滞在許可証の更新①

フランスに来たのはほぼ1年前の去年9月。ビザの有効期間は今年の9月3日までだから、本来ならばそろそろ出国しなければいけないのだけど、滞在を延長することにした。元々、1年では短いと思っていたので延長するつもりではあった。せっかく、いろいろとやっかいなことを調整して、乗り越えて、こうして落ち着いているのだから、できる限り長くとどまっていたい。またこれを一からやるのは大変なのだ。

滞在を延長するためには、滞在許可証の更新手続きが必要になる。でもこれが、本当にうっとうしい。フランスでの手続きはそもそも全部がスムーズにはいかないのだけど、私自身はこれまでのところ、奇跡的にあまり嫌な思いをしてこなかったから、そこまで実感はなかった。でも今回は心の底からイライラ。なんなんだ、この国。

うんざりする経過を書く前に、まずはビザと滞在許可証の違いについて。私も自分が経験するまで、これをよく分かっていなかった。

まずビザは、フランス入国前に日本で申請して交付してもらうもので、パスポートに貼り付けてある。ビザの種類がいろいろあるから詳しいことはよく知らないけれど、学生ビザの場合は最長1年。私も入国からちょうど1年後となる9月3日まで認められた。

 ビザ

 
一方、滞在許可証はフランスに入国してからこちらでもらうもの(というか、もらいに行くのだけど)。有効期間はビザと同じ。これはシールになっていて、ビザと同じようにパスポートに貼り付けてある。つまりパスポートに、同じ有効期間を持つビザと滞在許可証の両方が貼ってあるというわけ。ビザだけで十分だと思うのだけど、その辺の仕組みは謎。滞在を延長する場合はこの滞在許可証の更新が必要になり、更新後はビザを持っている意味はあまりない。ちなみに、この更新手続きを怠ると、不法滞在になる。

 滞在許可証

 
準備を始めたのはかなり前の3月。というのも、今住んでいる学生用のアパートは毎年6月から1年間の契約になっていて、延長する場合は3月末までに申し出なければいけなかったのだ。フランスは9月が新年度の始まりで、学校は大体6月ごろから夏休みに入るから、それに合わせた契約期間になっている。でも、元々8月末まで入居することにはなっていたものの、その後のことなんてその時点ではまだそれほど深く考えていなかったので、これは不意打ち。ポストに入っていた通知を読んで初めて契約期間のことを知り、びっくりした。滞在を延長するならパリ市内に引っ越したいなということはなんとなく思っていたのだけど、いつまでいるか分からないし、気に入るところがみつかるとは限らない。そのころは春学期が始まったばかりで考える時間もあまりなかったし、引っ越しとなると面倒だし、お金もかかるし。ということで、引き続きここに住むことに決定。1年契約とはいえ、退居は自由にできるから、引っ越そうと思えばいつでもできる。そして、次からは業者を通さず、個人としての契約に切り替えた。やっぱり、この年になって生活に関わることを自分で管理しないというのはなんか気持ち悪い。

9月以降もここに住み続けることを決めたからには、その他の準備も進めなければ。滞在許可証の更新手続きは住んでいる地域によって違い、まずはいつも通りネットで情報収集。この更新手続きは、滞在許可証を発行する移民局ではなく、各地域の警察署で行う。パリに住んでいる場合、警察署に予約をして、当日、必要書類を手渡しする、という方法が主流のようなのだけど、自分の地域であるVal-de-Marneのホームページを調べてみると、どうも書類を郵送すればいいみたい。絶対に直接訪問してくれるなとまで書いてある。予約を取ってわざわざ自分で行くより簡単そう。というのもこの予約、ひどいときには半年後まで空いていないこともあるらしく、それまで手続きが進まないのだ。それに比べればラッキー!と、そのときは思ったのだけど・・・。

