スペインより⑨

今いるグラナダを含むスペイン南部はアンダルシア地方と呼ばれ、“白い村”が点在することでも有名。白い村とはつまり、白壁の家々が連なっている集落のこと。きのうアルハンブラ宮殿から見えたグラナダの旧市街アルバイシン地区もそうだし、同じように白い小さな村がこの地方にはたくさんある。今日はそのうちの一つ、フリヒリアナへ行ってきた。

地球の歩き方にはこれらの白い村がいくつか紹介されているのだけど、行きにくいところが多い。アンダルシア地方はかつてイスラム勢力の支配下にあり、こういった村々は彼らが築いたもの。防衛のため、簡単に侵入されない崖などにわざとつくってあるのだ。だから観光客にとって魅力ではあるものの、問題は交通手段。最初、ここはツアーで回ろうかなと思っていたのだけど、調べているうちに、ガイドブックに載っている中でもなんとなく気になったフリヒリアナにグラナダから日帰りで行ったというブログを見つけて、それならばと挑戦してみることにした。

頑張って朝7時に起床。まだきのうの疲れが残っていて、明らかに寝不足だけど、仕方ない。何しろフリヒリアナには片道2時間半以上かかるのだ。グラナダからネルハという町まで行き、そこからさらに別のバスに乗り継がなければならない。

 フリヒリアナ地図

 
ネルハ行きのバスに乗るために、まずはグラナダのバスターミナルへ。これが最初の難関。街の中心部からけっこう離れているので、そこまでどう行くか。市バスが出ているから、きのういろいろ調べて、スマホに写真やPDFを保存。ホステル以外ではネットが使えないので、事前に準備しておかないと。でも、実際バス停に行ったらややこしくて、結局タクシーを拾った。ネルハ行きのバスが9時発だから、それに遅れないことが最優先。市バスだと時間がかかるということだったのでタクシー料金が心配だったのだけど、10分ぐらいで着いて6ユーロ弱だった。
 

バスターミナル
グラナダのバスターミナル

 
ネルハ行きのチケットは自動券売機でスムーズに購入。でも今度は、どのバスなのかが問題。このネルハは終点ではなく、途中下車しなくてはいけないようなのだけど、どこ行きのバスに乗ればいいのかがチケットに書かれていない。ここで、スマホに保存しておいたPDFが威力を発揮。たぶんこれだろうというのに並び、乗る前に運転手さんに確認。

 バス乗り場

 
グラナダからネルハへ向かう道はすごくきれいだと聞いていたから、眠いのを我慢してずっと外を見ていた。それに、停車駅に着いてもどこの駅なのかぜんぜん言ってくれないので、道路の表示板を見落とさないようにしないといけなかったし。なんでこんなに不親切なんだろう。最初はずっと山の上に向かっていくかんじで、ところどころに白い家々がちらほら。1時間後、最初の停車駅に着き、その後すぐに海が見え始める。
 

 
だんだん近づいてきた気配がする。ネルハ到着は、出発からきっちり2時間後。おそらく3駅目だったと思う。2時間というのを知っていたのに加え、町に着くとNerjaという看板がたくさん出ていたから、ここは間違いなし。

 ネルハのバスターミナル

 
ちなみに、完全に通り過ぎただけのこのネルハというのはリゾート地として開発された町で、確かにそんな雰囲気。別荘を思わせる南国風の大きな家が立ち並び、いかにも人工的なかんじがして、歩いてみたいとは思わなかった。
 

 
さて、無事にネルハに着いたものの、一つ終わるとまた一つ問題が。フリヒリアナ行きのバスはどこから乗るんだろうか。ターミナルのすぐ横にバスチケット売り場があったので聞いてみたものの、料金は運転手に直接払ってと言うだけで、時間も何も教えてくれない。後ろに行列ができていたからそれ以上は聞けなかったのだけど、バスはどうやらここに来そうなので、とりあえず少し待ってみることにする。来なければタクシーで行けばいいし、と考えているうちにだいぶたって、ネルハ⇔フリヒリアナと大きく書かれたバスが来た!さすが、バスも白だ。

