パリの夏は涼しい。もう8月なのに、30度に達する日がすごく少ない。特に、7月中旬以降はほとんど毎日のように雨が続いていて、長袖の上にジャケットを羽織らなければいけない日もけっこうある。暑くなると分かっていても朝は寒いから、ノースリーブの出番もなかなかない。湿気がないのは大歓迎だけど、夏好きとしてはもうちょっと気温が上がってほしいところ。
さて、7月の夏期講習はあっという間に終了。B1-2のレベルではこの1カ月しか受講していないのに、なんとB2-1に上がってしまった。パリカト(パリ・カトリック学院)はレベル分けが厳しくて、飛び級や進級も難しいと聞いていたのだけど、実際にはみんなどんどんレベルアップしている・・・というか、させられている。確かに、ちょっと上のクラスで必死についていく方が刺激にはなるし、パリカトは同じレベルでも他の学校より少し内容が難しいらしいので、その分、上達も早いのかもしれない。ただ、私のようにある程度自分で文法を勉強してきた人はまだいいものの、習っていないことがどんどん出てきてついていけないと言っている生徒たちもいるから、最終的にどのレベルを選ぶかは本人の判断になる。
この1カ月で感じたことは、他の生徒もしゃべるのはあまりできていないのかなということ。もちろん人にもよるし、自分はその中でもダメな方なのだけど、プレゼンなどでじっくり聞いていると、みんなスラスラとは話せないし、時制や冠詞もかなり間違っている。そもそもフランス語は複雑だから、正しくしゃべろうとすると必然的にゆっくりになるはずなのだ。ただ、聞き取りや文法の理解度に関しては、同じレベルでもけっこう差があるような気がする。聞き取りは完全に欧米の生徒が優位に立っていて、答え合わせの様子を見ている限り、彼らはほぼ全部聞けているんじゃないかと思う。ただその分、文法はひどい。すごく初歩的なものでも大きく間違っていたりするから、やっぱり学習方法によって語学の習得具合というのはだいぶ変わるんだなと実感。面白かったのは最後のテストで、私を含む大部分の生徒は制限時間3時間いっぱい使っても足りないぐらいだったのに、アメリカの生徒たちは2時間~2時間半ぐらいで終わって次々教室を出ていった。どうやったらそんなに早くできるんだろうか。不思議。
1カ月だけの短期とはいえ、キャンパスでは知り合いの先生たちを見かけることも多くて、特に去年の秋学期、今年の春学期に取っていた映画の授業の先生たちと会えたのはうれしかった。たまたま、この2人が一緒にいるのを見たことがなかったから、もしかしたら仲が悪いのかなと勝手に想像したりしていたのだけど、休み時間に春学期の女の先生(この先生はメインの総合フランス語の先生でもあった)と久しぶりに再会、ちょうどそのとき『愛のコリーダ』をパリの映画館で見たばかりだったのでその話をしていたら、秋学期の男の先生が「僕の授業でオオシマナギサの話が出てきたの覚えてる?」と入ってきて、3人で会話するかたちに。大好きな2人が話しているのを初めて見て、そのやり取りがおかしく、映画という部分で2人どちらもが私を特に覚えていてくれたこと、その日はすごく天気がよくて場所が気持ちのいい中庭だったことから、時間にすればほんの1分足らずのこの瞬間が素直に楽しくてうれしくて、子供のころの幸せな思い出のように、その日は何度もこの場面を思い返してしまった。でも、この先生たちも8月からバカンスに入ってしまい、普通に考えればもう二度と会うことはない。特に秋学期の先生とは学校ですれ違うことが多く、アメリカの生徒ばかりだからイライラすると話してくれるぐらい親しくなれたところだったので、寂しい(ちなみに、アメリカ人だから、というわけでは決してなく、このときの“やっかいな”生徒たちがたまたまみんなアメリカ人だったそう)。
それにしても、毎朝9時からなのに、みんなほとんど遅刻しないのは予想外。約4カ月続く一学期の授業では時間通りに来る生徒の方が少なく、授業もなかなか始まらなかったので、わざとちょっと遅く到着するようにしていたのだけど、起床時間を10分早めた。ずっとここで学んでいる生徒とこの期間だけのために来る生徒では、やっぱり気合の入り方が違う。今週末からは早くも8月の講習がスタート。先にB2-1に上がった子によると一気に難しくなるそうだから、またまた不安が続くけれど、最後まで真面目にやらなければ。
