フランスのテレビ番組②

日本の公共放送といえばNHKだけど、フランスではフランス・テレビジョンという放送局がこれに当たる。ただ、国が経営に関与する国営放送のようだから、NHKとは性格が異なる。ホームページによるとチャンネルは6つあって、このうち私が今、テレビと同時配信されている番組をネットを通して見られるのはフランス2、フランス3、フランス4、フランス5の4チャンネル。教育関連、芸術関連などそれぞれ特徴があるようだけど、毎日ずっと見ているわけじゃないから違いはよく分からない。国営放送だからといって硬いのかといえばぜんぜんそんなことはなく、むしろNHKよりはるかに伸び伸びしている。このほかにもちろん、民放やケーブルテレビもたくさんあるらしいのだけど、家にテレビがない人にとってはネットで全部見られるわけではない上に、中には有料チャンネルもあるみたいだから、全体像をつかむのはなかなか難しい。

フランス・テレビジョンのチャンネルロゴ(ホームページより)

 
毎日、大体フランス2か3をつけているのだけど、視聴者参加型のクイズ番組がなぜかものすごく多い。ほぼ毎日、午前中からやっているし、夕方には3時間ぐらい続けてさまざまな形式のクイズ番組が登場する。ただ、これが意外におもしろいのだ。問題によっては数字や発音の勉強にもなるし、司会者と一般の挑戦者との会話を聞くのもフランス語を学ぶ上ではとても有効。

 
中でも気に入っているのが、フランス2で月~土曜まで毎日放送されている「N’oubliez pas les paroles」。ランダムに指定される歌の歌詞の一部を間違えずに歌えたら、その割合に応じて賞金がもらえるというもので、番組タイトルは「歌詞を忘れないで」ぐらいの意味かな。毎回、オーディションで選ばれたと思われる一般の視聴者が登場して2人で競い合い、勝った方は次に負けるまで“マエストロ”として新たな挑戦者を迎える。これまでに見た中で一番長く勝ち続けたのはこの2人。どちらもどんな歌が出てきても完璧に歌詞を覚えていて、永遠に負けることはないんじゃないかと思うほどだった。それぞれ2、3週間ぐらい毎日顔を見ていたから負けたときは残念だったけど、2人とも日本円で1千万円以上稼いでいったので、本人たちは満足しているはず。

NHKのど自慢と似ているけれど、断然こっちの方が楽しい。プロの生演奏もクローズアップされるし、司会のアナウンサーもお客さんもノリノリで、舞台の真ん中で踊りだしてしまう人も珍しくない。それになんといっても、フランスの歌がたくさん聞ける。フランス語でぼそぼそ歌うシャンソンや、アコーディオンを使った陽気な曲ばかりなのではもちろんなく、ロックやポップス、フランス語版のアナ雪なんかも出てくる。フランス語にロックは合わないと思っていたけれど、こうやって聞いてみると違和感はない。というより、最近の曲は日本で聞いたことがあるようなものばかりで、そのまま日本語にして日本の歌手が歌ってもおかしくないんじゃないかと思うぐらい。音楽好きの友人が、もう世の中に新しい音楽は出てこないって嘆いていたけれど、本当にその通りなのかも。だからエディット・ピアフの歌とかオー・シャンゼリゼなんかが出てくると、やっぱりフランスらしくていいなあと思ってしまう。

 
フランスのテレビはおもしろくないという人がけっこういるけれど、個人的には今のところ、特に日本と違う気はしない。おもしろいものもあれば、くだらないものもある。フランス映画は世界でも高く評価されているのに、それと比べたら差は感じないでもないけれど、まあテレビってそんなものだ。それにしても、こんなに毎日プレゼントや賞金を出せるって、国営放送に一体どれだけのスポンサーがついているんだろう。

 

こんな問題も登場

2件のコメント

  1. 昨年毎日見てたので、かなり共感できます。勝ち続けたマエストロの顔、私もよく覚えてます(笑)
    日本に帰ってきて、フランス国営放送のチャンネルはあるものの、その番組は流れないのがとても残念です。。

    1. コメントありがとうございます。
      共感していただけてうれしいです。今も毎日、楽しみに見ていて、メロディーを覚えてしまったものもあるぐらいなのですが(笑)、日本では見られないのですね・・・残念。
      よければまたのぞきに来てくださいね。

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