パリは危険か

あの衝撃的な事件から13日で1年。日本人の記憶にもまだ新しいと思われるパリの同時多発テロでは130人が亡くなった。フランスには今も、治安当局の権限を強化する非常事態宣言が出されている。出発前に治安を心配する声もあったし、私自身、去年このニュースを知った後、行くのをやめようか迷ったのも事実。

日本ではこちらの状況が想像しにくいと思うけど、もちろんテロがあるかもしれないからといってみんな家にこもっているわけではなく、普通に学校に行ったり会社に行ったりしている。観光地に行けば観光客であふれているし、留学で来ている人だってやっぱりたくさんいる。別に日本と変わらない日常だ。あんな惨事があったなんて信じられないほど。ただ、スーパーやデパートに入るときには荷物チェックがあるし、学校だって以前は2つあったという入口が1つになり、しかも学生証がないと入れない。せっかくだからいろんな大学を見てみたいと思っていたけど、それも難しそうだ。人が多い街なかや駅ではこういう兵士の姿もよく見る。

 兵士

 
悲劇の後に必ず聞くようになったのが「テロに負けない」という合言葉。いつもと変わらない生活を続けて、テロの現場にも足を運ぶ市民の姿を、日本でもよくニュースで見ていた。でも、日本人の私にとってはテロなんて非日常的すぎるし、いくらパリが好きだといっても街を守るために立ち向かうよりは命を守るために、何か起こればしばらくは家でじっとしていようと考える。そもそも「テロに負けない」という言葉には、以前から違和感があった。もちろん、大勢の人を無差別に殺害するという行為自体も、それを行う人間たちも許すことはまったくできないけれど、なぜ彼らのような存在がこんなに大きくなってしまったのかを考えたとき、「テロとの戦い」ばかり強調するのは何か違う気がするのだ。現実には、テロリストたちを“掃討”することが脅威を取り除く最善の方法なんだろうけど、それはとりあえずの手段であって、根本からの解決にはならない。なんだか今の報道あるいは社会では、その視点があまりにも欠けているように思われる。日本人だから、そんなのんびりしたことを考えてしまうだけなんだろうか。

 キャンドル

 
パリが危険かどうか、それに答えることはなかなか難しい。実際にはここに住んで、生活を楽しんでいるわけだけど、危険と言われれば危険なのかもしれない。外務省からもフランス在住の日本人に向けて、注意喚起メールが時々送られてくる。でも結局は、いつどこで何が起こるかは誰にも分からない。日本にいたって事故にあったり地震にあったりするかもしれないのだ。まあそう思ってここまで来てしまったけれど、もし何かあれば「テロとの戦い」を主張するような人たちにも、こんな危ない時期に行くのが悪い、自己責任だ、とか言われるんだろうな。

 

学校
1年前も同じであっただろう学校の風景

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