 フリヒリアナ行きのバス

 
救われた思いで運転手さんにフリヒリアナ?と聞いてみると、12時発だから道路の向こう側で待ってて、と親切に教えてくれた。グラナダからのバスを降りて、わざわざ道路を横断していたのだけど、そこでそのまま待っておけばよかったのだ。そして12時にこのバスが来ると、実は待っていた人がほかにもけっこういて、満席状態で出発。フリヒリアナまでは山道を上がって約20分。ついに到着。

 フリヒリアナ4

 
地球の歩き方によると、このフリヒリアナはかつて、スペインでもっとも美しい村に選ばれたとのこと。それにしても、山の中腹に広がる家並みといい、色が特徴的なところといい、モロッコの青い町シェフシャウエンにそっくりだ。ターミナル広場の近くはおみやげ屋さんが並び、完全に観光地という雰囲気。

 フリヒリアナ1

 
白い家というと、ギリシャもたぶんこんなかんじなんじゃないかと思うけど、白い壁は日差しを反射するから、暑い地域ではこうやって塗っているんだそう。ブルーやグリーンの窓、色鮮やかな花々、カラフルなタイルが本当によく映える。そして例によって、細い抜け道が誘ってくる。
 

 
高いところに行けば行くほど観光客も少なく、迷路のような細い道が多くなり、人が生活している気配も感じられる。逆に低い方は普通の道路が走っているので、あまり楽しくない。それにしても、白い壁はいいとして、石畳だから暑い。やっぱり昼間に歩くとバテて、少し休憩。スペインでは、地方にもよると思うけれど、飲み物を頼むとタパス(小皿の一品料理)が無料で付いてくるという素敵な習慣があり、今日それを初めて体験。コーラ1本でちょっとしたごはんが食べられた。

 タパスとコーラ

 
フリヒリアナ、確かにかわいいし、きれい。ただ、思っていたよりも本当に小さくて、すぐに回れてしまう。それに、やっぱりスペインだけあってきちんと手入れされすぎていて、そこが個人的にはあんまりおもしろくない。あの幻想的なシェフシャウエンを先に見てしまったから、どうしてもそちらのインパクトが強いのだ。もちろん、フリヒリアナもよかったんだけど、もう少し大きければなあ。バスの都合もあって、3時間ほどで帰途に。
シェフシャウエンの写真はページ上部ABOUTにリンクあり)

帰りは寝ていたからあっという間で、グラナダに戻ってくると雨が降った跡が。おかげで涼しい。もう18時だったけど、旧市街アルバイシン地区を歩いてみた。明日にはもうここを離れるから、できる限り行っておかなければ。アルハンブラ宮殿が一望できる展望台を目指し、小さなショップがぎっしり並ぶアラブ街を上がっていく。

 アルバイシン1

 
迷わないように気をつけて、と地球の歩き方にはあるけれど、みんな同じところに向かっていくし上から下りてくる人もたくさんいるから、たぶん大丈夫。展望台までの道もなかなか楽しい。
 

 
こっちはこっちで“白い街”だった。しかも、こっちの方が迷いそうな道がたくさんあって楽しい。ただ、時間の関係もあり、残念だけどみんなと同じ道をたどっていく。今日はもう歩けない。そしていよいよ展望台まで上がると、この景色!

 展望台から見るアルハンブラ1展望台から見るアルハンブラ2

 
日が落ちてきれいに撮れなかったのが残念だけど、これはすごい。美しい。きのう見たアルハンブラ宮殿の全貌がここにあった。こうして見ると、直線的で色も地味だし、素っ気ない印象だけど、中はきのうアップした通り。ヨーロッパのお城とまったく逆だ。昔、フランスのロワール川の城めぐりもしたし、有名なドイツのノイシュヴァンシュタイン城も見たけれど、外観はそれこそ童話の中のイメージそのままなのに、内装が面白くないのだ。これだけ取っても、民族の違い、文化の違い、いろいろなものが見える。それにしても、ここまで来てよかった。これを見ずに移動するところだった。これでいよいよグラナダも終了。明日はまた次の街へ。

 

観光列車
フリヒリアナではこれに乗って観光もできる

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