聞き取りの“壁”

前の記事でも書いたし、ずっと同じことばっかり言ってるけど、やっぱりフランス語が聞けない。先週、聞き取りのテストがあり、それが返ってきたのだけど、20点満点中13.5点。自分ではまあまあ分かったと思ったのに、やっぱり細かい内容になると理解できていなくて、勘で答えたものが全部間違っていた。周りの生徒の点数をちらっと見てみると、大体みんな16点以上で、中には19点という人もいた。全部選択問題だったから、たまたま当たっていたという人もいるかもしれないけど、それにしてもこの差は一体なんなんだろう。確かにみんな難しい単語でもよく知っているから、その分、理解できる力もあるんだろうけれど、自分の単語力がそこまで劣っているとも思わない。じゃあみんなにはどうして意味が分かって、私にはどうして分からないのか。みんなには何が聞こえていて、私には何が聞けていないのか。

 テスト

 
テストの前の週にも練習で別の音声を聞いたのだけど、6回ぐらい聞いても正解が分かるまでには至らなかった。でも後でテキストを見ると、知らない単語がほとんどない。ということは、つまり音が聞き取れていないということ。自分なりにディクテーションをやって何度も聞いて、だいぶ単語の切れ目が分かるようにはなったのだけど、やっぱりまだまだだ。それに、苦手意識があるから緊張してしまい、授業でやるときはいつも以上に聞けなくなってしまう。

きのうの授業では、ついに指名されても答えられなかった。今まではなんとなく分かったふりをしていたのだけど、それも限界。フランスのやり方なのか、学校の方針なのか、先生たちの好みなのか、どの授業でも当てられることは基本的になくて、できる人たちが勝手にどんどん答えていく。このときやっていたのは、セリフのない漫画を見て、各コマを説明する文章を作っていくというもの。「誰がいる?」「何をしている?」「どんな表情?」「何を考えている?」などなど、先生が次々に質問していく。これと同じような授業は前学期のクラスでもあったけど、それとは明らかにレベルが違って、難しい表現を使わないと答えられないような絵になっている。でも、こういうときのみんなの積極性はすごい。知っていても思いつくのに時間がかかるような単語やフレーズがどんどん出てくるし、中には個人的な感想を述べる人もいて、間違っていようが何だろうが、とにかく考えていることを口に出すのにためらいがないのだ。

まあ答える人というのは決まっていて、発言しない人もけっこういるのだけど、何も言わなくても分かっている人と、私みたいにぜんぜんついていけていない人に分かれる。そしてときどき先生が発言していない人を指名するのだけど、それにたまたま当たってしまった。このときは、みんなが言ったことをまとめながら先生が新しい表現を黒板にどんどん書いていて、ノートを取るのと説明を聞くのとで必死だったこともあり、何を聞かれているのか分からない。それならそれで分からないと言えばいいのだけど、それができる余裕もない。黙ってしまうっていう、最悪のパターン。こういうとき日本だと、指名された人が答えるまで待つのが普通だけど、こっちはそんなにのどかじゃない。みんな言いたくてたまらないから横から次々発言し、先生もまたそれに答えていく。つまり、できない人はずっとできないまま、黙ってついていくしかないのだ。

 罫線

 
聞けない原因をいろいろ考えているうちに、思いついたことがあった。一つは、なまりのあるフランス語が分かる生徒が多いなということ。ヒアリングができない理由として、正しい発音を覚えていないから、というのがけっこうあると思うのだけど、私の場合、中国語なまりのフランス語とか、英語なまりのフランス語とか、フランス人以外の話すフランス語が聞き取れない。逆の意味で、思っているのと違う音だからだ。申し訳ないけれど、生徒の中にはどう聞いてもフランス語に聞こえないひどい発音の人がけっこういる。こういうのが聞き取りにくいというのはほかの日本人の生徒たちとも意見が一致したから、同じように感じている人はたくさんいるんじゃないかと思っていたけど、日本人以外はみんな割と普通にフランス語として理解している。フランス人の発音というのも当然、人によって違いがあるので、自分が思っているのと別の音に聞こえる場合は聞き取れないのだけど、いろいろなバリエーションを覚えなければいけないということなんだろうか。もう一つ気づいたのは、読解力。読むときは、何度でも見直せるという安心感があるからなのか、1回目に読んだときは内容があまり頭に入っていなくて、途中で前に戻って読み直すっていうことがよくあるのだけど、読んだ瞬間に理解できる力をつけないと、聞いたときもすぐに意味が頭に入ってこないのかもしれない。

とはいえ、毎日毎日これだけ聞いていると最初のころより多少はマシになっていて、話すのはぜんぜん進歩がないのに比べ、聞き取りの能力は少しずつでも上がっているなと感じる。日本にいるときからずっと何を言っているのか分からないまま聞いていた音声の中に、突然習ったばかりの単語が意味を持って聞こえてきたり。テキストにトレーシングペーパーがかかっていたのが、その単語の箇所だけクリアになるイメージ。この場合は、知らない単語が聞き取れていなかったわけだから、やっぱり語彙を増やすことも必要。それと、来た当初はテレビや映画を見ても5%も分からなかったけど、今は25~30%ぐらいは聞けるようになった気がする。それでも、同じクラスのみんなに比べたらたぶん6割ほどしか理解できていない。

ちなみに今のB1-1のクラスだと、練習用につくられた文章や会話ではなくて、普通のラジオやテレビの音源を使う。だからみんなは普段、これらをけっこう理解できているんじゃないだろうか。それだけ聞けたらだいぶ違うと思うのだけど、どうしたらそこまでいけるんだろう。今、かなり悩んでいる。苦しい。それでも、コツコツやるしかない。この“壁”を越えれば、少し楽になるはず……。

 

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http://apprendre.tv5monde.com/

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