したのだけど、まだまだこれから中を見学できる。それまでだいぶ時間があるので、周辺を散策してみた。

バルセロナが全部そうだというわけではないはずだけど、この辺りは大通りばかりで、すごく都会的なかんじ。でも建物はやっぱりスペインっぽくて、特にバルコニーが特徴的。2月に行ったキューバによく似ている。まあ、キューバがスペイン風にされたんだけど。でも、ここまで同じような街並みとは思わなかった。もちろん、こっちの方が断然、現代化されているけど。
 

 
まだ2日目でこんなこと言うのもなんだけど、個人的にバルセロナは歩いていてあまり面白い街じゃない。まあヨーロッパだから、インドやモロッコ、それこそキューバのような、自分が知っている世界とはぜんぜん違う空気はないし、建物に特徴があるとは言っても、それが街の雰囲気をつくっているというほどでもない。パリはもちろん、アムステルダム、プラハ、そして京都も街全体がひとつの美術作品のような、そこにしかない唯一のものになっているけれど、バルセロナはそうじゃない。マドリードの方がこぢんまりしていそうだから、大きな街が好きな自分はバルセロナの方が気に入るんじゃないかと思っていたけど、もしかしたらマドリードの方がいいのかなあ。でももう日程は変更できないし……残念。

さて、気を取り直して予約時間にサグラダ・ファミリアへ。生誕のファサードの方が、ガウディが生存中に完成したとあって人気らしいので、生誕のファサードの鐘楼+聖堂内部+オーディオガイドのチケットを購入済み。学生料金でなんと27ユーロ!でも、学生証を提示する必要はなかった。この辺が適当だ。塔の見学時間を選ぶと自動的に聖堂自体への入場時間も指定されるのだけど、これが15時15分~15時半で、塔の前のエレベーターに集合するのが15時半。あまり余裕がない。チケットはスマホ画面でOKなのだけど、おそらく日差しのせいで私のバーコードだけなかなか読み取ってもらえず、後ろの人に迷惑をかけながら焦って中へ。幸い、時間には十分間に合って、無事エレベーターに乗れた。上からの眺めはこんなかんじ。
 

 
高い。そしてやっぱり街並みが、パリとはぜんぜん違う。カラフルな色使いがスペインだ。普通こういう塔の上って進路が決められているものだけど、この生誕のファサードは途中で階段を上がったり下りたり、横の通路へ抜けたりできて、うろうろ好きなところへ行ける。すごく不思議だけど、最終的にはみんな同じところへ下りてくる。狭い螺旋階段もいい。
 

 
地上に戻り、今度は聖堂内部を見学。これもまた外観のイメージが強すぎてぜんぜん知識がなかったのだけど、塔の上よりよかった。ヨーロッパで教会は飽きるほど見たから、もういいと思っていたけれど、ここは他のどの教会ともぜんぜん違う。
 

 
まず、光にあふれているのが印象的で、これはガウディが意図したことだそう。そして美しいステンドグラスは、東=太陽が昇る側が寒色系、西=太陽が沈む側が暖色系になっていて、柱が表しているのは樹木、そしてこのサグラダ・ファミリア全体が十字架の形をしているということも、オーディオガイドを聞いて初めて学んだ。オーディオガイドってけっこう高いし、普段は使わないのだけど、やっぱりあるとないとではぜんぜん違う。
 

 
外壁の装飾も近くで見るとものすごく細かくて、一つひとつに受胎告知やキリスト生誕などの意味が込められているそう。一見、よく分からないオブジェのようなものも何かを表現している。
 

 
ガウディって、ただ奇抜なデザインが特徴っていうぐらいのイメージしかなかったけど、やっぱり偉大な建築家だ。宗教的な意味を全部考えて、こんなに美しい形として設計したのかと想像すると、すごいとしか言いようがない。使われる目的に沿ってデザインするって一番大切なこと。そして、大工さんの子供たちのために建てられた学校も。

 学校

 
これまで見た中で本当によかった建物はインドのタージ・マハルと厳島神社だけど、このサグラダ・ファミリアもベスト3に入りそう。想像をはるかに超える素晴らしさで大満足。まあ好みの問題で言うとノートルダムの方がやっぱりタイプなのだけど、純粋に建築として興味深く見学できる。バルセロナに来る理由はこれだけで十分かもって思うぐらい。

そういえばきのう、ガウディ作カサ・バトリョの横の建物について、ただのジュエリー店だと書いたけど、これはガウディの先生だったこともあるというリュイス・ドメネク・イ・モンタネールという建築家の作品だった。中も見学できるそう。よく知らないのにガイドブックをちゃんと読まないとこういうことになる。

さて、明日はどこに行こう。

 

子供たち
街で見かけた女の子たち