パリから帰国①

4年間のフランス生活を終え、ついに日本に帰ってきた。行く前からすでに、いずれはやってくる帰国の日のことがずっと頭の片隅にはあったのだけど、コロナによる外出制限が解除されたこの5月からはいよいよカウントダウンが始まり、後ろ髪を強く引かれたままパリを後にした。
 

飛行機からの夜景
フランスの夜景を眺めながら飛び立つ

 
入った時にも大変だったけれど、帰国にあたってはこれまたいろいろと手続きが必要なので、まずはそれらをまとめておこう。
 

罫線1

 
■インターネット解約

一番やっかいだなと思っていたのがこれ。Freeという会社と契約していたのだけど、日本みたいに日時を指定すれば後片付けに来てくれるわけではなく、自分でボックスなどの機器を返却しなければならない。そしてその前に、まずは指定のカスタマー番号に電話して解約したい旨を伝える必要がある。まだまだ苦手な電話、込み入った説明があるのなら曖昧な理解では不安だし……とずっと気がかりだったのだけど、幸いなことに手伝ってくれるフランス人がいて、代わりに電話してくれた。
 

ボックス

 
契約は簡単なのに解約はややこしいのがこの国。フランス人によると、解約させないようわざと複雑にしているとのこと。ところが予想に反し、やってみると思っていたよりはずっと簡単だった。手続きの流れはこんな感じ。

  1. Freeカスタマーサービスに電話【帰国10日前】

    つながるまでにも契約番号やら暗証番号やらいろいろ必要だったらしいけれど、つながった後はスムーズで、契約者本人が電話口に求められることもなかった(よく考えればそれってどうなんだろうと思うけれど……)。

  2. SNSとメールで解約までの手順の説明がくる【電話翌日】

  3. 解約したい旨の手紙をネット上で送付【メール受信当日】

    フランスでは、ネットに限らず何かを解約するには未だに手紙で依頼する必要があるのだけど、Freeはこの手紙も指定されたサイトにアップロードするだけ。ちなみに、手紙はネット上でひな型が簡単に見つかるので、それをコピペする形で外出制限の期間に準備していた。Freeの場合、解約は通常、最短で手紙到着10日後となっていて、ぎりぎりまで使いたいけれど料金は余計に払いたくないから送付のタイミングが難しい。今回は電話からの流れが速く、手紙に「8月末」と書いておいたこともあり、8月いっぱいできれいに解約できた。

  4. ボックスなど機器の返却【帰国当日】

    契約した際に送られてきた段ボールをそのまま残していたので、そこに使用していたボックスやケーブルなどを元通りに収め、ネットを通じてFreeから送られてきたバーコード付きの伝票を箱の表に貼り付ける。これを郵便局から自分で送らなければいけないのかと思っていたら、UPSと呼ばれる宅配物の集荷場みたいなところが街にたくさんあり、そこに持って行くシステム。荷物を預けるとバーコードを通され、預かり証をもらって完了。もちろん無料。このUPSは文房具店や電気屋などのお店が指定されていて、不在で荷物を受け取れなかった時にも近所のUPSに届けてもらい受け取ることができる。

  5. Freeから最後の請求書が届く【ボックス返却約1週間後】

    帰国後、日本にてメールで請求書を受領。手数料ということでいつもより少し高いぐらいだったから、きっと返却機器に漏れや不具合はなかったんだろう。ネットはどの会社も基本的に1年契約の毎年更新で、途中で解約すると解約料を取られるらしいけれど、ちょうど前回の更新から1年ぐらいだったし、契約期間はトータルで2年だったから、そもそも私がこの解約料の適用対象だったのかどうかは分からない。

 

■simカード解約
 

 
これも同じくFreeで契約。同様にカスタマーセンターに電話した上で解約依頼の手紙を送る必要があるのだけど、送付先住所をネットで調べられるから、わざわざ電話しなくてもいいよう。そしてネットと違いカードは返却しなくていいので、最悪、日本に帰ってからでも手続きは可能。こちらも同様に、規定では手紙到着の10日後ぐらいが解約日となっているのだけど、経験者のブログを見ていると、フランスらしく手紙を送ったらすぐに解約されて最後はスマホが使えなくなったという人もいたため、ぎりぎりまで放っておいた。

さらに、自分で手紙を出さなくてもいい方法を発見。手紙はこれもコピペで用意していたのだけど、ネット上で解約依頼書を代わりに届けてくれるサービスがあった。契約番号や住所などを入力し、あらかじめ用意されたテンプレートの文章を自分の状況に合わせて少し変更すれば、受領証付きの書留で送ってくれる。
 

Resilier.fr “Resilier un forfait Free mobile”:
https://www.resilier.fr/free-mobile.php

 
半信半疑だったものの、帰国2日前にこれで頼んでみた。手間が省ける分、少し高いけれど、配送状況をネット上で見られるし、受領証もPDFで送ってくれて、とても便利。そして何よりFreeからはちゃんと解約確認のメールがきたので、機能しているということ。思ったより使い勝手がよくびっくり。フランスのサービスの質も向上している。

Freeのsimの一番安いプランは月2ユーロと大した額ではないから、これに変更して番号を残して帰った友達もいるけれど、そうするとずっと気になるし、これからの生き方が制限されるような気がして好きじゃないので、いったんリセット。

 

