ラ・ロシェルという町と同じく、日本人にはあまりなじみのないレ島。私も今回、初めて知ったのだけど、検索すると日本からここに行ったという人はけっこういるようで、ラ・ロシェルよりも人気なのかなという印象。フランス人にも、ラ・ロシェルへ行くならぜひレ島も訪れるよう勧められた。そんなわけで、ほぼネットの口コミだけを頼りに、海を渡って対岸の島へ。
レ島へは橋が通っていて、バスでこの橋を渡る。バスの停留所が分からず1本逃してしまったのだけど、ラ・ロシェルの旧市街にあるヴェルダン広場にバスターミナルがあって、そこに案内所兼切符売り場を発見。ガイドブックがなくても行けば何とかなる。目的地へはバスに揺られて1時間ほど、思ったより遠いけれど景色がきれいなので退屈しない。
地図では小さく見えても、島は実際に行ってみるとイメージよりも大きく感じる。全島にわたって小さな村が点在していて、今回行ったのは、中でも一番にぎわっているというサン・マルタン・ドゥ・レ。この村の壁に島の全景が描かれていたので、これを位置の説明に拝借。
小さな港にたくさんのヨットが浮かび、その港を取り囲むようにレストランやカフェが並んでいる。写真で見るとラ・ロシェルと似ているけれど、こちらの方がだいぶ小ぢんまりとしていて、のどかな雰囲気。
港から少し離れると、かわいらしい通りが続く。白い壁に淡いブルーやグリーンの窓、そしてオレンジの屋根。まさに、海のそばの小さな村というイメージそのもの。童話に出てきそうなこの明るい家並みや、道端にさり気なく佇むショップを眺めながらゆっくり歩く。散歩が楽しい場所って大好き。
でも、レ島の醍醐味が一番味わえるのはサイクリング。青い海を眺めながら村から村へと自転車で回るのが、この島の定番の楽しみ方なのだ。前の晩、レンタルする気満々だったのだけど、寒い。この地方はパリより1~2度気温が高く、天気もよかったものの、連日最高気温約15度。ラ・ロシェルで要塞を見るための観光フェリーに乗っている間はみんな備え付けの毛布をかぶっていたし、この日も風を受けて走るには寒すぎた。村自体は小さくて2時間もあれば見て回れるから、移動できないのは少し退屈だったのだけど、仕方がない。この海沿いの道を自転車で走ったら気持ちいいだろうなあ。それにしても、こっちは冬用のストールとニットの帽子をしっかり活用しているのに、フランス人は半袖に麦わら帽子でバカンスを満喫していた。
もう一つ残念だったのは食事。こういうリゾート地だと、どうしても観光客用のレストランしかないし、値段も高い。ラ・ロシェルもレ島も海が近いから、フランス人の大好きな牡蠣が名物らしく絶対食べようと思っていたのだけど、1個から食べられる屋台みたいなものはなかったので、あきらめた。私の旅は宿泊と食事にはお金を使わない(使えない)から、バカンス先でもサンドイッチばかり。でもこの村ではなんとパン屋さえ見つけられなかった。ただ、有名なアイスクリーム屋があり、おなかも空いていたので、ここは迷わず店の前へ。実はレ島は塩が名産ということで、塩キャラメルをチョイス。濃厚というよりはさっぱりとした甘さ。確かに美味しい!
今回の旅で、まあ旅行に必要なフランス語ならそれほど困らないなというのが分かった。3年ほど前にフランス語が公用語のモロッコに行ったときは、簡単なフレーズがまったく出てこないことにショックを受けたから、それに比べると少しは進歩したんだろうと思う。それにしても、旅行すると1週間の休みはあっという間。書きかけのこのブログの記事の続きとか、撮りっぱなしのままの写真の整理とか、いろいろやりたいことがあったのだけど、ほとんど何もできなかった。というのも初日、ラ・ロシェルに向かう途中にメールで宿題が送られてきて、帰ってからはモーパッサンの短編を読むのとヴェルレーヌの詩を暗記するのに追われていたのだ。フランス人のバカンスの過ごし方を少し体感して、再び難解なフランス語に立ち向かう日々が始まった・・・。
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