必要書類も地域によって若干違い、私の場合はこんなかんじ。なお、すべてコピーのみで、原本は絶対に送るなと書いてある。
●パスポートのコピー
●滞在許可証のコピー
●出生証明書:日本から持ってきた戸籍抄本の仏訳を利用
●住居証明:契約証明書と家賃支払い証明書をアパートの管理事務所で発行してもらう
●パスポート用サイズの写真4枚:日本から持ってきたものが余っていたのでこれを使う(本当は最近のものじゃないとNG)
●これまでの学習歴(日本の大学含む)とフランスでの今後の学習計画:ネットから指定フォーマットをダウンロードして記入
●大学の卒業証明書:日本から持ってきた英文の証明書を利用
●これまでフランスで通っていた学校(パリ・カトリック学院の語学学校)の成績表と出席証明書:成績表は各学期末に直接受け取り済み、出席証明書は事務局で発行してもらう
●フランスの銀行口座における一定額の残高証明書:自分の口座情報はネットで見られるのでこれをプリントアウト
●留学保険証明書:慌てて延長手続きをする

これに加えて、今後通う学校の登録証明書が必要。学生ビザの場合、ただなんとなく滞在を延長することはできず、常に一定時間、学校に通う必要がある。つまり、9月から通う学校に学費を払い、登録証明書を発行してもらわなければいけないのだ。ということで、学校探しをスタート。パリカトは評判通り質が高く、すごくいいのだけど、春学期からだいぶつらくなってきた。夏期講習がかなり高度でしんどい、というのは以前の記事で書いたけれど、進級するにつれて読み書きのレベルと会話のレベルがぜんぜん違っていくのを大きく実感。こんなに難しい内容をやるよりは、もっと日常会話ができるようになりたい、という思いがこのときすでに強くなっていたので、会話重視の学校を探し、よさそうなところに決定。この学校についてはまた詳しく書くとして、取り急ぎ登録証明書を発行してもらう。

フランス語を読んで必要書類を全部きっちりそろえるのはなかなか大変。最後にもう一つ、CERFAを警察署に取りに来て書類と一緒に送れと書いてある。CERFAってなんだ?と思いながら、家から1時間ほどかかるVal-de-Marneの警察署へ。

 警察署

 
最寄駅からここへ向かう途中、湖があって気持ちいい。郊外は雰囲気がパリとはぜんぜん違う。
 

 
CERFAはA4の紙1枚で、要するに申請者を分類するためのフォーマットのよう。並ばずすぐにもらえたのはよかったのだけど、これだけのためにここまで来させるのなら、書類も直接受け取ってくれればいいのに。わざわざ郵送にする意味がない。

 cerfa

 
書類は滞在許可証の期限が切れる3カ月前から受け付けされるとのことだったので、それに合わせて準備。私の場合は6月3日がちょうど3カ月前だったのだけど、書類審査には時間がかかることが分かっていたし、6月はスペインに行くことにしていたから、出発前にどうしても出しておきたかったのだ。そしてなんとかきれいにそろえて、受領証付きの書留で郵送。フランスの郵便局は信用できないから、重要書類は全部これで送らないと。とりあえず、これでやることはやった。あとはひたすら、向こうからの連絡を待つのみ。

滞在許可証の更新は大体認められるらしいのだけど、却下されたという人もネット上には存在する。理由は一切教えてもらえず、退去命令が通知され、期限までに出国しなければ逮捕されるという恐ろしい事態に。学生の場合、学校に登録するのはもちろんだけど、これまでの出席率が低かったりなかなか進級できなかったりということがあると、却下対象になる。だから、授業をあまり休むわけにはいかない。それに、パリカトのような権威のある学校ならまあ疑われることはないものの、安い学費で大量の学生を集めているような語学学校を選んでしまうと、これもちょっと危ない。たまに、そういう名前だけの学校が摘発されて校長が逮捕されたりしているから、学校の方もかなり厳しく監視されているんだと思う。要するに、勉強しているんじゃなく、働いているんじゃないかということが、彼らが一番気にしていることなのだ。どの国も、外国人に仕事を取られたくはない。だから、ちゃんと学校に通っているということさえ証明できれば大丈夫なはず、だったのだけど・・・。②につづく

 

郵便局
初めて行った近所の郵便局はかわいらしかった

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