マドリードから寝台夜行で約10時間半。ぐっすり寝て、起きるともうすっかり朝。40分前に車掌さんが起こしに来てくれた。ポルトガルはフランスやスペインと時差があり、1時間遅い。睡眠時間が1時間長くなるのか短くなるのかだいぶ考えた末、長く寝られることが分かって得した気分。寝台列車っていいなあ。こういう景色、アガサ・クリスティーの小説みたい。
時間通りにリスボンのオリエンテ駅に到着。すごくモダンで大きな駅。そして外に出た途端、寒い。まあ朝だからということもあるんだろうけど、それでも空気がスペインとは違う。マドリードよりも南にあるのに、こんなに気温が下がるとは。
ポルトガルって日本人にはおそらくフランスやスペイン、イタリアなんかよりなじみがなくて、ポルトガルだけ目指して出かける人も少ないんじゃないかと思う。今回の旅行もスペインがメインで、まあせっかくだからリスボンにも寄って帰ろうぐらいのかんじだったのだけど、調べているうちにここはきっと自分が好きな街、それもスペインより気に入るんじゃないかと思うようになった。だから、グラナダ以降の日程を少し窮屈にしてでも、リスボンに日数を割いたのだ。
ところで、悩んだのはガイドブック。スペインと2冊持っていくのは避けたいけど、観光情報だけならネットでも調べられるものの、交通機関とか駅からのアクセスとか、細かいことまで全部まとめて載っているのはやっぱりガイドブックしかない。そういう意味では、どれだけネットが発達しても、情報を整理する編集という職業は必要だ。試しにパリのジュンク堂に行ってみたけれど、たまたまポルトガルのガイドブックが品切れ。そこで、初めて地球の歩き方の電子書籍を購入してみた。これはなかなか便利。
本がそのままPDFデータになっただけで、書き込みやブックマークなんかはできないのだけど、かさばらないのはありがたい。それにパリで本を買うと高いから、どこで買っても同じ値段の電子書籍版は経済的にも助かる。今回のスペインのように、ガイドブックを見て行きたいところをピックアップする場合は絶対に紙の方が見やすいし使いやすいけれど、1都市だけだからむしろこの方がいい。ただ、いざというときに紙の本がないのは不安なので、本当は紙とデータの両方あるのが理想だと思うけど。世界一周する人はどうしているんだろう。
着いたのが朝早かったので、少し駅で休憩してブログを書いてから宿へ。今さらだけど、駅にケータイショップがあったのでプリペイドSIMカードを購入した。2週間分だからちょっともったいないけど、やっぱりあると便利だ。今日からさっそく、街歩きに活用。これで普段ほど迷わずに済む。スペインでもこうしていたら、数々の失敗はなかったかもしれない・・・。
リスボンの地下鉄はカードを購入し、これにチャージしたり一定料金を払って乗り放題にしたりできる仕組み。バスや市電にも使える。カードといっても紙だけど、これを改札にかざすとちゃんとピッと反応する。
地下鉄の駅は近代的だけど、列車自体はレトロ。でもクーラーはきいている。こうやってほかの国の地下鉄を見てみると、パリのメトロってヨーロッパの中でもかなり古いし汚いかも。
リスボンの下調べをちゃんとしていなかったので、とりあえずぶらぶら旧市街方面へ。大通りを歩いていると、カラフルでかわいい建物がいっぱい。少し道を外れると、静かで雰囲気もいいし。やっぱり予想通り、リスボン好きだなあ。楽しさがスペインとぜんぜん違うのだ。足が弾んで、どんどん歩きたくなる。
さっそく市電に乗ってみよう。これぞ、リスボンの象徴。昔ながらの石畳の街並みに、ゆっくりと車両が走る情緒たっぷりの風景。
ただ、乗り心地はあまりよくない。というのも、乗ったのは観光客に人気の28番路線で、確かに観光客だらけだったのだ。座れないし、暑いし、景色もぜんぜん見えない。きっと外から見た方がいいんだな。
おまけに、市電といえども線路があるのは車も通る普通の道路だから、渋滞していると止まる。
ただ、リスボンは坂が多いから、上るときはやっぱり乗った方が楽だ。観光客向けのバイクタクシーみたいなのもたくさん走っている。
上の方まで行ったところでグーグルマップを頼りに降車。どこの駅なのかまったく分からないのだけど、観光スポットがあるところは運転士さんが駅名とそのスポット名を叫んでくれるので、みんな慌てて降りたりする。こういうところが日本とは違う。
近くに展望台があるというので行ってみると、わー素敵。なんてかわいらしい家並み。サン・ジョルジェ城とテージョ川も見える。きれいな街だなあ。
帰りは下りなので市電の線路に沿って歩いていく。この辺りは通りも雰囲気があって本当に楽しい。また明日からじっくり散策してみよう。
そしてここの宿は今までで一番よかった。口コミ評価がかなり高かったので選んだのだけど、きれいなのはもちろん、使い勝手がよくて、こういうところに泊まる人の気持ちをちゃんと考えてくれているなという気がする。
しかも朝食付き!バルセロナより安いのに、これは助かる。水も自由に飲めるから、もう必死でスーパーを探さなくても大丈夫だ。リスボンは最後の街だから、快適なホステルでよかった。
