リスボンより⑤

20日間の旅の締めくくり。結局、毎朝9時より前には起きられなかったけど、しっかり寝て今日もスタート。外はきれいな青空が広がっている。きのうより天気はよさそう。

今日、最初にやることは決めていた。テージョ川をフェリーで渡る。こんなに大きな川、やっぱりちょっと遊覧してみたい。

 テージョ川沿いの風景

 
フェリーは、カイス・ド・ソドレ駅と対岸のカシーリャスとを結んでいるもので、乗船時間はわずか10分。観光用というよりは、市民の実用的な交通手段のよう。料金も往復で3ユーロと安い。

 フェリー乗り場

 
けっこうたくさんの人が待っていたから、座れないんじゃないかと心配していたけど、中はすごく広かった。でも陸が見えるのは反対側の座席。帰りにじっくり眺めよう。
 

 
景色を見ながらだと10分なんてすぐ。カシーリャスの情報はまったくなし。その辺を一周してみたけれど、たぶん見るところもそんなになさそう。

 カシーリャス

 
対岸から眺めたリスボンの街。オレンジの屋根が印象的。ちなみに面積はバルセロナとほぼ同じぐらいで、パリよりほんの少し小さいよう。
 

 
せっかく来たけれどここに長居する理由はないので、すぐにまたフェリーで折り返す。滞在時間わずか10分。帰りはちゃんと景色がいい方に座ったから、4月25日橋がきれいに見えた。またリスボンの街が近づいてくる。
 

 
さて、帰りの便は夕方。それまで時間はまだまだある。最後まで楽しまなければ。歩き方が甘かった“高い地区”バイロ・アルトに行ってみよう。

その名の通り、テージョ川を背に坂を上っていったところに広がるバイロ・アルト地区。かなり地理が分かってきた。きのうのアルファマより道も広く建物も大きいものが多いけど、ここも十分、庶民的な雰囲気。
 

 
石畳がどこまで行っても続いているのが本当にいいなあ。車が通る道路には市電も走っているから、情緒あふれる街並みがずっと楽しめる。ただ、ごみがたくさん落ちていたりするところは日本とはだいぶ違う。汚い。まあこれは、ほかの都市や国にも言えることだけど。あと、落書きがやっぱりひどい。なんで消さないんだろうか。
 

 
そして最後に、またここへやって来た。何度見てもはっとするほど美しい。あんまりきれいなので、つい何枚も写真を撮ってしまう。しかも今日は、ケーブルカーが2台ともきれいな黄色だし。

 ケーブルカー2

 
せっかくだから、これに乗って下ることにしよう。乗客は私を含めて3人。歩いている観光客たちが、写真を撮ろうとカメラを構えている。みんなと握手できるぐらい、壁との間が狭い。途中で下から来た車両とすれ違った。上下同時に発車しているのだ。
 

 
乗車時間はあっという間。30秒もかからないぐらいだけど、乗り心地は悪くないし楽しかった。そして下の駅に着くと、すごい人。やっぱりみんな下から上に行くために利用するみたい。でもせっかく乗っても混んでるのはいやだなあ。よかった、上から乗って。

 下の駅

 
夕方までたっぷり楽しんで、いよいよ帰る時間。計算を間違えていて少し遅くなってしまい、焦って宿へ荷物を取りに行く。このホステルは本当によかった。気持ちよく過ごせた。ユースホステルって日本人にはあまりメジャーな宿泊施設ではないかもしれないけれど、欧米の人は大人でも割と利用していて、ここも年配の人がけっこういた。ユースホステルにもいろいろあるけれど、ユースといっても別に年齢制限があるわけじゃないし、ホテルにこだわりがないなら利用価値は高い。相部屋だけど基本的には安全で、盗難に遭ったこともない。一度、バルセロナのホステルで現金をロッカーに入れたまま鍵をかけずに一日出かけてしまったのだけど、まったく何も盗られていなかった。宿泊費を抑えてその分、観光に回すって、なかなか賢い選択だと思う。

幸い、空港までは地下鉄で30分ぐらいなので、そんなにぎりぎりにならずに到着。でも、せっかく第1ターミナルに着いたのに、ここでもまた勘違いしてバスで第2ターミナルまで行ってしまい、引き返すっていうむだな動き。飛行機に乗るときって、チェックインして荷物検査を受けて搭乗口へ行くまで安心できない。

 リスボン空港

 
いよいよリスボンとお別れ。そして旅の生活ともお別れ。帰るときはいつも寂しい。もう二度と来られないかもしれないのだ。

 機内から見たリスボン

 
2時間半後、無事オルリー空港に到着。この3週間にフランスもすっかり季節が進んで、夜でも半袖でちょうどいいぐらいになっている。出発が30分遅れたからこのときもう23時で、荷物を待ったりしているとだいぶ時間がたってしまった。オルリー空港からアパートまでは早ければ30分ぐらいなのだけど、夜だからなかなか電車が来ない。しかも、私の降りる郊外の駅は通過する列車が多く、パリ市内まで行ってしまう。30分以上待っても各駅停車の列車が来ず、いったんパリまで出て折り返そうとしたのだけど、自分の駅までの切符しか買っていないから改札を出られない。仕方なく、キセルする人たちがやるように無理矢理バーを乗り越えたところまではよかったのだけど、今度は反対側のホームに入るためにまた切符がいるから、パリからの切符をあらためて買い直すっていうコントみたいな結果に。日本のようにスムーズにはいかない。そこからまた20分ぐらい待って、ようやく帰り着いたのは1時だった。最後までサバイバル。

 機内から見たパリ

 
今回は自分のミスによるアクシデントがいろいろあったけど、何もなくさず、何も盗られなかったので、まあその点はよかった。それにしても、ヨーロッパはいつ行っても観光客が多い。日本もだんだんこうなってきているとはいえ、まだまだレベルが違う。こんなに常に観光客があふれている街に住むってどんなかんじなんだろう。個人的にはリスボンがすごく気に入って、また行きたい街のリストに加わった。でも、まだまだヨーロッパも知らないところだらけ。知らない世界を見るってわくわくするから、やっぱり旅ってやめられない。人生は、冒険だ。

 

旅の地図
今回の旅の行程はこんなかんじ

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