やっぱり一人だと熟睡。しかも今日は時間を気にせず、一日セビーリャを観光できる。ゆっくり準備して、11時半に街歩きスタート。
セビーリャには南北を貫いてグアダルキビル川が流れている。みどころはこの川の東側に集中していてホテルも東側にあるので、まずはこの観光スポットのある辺りを目指そう。川沿いの景色がすごくいい。パリとはぜんぜん違って明るい。
今日は日曜なので、ほとんどの店は休みで静かなのだけど、やっぱり観光客の多い通りはにぎやか。みんな昼間からビールを飲んでいる。
この辺の家、まさにスペインのイメージ。カラフルで、花や植物があふれていて、太陽とともに暮らしているのが伝わってくる。そして、ヨーロッパは大体どこの街も通りの名前が表示されているのだけど、このセビーリャの表示はすごく分かりやすいしかわいい。
ところで、こうやって住宅街を歩くのは楽しいんだけど、観光スポットになかなかたどり着かない。と思っていたら、たまたま途中でグーグルマップが動いてくれたのでよく見ると、いつの間にか川の西側に来ていた。そういえば、最初に川を見ながら橋を渡ったっけ。ということで、今度はちゃんと地図を見ながら別の橋を通って東側に戻る。向こうに見えるのが東側。
渡り切らないうちに、黄金の塔が見えてきた。13世紀に川の通行を検問するために造られ、かつては塔の上部が金色の陶器レンガで覆われていたことから、こう呼ばれるんだそう。
橋を渡って最初に行ったのは救済病院。貧しい人や身寄りのない人を救済するため、貴族が17世紀半ばに創設したとのこと。見学もできるようだけど、ちょうど救急車が着いて患者らしき人が中へ入っていった。今でも病院として使われているんだろうか。
やっと目指していたカテドラルに到着。スペイン最大の聖堂ということで、中にも入ってみたのだけど、まあもう教会はいい。それよりも、隣に立つヒラルダの塔に上りたいのだ。
でも、なぜか開いていない。ガイドブックを見ると、日曜は14時半から。そうか、じゃあ先に違うところに行こう。次はここ、アルカサル。
アルカサルは、この地方がイスラム勢力の支配下にあった時代に使われていたお城を、その後キリスト教徒の王たちが改築した宮殿。そのうちの1人がイスラム文化に傾倒していたらしく、イスラム建築の職人たちを呼び寄せて改築に当たらせたということだから、あの見事なアルハンブラ宮殿にかなり似ているところがある。とはいえ、実際入ってみると、雰囲気はぜんぜん違う。
中は確かに、アルハンブラ宮殿で見たような造りも多い。でもこちらの方が、少しオリエンタルな要素が混じっている。
そしてこの庭園なんかは、やっぱり西洋的。
これはこれで美しいけど、アルハンブラ宮殿の後では見劣りするのは確か。規模もぜんぜん違うし。アルハンブラ宮殿は何がすごいかというと、床はシンプルなのだけど、壁から天井まではびっしり装飾で埋め尽くされていて、何もない白い部分というのがないのだ。でも一つひとつが細かいから過剰にはならず、それなのにすごく圧倒される。このアルカサルに入って、あらためてアルハンブラ宮殿の素晴らしさを実感。
ここは短時間でさくっと回り、ヒラルダの塔に戻ってみると、まだ開いていない。でも今度は看板が出ていて、今日は例外的に14時半から16時までと書いてあった。なんだと。ちょうどその時間、アルカサルに行ってたし。もう16時すぎだ。仕方ない、ここは明日にしよう。ということで、次のスポットへ向かう。この辺の住宅街もいい雰囲気。
それにしても暑い。パリもそうなのだけど、夕方16時ぐらいが一番暑くて、日差しも強い。このセビーリャの暑さは普通じゃないから、ずっと外にいると気分が悪くなりそうだ。毎日ペットボトル500ミリリットルの水では足りないから、今日は2本持ってきたけど、正解。少しずつ飲んでもどんどんなくなっていく。
日陰を探しながらやって来たのはマエストランサ闘牛場。完成は19世紀半ばということで歴史もあるし、規模も大きい。それにこの外観、華やかで味がある。
見学はスペイン語+英語のツアーで。半分ぐらいしか分からなかったけど。見せてもらえるのは中にある資料がほとんどで、会場自体は最後にちらっとだけだった。客席にも入れず残念。でも、闘牛場って中がどうなっているのかまったく知らなかったから、興味津々。
ここはプリンス席で、元々は位の高い人しか座れなかった、と言っていたんだと思う。そういえばたまたま今日、闘牛士がパフォーマンス中に牛に突かれて死んだっていうニュースを読んだけど、もし自分が見に行ったときにそんなことがあったらショックだなあ。闘牛自体、野蛮だっていう批判も多いんだそう。
さて、アンダルシア地方で絶対に見たかったもの、それはフラメンコ。アルゼンチンのタンゴ、キューバの野外ライブ、どっちも本当によかったから、本場であるこのアンダルシア地方でフラメンコも鑑賞しなければ。セビーリャは街なかに観光案内所が多く、チケット販売の客引きもよくやっているのだけど、そこまで思っていた割にはフラメンコのことを忘れていたので、何も手配していなかった。でも、タブラオと呼ばれるライブハウスがたくさんあって、別に予約なしでもいけそうなので、地球の歩き方に載っている店の一つを目指すことにする。でも、地図が読めない私にはそう簡単にたどり着けない。一本道を間違えて戻ってきたとき、たまたま客引きのおじさんが立っていて、声を掛けられた。値段を聞いてみると、考えていたよりもちょっと安い14ユーロ。あっさりおじさんについていき、すぐ近くのタブラオへ。
こぢんまりしていていいかんじ。お客さんは満席ではなく20人ぐらい。上演者は4人で、ギター、歌、踊り手が男女1人ずつの計4人。フラメンコについてまったく知識がなかったのだけど、これがスタンダードな構成なんだそう。そして、タップダンスのように激しく足を動かしたり、手を打ち鳴らしたりするのがこれほど重要な要素とは。体の動きそのものは大きくないように見えるけれど、そういう細かい部分のテクニックが複雑で、全身を使っているのがよく分かる。踊りというと、どうしても女性のイメージがあるけれど、男性のダンスが素敵だったなあ。あと、ギターも素晴らしい。たまたま演奏していたのがスマートな男性だったこともあるのだけど、細くて長い指で紡ぎ出される情熱的で哀愁漂う旋律が、フラメンコにしかない独特のものだった。やっぱり見て正解。楽しかった。帰ってから確認すると、結局ここが探していたタブラオ、アルバレス・キンテーロだったことが判明。
今日は盛りだくさんの一日。明日はまた午後から移動だ。本当は、このセビーリャからバスで2時間ぐらいのコルドバにも日帰りで行きたいと思っていたのだけど、時間がないのでやめた。グラナダ、セビーリャ、そしてコルドバがアンダルシア地方の三大観光都市と言われているから残念だけど、まあしょうがない。出発までセビーリャを楽しもう。

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