朝、けっこう雨が降っていたのでえー!と思ったけど、10時ぐらいにはあがっていい天気に。バルセロナはやっぱり、パリとそれほど気温が変わらず、夜は長袖に靴下を履かないと寒かった。今日は結局よく晴れて、半袖1枚で暑くもなく寒くもなくちょうどいいぐらい。
旅人は早起きのようなイメージがあるかもしれないけど、ぜんぜんそんなことない。みんな遅くまで夜遊びしたり、スマホを触ったりしているから、昼近くまで寝ている人もいる。そういう私も、今の宿は朝食が付いていないこともあって、だらだら。11時になってようやく出発。
今日は一日、サグラダ・ファミリア。当日券ももちろん買えるようだけど、シーズン中は予約しておく方が確実とのことだったので、事前にネットで今日のチケットを買っておいた。それに、サイトから購入した方が少し安いらしいし。予約は午後なのでそれまでは入れないのだけど、絶対迷うし、いったん見ておくことに。宿からサグラダ・ファミリアまでは歩いて15分ほど。案の定、それほど難しくない道を何度か間違えた末にたどり着き、予約した方がいいとの情報に納得。すごい人!しかも、周りが道路になっているからあんまりスペースがなく、ノートルダムの前より混雑しているように見える。それにしても、この建物は想像以上。
サグラダ・ファミリアってテレビや雑誌であまりにもよく見るし、実はそれほど興味なかったのだけど、実際に目の前で見てみるとイメージよりも相当大きい。ものすごいスケール。やっぱり、映像や写真ではぜんぜん伝わらないものなのだ。
でも、ここで驚いている場合じゃなかった。今日、行ってみるまでサグラダ・ファミリアについてほとんど知らなかったのだけど、鐘楼(塔)を備えたこのファサードと呼ばれる“正面”部分は全部で3つあるそうで、このうち「受難のファサード」「生誕のファサード」は塔の上を見学できる。というか、残りの1つ「栄光のファサード」の塔はまだ完成していないとのこと。見学中も工事の音がかなりうるさかった。上の写真は「受難のファサード」で、反対側に回ると「生誕のファサード」があるのだということを今日初めて知ってびっくり。よく似ているけど違う。きっとこちらの方がメディアではよく出てくると思う。
もうこの2つのファサードを外から見ただけでかなり満足したのだけど、まだまだこれから中を見学できる。それまでだいぶ時間があるので、周辺を散策してみた。
バルセロナが全部そうだというわけではないはずだけど、この辺りは大通りばかりで、すごく都会的なかんじ。でも建物はやっぱりスペインっぽくて、特にバルコニーが特徴的。2月に行ったキューバによく似ている。まあ、キューバがスペイン風にされたんだけど。でも、ここまで同じような街並みとは思わなかった。もちろん、こっちの方が断然、現代化されているけど。
まだ2日目でこんなこと言うのもなんだけど、個人的にバルセロナは歩いていてあまり面白い街じゃない。まあヨーロッパだから、インドやモロッコ、それこそキューバのような、自分が知っている世界とはぜんぜん違う空気はないし、建物に特徴があるとは言っても、それが街の雰囲気をつくっているというほどでもない。パリはもちろん、アムステルダム、プラハ、そして京都も街全体がひとつの美術作品のような、そこにしかない唯一のものになっているけれど、バルセロナはそうじゃない。マドリードの方がこぢんまりしていそうだから、大きな街が好きな自分はバルセロナの方が気に入るんじゃないかと思っていたけど、もしかしたらマドリードの方がいいのかなあ。でももう日程は変更できないし……残念。
さて、気を取り直して予約時間にサグラダ・ファミリアへ。生誕のファサードの方が、ガウディが生存中に完成したとあって人気らしいので、生誕のファサードの鐘楼+聖堂内部+オーディオガイドのチケットを購入済み。学生料金でなんと27ユーロ!でも、学生証を提示する必要はなかった。この辺が適当だ。塔の見学時間を選ぶと自動的に聖堂自体への入場時間も指定されるのだけど、これが15時15分~15時半で、塔の前のエレベーターに集合するのが15時半。あまり余裕がない。チケットはスマホ画面でOKなのだけど、おそらく日差しのせいで私のバーコードだけなかなか読み取ってもらえず、後ろの人に迷惑をかけながら焦って中へ。幸い、時間には十分間に合って、無事エレベーターに乗れた。上からの眺めはこんなかんじ。
高い。そしてやっぱり街並みが、パリとはぜんぜん違う。カラフルな色使いがスペインだ。普通こういう塔の上って進路が決められているものだけど、この生誕のファサードは途中で階段を上がったり下りたり、横の通路へ抜けたりできて、うろうろ好きなところへ行ける。すごく不思議だけど、最終的にはみんな同じところへ下りてくる。狭い螺旋階段もいい。
地上に戻り、今度は聖堂内部を見学。これもまた外観のイメージが強すぎてぜんぜん知識がなかったのだけど、塔の上よりよかった。ヨーロッパで教会は飽きるほど見たから、もういいと思っていたけれど、ここは他のどの教会ともぜんぜん違う。
まず、光にあふれているのが印象的で、これはガウディが意図したことだそう。そして美しいステンドグラスは、東=太陽が昇る側が寒色系、西=太陽が沈む側が暖色系になっていて、柱が表しているのは樹木、そしてこのサグラダ・ファミリア全体が十字架の形をしているということも、オーディオガイドを聞いて初めて学んだ。オーディオガイドってけっこう高いし、普段は使わないのだけど、やっぱりあるとないとではぜんぜん違う。
外壁の装飾も近くで見るとものすごく細かくて、一つひとつに受胎告知やキリスト生誕などの意味が込められているそう。一見、よく分からないオブジェのようなものも何かを表現している。
ガウディって、ただ奇抜なデザインが特徴っていうぐらいのイメージしかなかったけど、やっぱり偉大な建築家だ。宗教的な意味を全部考えて、こんなに美しい形として設計したのかと想像すると、すごいとしか言いようがない。使われる目的に沿ってデザインするって一番大切なこと。そして、大工さんの子供たちのために建てられた学校も。
これまで見た中で本当によかった建物はインドのタージ・マハルと厳島神社だけど、このサグラダ・ファミリアもベスト3に入りそう。想像をはるかに超える素晴らしさで大満足。まあ好みの問題で言うとノートルダムの方がやっぱりタイプなのだけど、純粋に建築として興味深く見学できる。バルセロナに来る理由はこれだけで十分かもって思うぐらい。
そういえばきのう、ガウディ作カサ・バトリョの横の建物について、ただのジュエリー店だと書いたけど、これはガウディの先生だったこともあるというリュイス・ドメネク・イ・モンタネールという建築家の作品だった。中も見学できるそう。よく知らないのにガイドブックをちゃんと読まないとこういうことになる。
さて、明日はどこに行こう。
