外国に住むと日本では考えられないことがいろいろあるものだけど、これもその一つかもしれない。左足の親指を深爪し、化膿してしまった。元々、深爪の傾向があるのに加え、手も足も爪のまわりを触ってしまうくせがあり、100%自分が悪いのだけど、日本ではこんな風になったことなかったのに。金曜の夕方ぐらいから痛みが出始め、土曜に起きるとかなり腫れていたので、すぐに近所のモノプリへ薬を買いに行った。
日本でも最近、薬の販売に関する規制が増えてきているけれど、フランスはさらに厳しいようで、大衆薬なんかでも棚に置かれているものを自分で選ぶのではなくて基本的に対面販売、しかも処方箋がないと売ってくれないものも多いらしい。まあ消毒薬ぐらいはあるだろうと事前に日本語のサイトで調べていき、薬売場へ。さすがに適切なものが欲しかったし、自分で探すよりも聞いた方がはるかに早いので、スマホの画像を見せながら薬剤師さんに尋ねてみる。いかにも聡明な感じのきれいな人で、拙いフランス語を根気よく聞いてくれ、スプレータイプの消毒薬を出してくれた。本当はヨードチンキみたいなのがあればいいなあと思っていたのだけど、この際なんでもOK。とりあえずこれでしばらく様子を見てみることにした。
ちょうど週末だったから土日で少しでもよくなればと願っていたのだけど、実際には逆でどんどんひどくなり、明け方には痛みで目が覚めるほどになってしまった。何か大変な症状につながらないか心配だったので、看護師だった母親にスカイプで患部を見せたところ、まあ大丈夫じゃないかということでひとまず安心。休みなのにどこにも行かず、部屋にこもって足に負担がかからないようにしていた。でも月曜になって靴を履き歩いてみると、痛い。歩き続けていると耐えられないぐらいで、何度か休憩しながら足を引きずるようにしてなんとか学校に到着。幸い、学校のすぐ近くに薬局があり、午前中で授業が終わるとすぐに向かった。

中に入ると数人が薬を買うために列をつくって待っている。けっこう大きなお店で、4人ぐらいの薬剤師さんがカウンターに待機し、順番に対応。私が当たったのはやさしそうなお姉さん。今度は電子辞書を持参し、あらかじめ「化膿」という単語を調べておいてそれを見せながら症状を説明する。一応伝わったようだけど、今度は向こうの言う単語が分からない。仕方がないので、電子辞書にその単語を打ち込んでもらうようお願いすると「えー!」と笑いながら入力してくれた。いくつかの言葉を交わした後、どうやら彼女も正確に理解してくれたらしく、爪と爪まわり用の消毒薬(そんなのあるんだ!)、それに抗生物質を出してくれた。最後に「何日か使って治らなかったら病院に行ってね」。いい人でよかった。
翌日から少しずつよくなり始め、3日後ぐらいからは普通に歩けるようになったので、次の週末は外出してみたけれど大丈夫だった。まだ完治までには時間がかかりそうだけど、とにかく快方に向かっている。最悪、病院に行こうと思ってはいたのだけど、保険が使えるのかどうかやフランス語で説明できるかといったことよりも、どんな処置をされるのかが不安だった。すでに拷問のような痛みだったのに、針を刺して膿を出すことにでもなったらと想像すると、恐ろしくて倒れそうだったのだ。同じクラスの日本人にこの話をしたところ、彼女もこちらに来た当初は日本では経験したこともなかった症状が出て病院に通っていたそうで、やっぱり環境が変わることによって抵抗力も落ちるのかなと言っていた。精神的には日本で毎日会社に通っていたころよりよっぽど安定しているけれど、確かにそういうことはあるのかも。まさかフランスで薬を買うことになるとは。とりあえず、爪を切る回数は少なくしてみよう。

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