■銀行口座解約
 

カルトブルー

 
これもややこしそうなので早めの1カ月前に問い合わせ。口座を持っている銀行は日本人スタッフがいるケスデパーニュだから、連絡は問題なし。通常、各種料金の自動引き落としなどがあるので帰国後2、3カ月経ってから閉鎖してもらえるよう申し込んでおくらしいのだけど、それはともかく、間違いなく銀行まで解約手続きに行かなければいけないだろうと思っていたら、なんとネット上で完結。

銀行を通して住宅保険に入っていたので、まずは退居証明を送って保険を解約。その後、他の引き落としなどが完了し、すべてのお金の動きが止まった段階で口座解約依頼書をメールで送付すればいいとのこと。保険解約も口座解約もメールで依頼書のテンプレートを送ってもらえたので、とりあえずは出国前にこれを利用して保険解約依頼書と退去証明書を郵送しておいた。

この銀行口座も残しておければいいのだけど、フランスは口座維持手数料が毎月7ユーロぐらいかかるから、今の状況ではやっぱり閉めておきたい。

 

■電気(EDF)解約
 

電気メーター

 
電話するだけなのでフランス人にとっては簡単なのだけど、やっぱり自信がなく、帰国当日、前述のフランス人にお願い。ただ、これは本人が電話口に出るよう言われ、途中から交代した。全部は聞き取れなかったけれど、事前に「解約したい」までは伝えてもらっていたので、何とか無事に終了。担当のお姉さんが気さくだったのが幸い。

メーターの数字を読み上げなければならないと書いてあるブログもいくつかあったのだけど、引っ越してきた時に最新のメーターに交換してもらっていたから必要なかったようで、後日ちゃんと日割り計算した請求書がきた。ちなみに、上の写真は取り換える前のもの。こちらの方がレトロで味がある。

なお、この日は土曜日だったからか電話がつながるまでにかなりの時間がかかり、ちょっと焦った。ガスはなく電気のみのアパートだったのでよかった。

 

■郵便物国外転送手続き
 

郵便局外観

 
解約関係の手紙は送付の証拠を残すため、必ず受領証付きの書留で送らなければいけないので、その受領証を受け取るために日本への転送を申し込み。これは郵便局のホームページから簡単にできる。半年で90ユーロもするけれど、まあ仕方ない。サービス開始には郵便で届くパスワードが必要だから、帰国2週間ほど前に申し込んだのは正解だった。現地でパスワードを受け取った方がはるかにスムーズ。

 

■アロカシオン(住宅手当)登録情報変更

最近は収入が増えたのでもらっていなかったけれど、住宅手当の対象となる学生としてCAFという機関に登録しているので、帰国することを伝えなければいけない。これも何年か前の留学生のブログだと、CAFの事務所まで直接行って手続きしたという記述を見かけるのだけど、今はCAFのサイトも充実していていろいろ調べられる。結果、住所変更だけでいいのではという印象。
 

CAF外観

 
日本語で不確実な情報を調べるよりも直接聞いた方が早いので、2カ月ぐらい前にCAFへメールで問い合わせたところ、案の定CAFの自分専用のページで住所変更すればいいとのこと。大したことはないので、帰国後さっと済ませておいた。9月が新年度のフランス、毎年この時期になるとCAFから「新しい滞在許可証を送れ」と連絡がくるので、ひと手間減らしてあげられたかも?

 

■日本への荷物配送依頼

引っ越し、それも海外となると勝手が分からず面倒。パリなら日本の業者も多いとはいえ、どれがいいのか分からない。結局、行きと同じくクロネコヤマトに頼んだ。単身で荷物も少ない場合、「別送品」という扱いにすれば一番安く済むようで、クロネコのプランが分かりやすい。個人的に信頼度も高いし。実際、少し大きめの段ボール2つで済んだ。家具付きの部屋だし、食器なんかも全部置いていけるので、別送するものはほぼ冬用の衣類と書籍類のみ。準備は国内の引っ越しより楽だったぐらい。
 

クロネコ段ボール

 
それにしても、さすがは日本のサービス。電話応対からしっかりしていたし、段ボールを持って来てくれたスタッフも引き取りに来てくれたスタッフも日本人ではないアジア人だったものの、すごく丁寧。安心して任せられる。預けた荷物が日本の自宅に届くまでには2週間ぐらいかかるらしいからまだ待っているところだけど、心配はしていない。
 

欧州ヤマト運輸株式会社「国際宅急便(別送品)」:
https://www.yamatoeurope.com/japanese/bessouhin.htm

 
一点、日本製のガムテープもあればもっとよかったなあ。フランスで売っている梱包用テープはセロテープの太い版みたいな頼りないものしかなく、心配なので多めに貼り付けておいた。
 

追記:その後、2箱とも無事に自宅に到着。パリで荷物を預けてから2週間足らず、預けた時とまったく同じ状態で届き、段ボール代を含めて合計約7万5千円だった(着払い)。

 
罫線(飛行機・赤)

 

手続きはこんなかんじで、イメージよりはずいぶんとスムーズだったのだけど、出国・入国がなかなか大変だった。パリを去ったのはコロナとは関係ないのに、こんなややこしい時期に当たってしまったのは不運としか言いようがない。次回はこの話から。

2件のコメント

  1. こういう流れなのですね。手続きの流れがわかって参考になりました!
    分かりやすく丁寧に記載してくださり、ありがとうございます。

    1. メッセージありがとうございます。
      特定の人にしか必要のない情報ですが、お役に立てたならよかったです。
      これから帰国されるのでしょうか?気をつけて帰ってきてくださいね。

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