大統領選挙目前

5年ごとに行われるフランス大統領選挙の投票がいよいよ迫ってきた。最近ヨーロッパで相次いでいるテロや、深刻なシリア情勢、北朝鮮のミサイル公開など重要なニュースが相次ぐ中、それでもメディアが一番時間を割くのは選挙関連の話題。政見放送も始まったし、他のニュースはほとんどやっていないように見える。個人的にも大いに関心のあるこの選挙について、パリで発行されている日本語新聞OVNI(オヴニー)が4月1日号で特集を組んでいたので、これを部屋の壁に貼って仕組みや各候補の主張などを確認してみた。

 オブニー紙面

 
投票は2回行われることになっていて、第1回が来週4月23日(日)、第2回が5月7日(日)。1回目で過半数の得票を獲得できればその候補が大統領に選出されるけれど、誰も過半数を得られなかった場合、2回目で上位2人の決選投票となる。これまで1回目で決着したことは一度もないらしく、世論調査によると今回も2回目の投票まで当選者が決まらない可能性が大きいとのこと。候補者は11人で、そのうち有力と言われているのは以下5人(アルファベット順)

  

ブノワ・アモン(49歳)中道左派・社会党
オランド政権下で教育相を務めるが、財政緊縮路線などに反対して辞任。低賃金で働く労働者などへの所得補償、原発の削減・廃止などを掲げ、その理由として“FUKUSHIMA”の言葉も。見た目の印象通り、話し方も主張もやわらかい。
[個人的イメージ]鳥越俊太郎

ブノワ・アモン

  

エマニュエル・マクロン(39歳)中道・無所属
大統領府副官房長、経済相を歴任。去年、“左でも右でもない”政治運動 En marche!(進め!)を立ち上げ、経済相を辞任。エリートコースを歩んできたイケメンで話しぶりも堂々としているけれど、大統領には若すぎる印象。同い年というのが笑える。奥さんは20歳以上年上!
[個人的イメージ]細野豪志

エマニュエル・マクロン

  

フランソワ・フィヨン(63歳)中道右派統一候補・共和党
教育相、労働相、首相と重要閣僚を務める。サルコジ前大統領などを押さえて候補者に選ばれたものの、妻子の架空雇用疑惑が浮上し人気急落。年齢的にも経験から考えても一番安定してそうだけど、一時期は連日この疑惑が報道されていて、学校の先生も「なんて不誠実な男なの!」と毎日のように叫んでいた。
[個人的イメージ]舛添要一

フランソワ・フィヨン

  

ジャン=リュック・メランション(65歳)左派党(急進左派)
2回目の立候補。高校教師、記者を経て政治家に。現行のEU条約を変更しない場合のEU離脱や、新しい憲法の下での第6共和制移行などを訴える。毒舌を交えた話術に定評。
[個人的イメージ]志位和夫

メランション

  

マリーヌ・ルペン(48歳)極右・国民戦線
2011年、父ルペン氏の後任として党首に選出。EU離脱を問う国民投票の実施、移民受け入れ制限、外国人雇用者への追加課税などを掲げる。“フランスのトランプ”とも言われる過激な主張は日本でもすでにおなじみ。
[個人的イメージ]高市早苗

マリーヌ・ルペン

 
 
ちなみに、各候補の立ち位置を図にするとこんなかんじ。

 各候補の立場

  

ここに至るまでにも各陣営の候補を決める予備選挙があり、その度にテレビが大騒ぎしていたからまったく構図が見えていなかったのだけど、ようやく全体像が把握できた。今回は、絶対的な有力候補のいない混戦とはいえ、この5人の中でも決選投票に残ると予想されているのがエマニュエル・マクロン氏とマリーヌ・ルペン氏。マクロンさんになったらちょっとうれしいけど、見た目を気にしそうなタイプだし経験不足が心配。かといってルペン氏はあり得ない。この人が大統領になったら留学生に対する待遇も厳しくなりそうだから、それは困る。

ただ、もちろん選挙というのは、実施されるまでどういう結果になるか分からない。去年はイギリスのEU離脱、トランプ大統領誕生と予想外の出来事が相次いで、世界的にナショナリズムが高まりつつあるのは懸念するところ。個人的にはイギリスの意思決定はすごく残念なので、これ以上ヨーロッパの結束が乱れることのないよう願っているけれど、それは外国人としての感じ方だろうし、もちろん投票権がないので見守るしかない。それにしても、国のトップを自分たちで選べるというのはやっぱりうらやましい。日本もこうなれば、少なくとも今よりは政治に関心を持つ人が増えるんじゃないかと思うのだけど・・・。投票できるのは18歳以上、フランス国民がどんな選択をするのか、3週間後にはその結果が出ている。
 

抜粋、参考、画像引用元:
オブニー「フランス大統領選2017 観戦ガイド」
NHK NEWS WEB「フランス大統領選挙2017」

  

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