さて、書類を6月の初めに警察署に郵送して3週間。スペインから帰ってくると、郵便局からの配達証明はちゃんと届いていた。スタンプの日付を見ると、なんと投函した翌日に先方に届けられている!やればできるじゃないか、フランス人。ただ、それからはまったく音沙汰なし。7月の終わりになっても、何の連絡もない。このころになるとさすがに気になりだして、自分の住んでいる地域であるVal-de-Marneのホームページを再度確認してみた。すると、投函した約1週間後に情報が更新されていて、書類を郵送するだけでよかったはずが、パリ市内と同じように警察署に予約を取って直接手渡しする方法に変わっている。そして、そのホームページが更新された日、つまり手続きが変更になったことが公表されたその日から、郵送で届いた書類は自動的に送り返されるとのこと。ふー危ない!私の書類はそれより前に着いているはずだから問題ないけれど、あとちょっと準備が遅れていたら、せっかく用意したのに受け付けてもらえないところだった。でもおそらく、不幸にもそういう目に遭った人がけっこういるんじゃないだろうか。せめて周知に1カ月ぐらいは必要だと思うのだけど。まったく、自分たちの都合しか考えていない。

元々、滞在許可証の更新手続きは時間がかかるものなので、今持っている許可証の有効期限が切れたあと、新しい許可証ができるまでの間をつなぐものとして、通常はレセピセという仮の許可証のようなものが警察署から発行される。滞在許可証と同じ効力を持つから、これを持っていればとりあえずはOKなのだけど、経験者のブログを読んでいると、滞在許可証の更新もレセピセの発行もしてもらえないまま数カ月過ごしたという人もけっこういるみたい・・・。有効な滞在許可証またはレセピセがないとどうなるかというと、もちろん不法滞在になるのだけど、まあ職務質問されることなんてめったにないし、手続き中だという何らかの証拠があれば大丈夫だから、この点はあまり心配いらない。問題は、これらのどちらかがないと旅行に行けないこと。といってもフランス国内であれば大丈夫で、国外に出ることができないのだ。9月はまたヨーロッパに行きたいと思っていたから、早く手続きが終わらないと準備ができないし落ち着かない。
毎日、郵便受けを眺めるものの何も進展がないまま、郵送から2カ月たったところで一度、ホームページにあったVal-de-Marneの警察署のアドレスにメールで問い合わせてみた。とはいえフランスのことだから、返事がくるとは限らない。あまり期待せずに待っていると5日後、奇跡的に返信が。でも内容は「ビザの番号が書かれていないので調べられません」。名前も住所も電話番号も知らせてあるのに、どれかで調べろよ。まあ、とりあえず反応してくれただけよかった。すぐにビザ番号を書いてメールを再送したものの、それに対する返事がきたのはまたも5日後。しかも「管轄が違うのでHay les Rosesの支署にお尋ねください」って。ん?そうなの?確かに、Val-de-Marneという地域には複数の町が含まれていて警察署もいくつかあるようだから、最初に更新手続きを調べたとき、ややこしいなと思ったのだ。ただ、最終的にVal-de-Marneの管轄内に住む人は共通でVal-de-Marneの警察署に郵送すればいいんだな、と自分では理解したつもりだった。まあ支署とはいっても同じ地域内なんだし、転送するなりしてくれているだろう。そうでなければ、返送されてくるはずなのだから。と、こう思うのが普通の日本人の感覚。
さっそくHay les Rosesの支署にメールをしてみるものの、こちらは何日待ってもまったく返信がない。仕方なく、ついに直接行くことにした。結局こうなるのか。こちらの方が家からはだいぶ近いのだけど、最寄駅から20分ほど歩かなければいけない。そして、問い合わせをするために3回も行くはめになった。
1回目:8月14日(月)。午前中の授業を終えて向かうものの、なんと休み。翌日の15日(火)がフランスの祝日だったから、この余計な平日の1日も休みにしてしまおう!ということだったんだと思う。
2回目:3日後、再び授業終わりの午後2時ごろ到着。入ろうとすると入り口前に警察官が立っていて、チケットがあるかどうか聞かれる。持っていないと言うと「ここのシステムをご存知ですか?朝9時前に並んでチケットをもらわないと入れませんよ」。出た。これぞフランス。こういうのはこちらではよく聞く話で、ちょっとした手続きのために早朝から何時間も並ぶのが当たり前なのだ。念のため、チケットがないと絶対に無理なのかと確認したけれど、ダメだとの答え。「9時前に並んでください。まあ8時にはもうずらっと列ができているけどね。ははは」。そうだろうな。まあこの警察官は悪い人ではなかったので、あきらめて別の日に向かうことにする。
