リスボンより③

今日も天気が悪く、ひんやり肌寒い。予報では雨が降るかもということで、街歩きの予定を変更。観光スポットの集まる旧市街からは離れたベレン地区へ行くことにしよう。リスボンの気温はパリと同じぐらいで、昼間は暑いけど30度には達していないと思う。朝晩はかなり涼しい。なんでスペインとこんなに違うんだろうか。迷った末、久しぶりにデニムにしてみた。

ベレン地区には大航海時代を象徴する歴史的建造物が残されていて、世界遺産に登録されているとのこと。旧市街から市電かバスで30~40分ぐらい、電車なら7分。電車は早いし確実だけど、たぶんちょっと高い。どうせなら、また市電の方が楽しそう、と思い、きのう行ったフィゲイラ広場にある乗り場に行ってみると、長蛇の列。しかも観光客ばっかり。リスボンに来たからには乗ってみたいと思うのはみんな同じだ。でもこれだと座れないし、もうバスにしようかな。

そこですぐ隣にある、これもきのう見たばかりのロシオ広場へ。でもここにはバス停がたくさんあって、行き先ごとに分かれている。ベレン地区へは714番ということだから、一つひとつ探すものの、ない。2周ぐらいして見て回ったけど、見つからない。こういうのがバスって面倒くさい。それでまたフィゲイラ広場に戻ってみると、あった、714番。地球の歩き方、間違っている。こんなに重要なデータなのに。同じことをやっていた身にはおそろしい。言ってあげた方がいいんだろうか。

待っているうちにたくさんの人が集まってきた。観光客が多いし、みんなベレン地区に行くみたい。よかった、降りるところも間違えないで済みそう。マドリードから日帰りのつもりで行ったコンスエグラでのハプニング以来、バスがこわくなってしまった。時間よりかなり遅れてきた714番の一台に乗り込むと、たくさんの人。

 バスの中

 
旧市街からどんどん離れていっても、淡いピンクや黄色の家並み、石畳、狭い坂道、という風景は変わらない。やっぱり好きだなあ、リスボン。そして心配しなくても、グーグルマップをずっとつけていたから、目的地に近づいたところでちゃんと降車できた。着いたのは、ベレン駅のすぐ近く。階段を下りたらそこが駅っていうのが不思議。

 ベレン駅

 
すぐ向こうにテージョ川が見える。あとは川に沿って歩いていくだけ。まずはここを見ておきたかった、老舗のカフェ「パステイス・デ・ベレン」。ポルトガル伝統のお菓子、パステル・デ・ナタがポルトガルで一番おいしいと言われているらしい。日本ではエッグタルトでおなじみ。行列は短いけど、朝しっかり食べたからまだおなかいっぱいだし、帰りにまた来よう。

 パステイス・デ・ベレン

 
そこからすぐ先に、目指していたジェロニモス修道院が見えてきた。大きい。地球の歩き方によると、大航海時代の重要人物であるエンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマの偉業をたたえると同時に、これから行われる航海の安全を祈願して造られたとのこと。海外からもたらされた富を贅沢に使い、こんな壮麗な建物にしたそう。まあ例によって、工事中だったのだけど。左に見えるオレンジの屋根の建物は博物館。

 ジェロニモス修道院外観

 
中は装飾や彫刻が凝っていて、修道院というイメージとは違う。特に回廊は圧巻。一つひとつは細かいのに堂々とした存在感。確かに、なかなか見る価値がある。
 

 
ゆっくり見学した後は、テージョ川の方へ。川に向かって立つのは発見のモニュメント。大航海時代の偉人たちが大きな像として残されている。帆船をイメージしているそうだけど、こうやって見ると本当に海へ乗り出そうとしているように見えるから面白い。
 

 
一番前に立っているのがエンリケ航海王子、3番目がヴァスコ・ダ・ガマ、そして後ろから2番目の手を合わせている像が、日本人にもなじみ深いフランシスコ・ザビエル。

 偉人たちの像

 
モニュメントの向こうに見えるのは、4月25日橋。1974年4月25日の革新派軍人グループによるクーデターを記念して、こう改称されたんだそう。旅行者向けのウェブサイトで、ヨーロッパのもっとも美しい橋に選ばれたこともあるとか。

 4月25日橋

 
ここからまた川沿いにしばらく歩くと、今度はベレンの塔がある。元々は要塞だったものが、次第に船の税関や灯台としても使われるようになったそう。司馬遼太郎が「テージョ川の貴婦人」と表現したというこの塔、確かにお城を思わせるテラスが優雅。

 ベレンの塔外観

 
中はいろいろ見どころがあるのだけど、このときけっこう雨がひどくなり、一番上まで行く階段が一時クローズ。狭い場所で20分ぐらい待たされたおかげで混雑していたから、ゆっくり見ることができなかった。塔の上も人がいっぱいで、写真も撮れないし。でもこれで一気に気温が低くなったから、デニムにして大正解。一応長袖シャツも持っていたので、着るとちょうどいいかんじに。ノースリーブに短パンの人たちは震えていた。
 

 
しばらくすると雨は上がり、日差しも出てきた。でも、もう夕方だ。やっぱり朝、ゆっくりしすぎかも。停留所が分からないとか、バスが来ないとか、いろいろスムーズにいかないことを考えると、実際に観光できるのは昼からになってしまうのでもったいない。早起きせねば。

ここまでくるとだいぶおなかも空いてきたので、あのカフェでエッグタルトを買おう。お昼に通ったときよりさすがに行列が長くなっているけれど、この列はテイクアウト専用なので、どんどんはけていく。すぐに順番がきて、2個のナタを無事手に入れた。温かい。

 袋に入ったナタ

 
さっそく、近くの庭園で開けてみる。粉砂糖とシナモンパウダーをかけて食べるのがポルトガル流らしく、ちゃんと両方付いている。ナタは小ぶりで、おやつにちょうどいいサイズ。
 

 
パイ生地がサクサク、クリームはなめらか。素朴なお菓子なのに、すごく上品な甘さ。地球の歩き方によると、この店はジェロニモス修道院から伝えられた作り方を守り続けているそうだけど、昔からこんなに洗練された味だったんだろうか。観光客が多い通りにはこのナタもたくさん売られているのだけど、やっぱり違うのかなあ。それにしても、この下の部分の生地が最高の歯ごたえ。

 ナタの下

 
今日は結局、ベレン地区だけで終わってしまった。なかなか見ごたえはあったけど、天気が悪かったのが残念。リスボンは意外に観光スポットが多い。明日は晴れてほしいなあ。

 

市電
帰りはちょっと大きめの市電で

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