そして週が明けて3回目。学校を休み、早朝にまたも20分歩いて同じ場所へ。到着したのはちょうど7時ごろだったのだけど、予約なしの外国人用の列にはすでに60~70人が。うんざりして最後尾につく。スマホを見ている人もいるけれど、どちらかというと何もせずにただじっと待っている人の方が多い。ベンチは入り口前にしかないから、立ちっぱなし。真夏とはいえ朝は寒いし、これが冬だったらと思うとぞっとする。まあ今は人が多い時期ではあるのだけど、それにしても毎朝、この光景がくり返されているのかと想像すると、ある意味すごい。
9時にやっと営業が始まると、まずは予約がある人の列から優先的に入ることを許可され、こちらにはまだまだ順番が回ってこない。と思っていたら、職員の女性が整理券を配りだした。これがチケットのことだ。9時になった時点で並んでいる人に配布し、配り終えたところでその日の受付は終了のようだから、どうしても9時前に来なければいけない。その後、さっきのお姉さんが1人1人の書類を簡単に確認していく。ほとんどの人が滞在許可証の問い合わせのために来ているようで、私もパスポートを見せ、配達証明を渡して、予想より早く9時半ごろ中に入ることができた。でも、入ってからがまた長い。そこからまだまだずーっと並ぶ。その間、列をつくっている人たちの前で職員が何人かの名前を読み上げるという場面が何度かあった。どうも配達証明と照らし合わせて、すでに新しい滞在許可証またはレセピセができていれば、そこで直接本人に渡しているよう。できているのなら早く呼び出し状を送ってくれればいいのに、わざわざ足を運んでやっともらえるって。まあでも、その人たちはそこで帰れるのだから、結果的には悪くない。
ようやく窓口にたどり着いたのは12時。5時間待ったことになる。同い年ぐらいの女性にさっそく事情を説明しようとすると「まずは整理券と滞在許可証を見せて」。そしてこちらの話を何も聞かないまま、何か書類の用意を始めたので、いやいやもう2カ月以上前にVal-de-Marneの警察署に必要書類を郵送していると言うと「なんでVal-de-Marneに?ここに送らないとだめなのよ」。でもホームページにそう書いてあったし、じゃあ私の書類どうなったんよ?ここが管轄なんて知らなかったし、と食い下がるものの「でも今、分かったでしょ」とにっこり。こういうとき、言葉がすぐに出てこないのは本当に悔しい。嫌味の一つも言えないのだ。
結局、Val-de-Marneに送った書類はなかったことにされ、一からやり直しになった。ここも今は予約方式になっているようで、その場で予約を取ってくれたものの、なんと来年の1月。はあ。でもまあ、この仕事の遅さからすると、それだけ時間がかかるのも納得。郵送でラッキーと思ったけれど、管轄が違っているというような基本的な情報をこちらから聞くまで教えてもらえないことを考えると、手渡しの方がいいのかも。でもまさか、転送も返送もしてくれないとは思わなかったのだ。絶対にコピーしか入れるなと書いてあったのはこういう場合のためで、きっと間違って送られてきたものは自動的に処分されているんだろうなあ。写真も入ってるんだけど・・・。これなら、手続き方法が変更になったといって送り返してもらえる方がマシなんじゃないだろうか。そもそも、ホームページにも、ダウンロードしておいた申請書類のリストにも、住んでいる町によって郵送先が違うなんてこと書かれていなかったし、絶対に同じ間違いをしている人がたくさんいるはず。ちなみに、この更新手続きは留学業者のサポートに含まれていて、途中でこちらに住んでいる日本人サポーターが何度か連絡してきたのだけど、この人は今年からサポートを始めたばかりで経験がなく、何も知らなった。前の人はちょっと頼りなかったものの、だいぶ慣れているようだったからきっと知っていただろうなあ。ついてない。まあ結局は、自分でやらないとだめなのだけど。
ただ、心配していたレセピセは、パスポートや家賃支払い証明書などがあればすぐに出してくれるみたいで、滞在許可証の期限が切れる9月3日までにまた持ってくるようにとのこと。マジか。また並ぶのか。今日書類を持っていたらすぐ発行できたのに、と言われたけれど、持ってるわけない。もう2カ月以上前に提出したつもりだったのだから!でも最初、1月までレセピセがもらえないのかと焦って、あからさまに嫌な顔をされながら何度も確認した結果、9月3日までに来れば大丈夫、例えば明日でもいいし、と言ってくれたので、とりあえずひと安心。最悪、フランスから強制退去させられることも考えていたから、まあ少なくとも1月まではいられることが分かってその点はよかった。旅行にも行けるし。ただ、せっかく最新の日付ですべての書類をそろえたのに、また予約日に合わせて同じことをしなければいけないのはうんざりだけど・・・。
そんなわけで、いったんはほっとしたものの、さすがはフランス。まだまだこんなことでは終わらなかった。③につづく。
滞在許可証の更新①はこちら。
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