パリジェンヌたちのファッションチェック④

前回の③から約1年半、定期的にやろうと思っていたこのシリーズもまったく当初の予定通りには進まず、ようやく4回目(そしておそらく最終回)にこぎつけた。毎回、夏のスタイルに偏りがちなのだけど、今回も見事にほぼ夏、それも外出制限が解除になったここ1カ月以内のものが中心。確かに去年の秋以来、個人的な事情に加えて大規模なストやコロナ騒ぎがあり、考えてみたらあまり外に出ていなかった。③の更新から2回の冬を越したとはいえ、寒い時期に素敵なパリジェンヌに出会う機会は少なかったということにしておこう。でも、冬は防寒優先の彼女たちのおしゃれ度が気温とともにぐっとアップし、夏の方がチェックしがいがあるのも事実。

 

パリジェンヌ_モンジュ広場

これはもうかなり前の去年の秋ごろ、普段からよく通る5区のモンジュ広場にて。目を引く鮮やかな花柄ブラウスとストレートデニムの組み合わせは、爽やかなのに女性らしさを感じさせる。スニーカーとコットンのトートバッグはお約束。

 

パリジェンヌ_13区

今回、唯一の冬コーデは近所の13区の大通りで目撃。ベーシックなアイテムの組み合わせを足元のロールアップとルーズにまとめた髪でスタイルアップ。ざっくりマフラーにフレーム太めのメガネと、小物も抜かりなく。

 

パリジェンヌ_アルスナル港1

シックな紺のワンピース姿で佇むのは、子供と散歩中の若いお母さん。そのままオペラ座にでも行けそうな洗練された装いが、4区と12区の間にあるアルスナル港沿いの景色にマッチ。バッグにサンダル、ブレスレットと一つひとつのアイテムがどれもスタイリッシュで、セレクトにこだわりが感じられる。

パリジェンヌ_アルスナル港2

そして、無造作にまとめた髪がやっぱりいい。

 

パリジェンヌ_パンテオン

もはや個人的に庭ともいえる5区のパンテオンに向かって歩く、かわいらしい2人組。左は夏のパリジェンヌの定番ともいえる軽い素材のワンピース、右はデニム×トラッドなジャケットのハンサムコーデ。それぞれの個性を表すまったく違ったスタイルが楽しい。

 

パリジェンヌ_12区セーヌ2

12区のセーヌ川沿いをパートナーと散歩中の彼女は、シンプルな黒の上下に映えるリュックが主役のコーディネート。ちょっとレトロな雰囲気のリュックと、女性らしい色気を漂わせるゆるいウェーブヘアが何ともいいバランス。こんなふんわりしたハーフアップも素敵。

 

パリジェンヌ_12区セーヌ1

同じく12区のセーヌ岸にて。さっきのパンテオン近くの女の子といい、こういうペラペラの生地の明るいワンピースを着ている人、こちらには本当に多い。80年代のエリック・ロメールの映画にもすでにこういうワンピーススタイルがよく出てくる。日本だとあまりあか抜けて見えないし、失礼ながらきっと1シーズンしか持たないぐらいのチープなものなんだろうけど、個人的にはすごくフランスらしさを感じる。

 

パリジェンヌ_4区2

最近お気に入りの4区で見かけたのは、何とも爽やかなカップル。白Tシャツにブルーデニム、白のスニーカーと、2人そろってこれ以上ない定番コーディネート。シンプルだけに、シルエットやサイズ、小物の使い方にセンスが出るから、ディテールを観察してみるとそれぞれの好みが分かって興味深い。

 

パリジェンヌ_4区2

5区から4区のシテ島へ渡る橋でも、お似合いの2人を発見。小ワザのきいたシャツにミニスカートとスニーカーを合わせた清楚なヘルシースタイル。ふわふわの髪と上品なバッグでほんのり甘さをプラス。それにしても、並んでいて違和感のない彼氏のセンスもなかなか。

 

パリジェンヌ_バイク

暑い日にもかかわらず、シテ島からバイクで出発するパリジェンヌはレザーのジャケットで。ロールアップしたきれいめパンツとハイカットスニーカーのバランスが絶妙。これが難しいからハイカットにはなかなか手が出ない。

 

パリジェンヌ_12区1

外出制限解除後、12区にある旧国鉄高架線の遊歩道プロムナード・プランテが開放されていなかったので下を歩いてみたら、ラフな普段着姿の家族連れに遭遇。グレーのTシャツとデニムの組み合わせは個人的にもよくやるけれど、なんと足元はビーサン!コットンのリュックといい、飾らないアイテムばかりなのに、全体的に程よくこなれた印象。

 

パリジェンヌ_12区2

遊歩道下をさらに歩いていくと、同じグレー×デニムでも今度は潔いショートパンツ姿。長袖トップスとのバランスのよさ、そして女っぽさを残した髪に脱帽。カジュアルなのに色っぽい、ワザありの着こなし。

 

パリジェンヌ_5区

帰り道の5区で出会ったのは、ナチュラルな髪が女性らしい2人連れ。左の彼女は、先ほどとはまた違った大人のショートパンツスタイル。ブルーのシャツを合わせて軽快に。すらりと伸びたきれいな脚に引かれたのだけど、よく見ると右のお姉さんのベーシックなコーディネートも素敵。

 

パリジェンヌ_ムフタール

観光客の多い5区のムフタール通りで突然目の前に現れた、何とも“正統派”のパリジェンヌ。ジャケットの丈感、デニムとローファーのバランス、縦長のシルエット、そして手に持った本と、まさにフランス映画の中から抜け出てきたよう。何より、姿勢のよさが印象的。

 

パリジェンヌ_自転車

そして今回の一番のお気に入りは、4区のセーヌ川沿いを後ろからすっと追い抜いて行った自転車の女の子。慌ててカメラを構え、何とかとらえられた。ウエストインした花柄のシャツ×ロールアップデニム×ローカットコンバースとスタンダードなアイテムを組み合わせ、可憐かつ軽やかに。この季節と青空にぴったりの清潔感。

 
こうやって4回、パリジェンヌの勝手なファッションチェックをやってきたのだけど、自分が好きな着こなしは一貫していて、全体的には飾り気がないけれど実はディテールにこだわっている「シンプル×エレガント」なスタイル。でもこれってよく考えると、パリの建物と似ているのだ。一見、装飾のない無機質な四角の物体も、細部を観察してみるとテラスのフェンスは一つひとつ凝ったデザインだし、窓枠の色なんかも建物ごとに違っている。たまに窓辺に花が飾ってあり、ベージュに明るい色がとてもよく映えている。そして、そんな建物が集まったパリの街並みもまた、灰色の壁が続いているだけのようでいて、木があり、川があり、店があり、人がいる。シンプルな中に、その雰囲気に沿った彩りがある。街そのものをつくっているそんなセンスが本当に好みにぴったり。自分が美しいと感じるものが形になった街並みやその美的感覚を表現したファッション、パリに強く引きつけられる理由はここにあるのだと思う。
 

 
これは毎回書いていることだけど、日本に帰れば着るものに必要以上に気を遣わなければならない。着たいものを着るのではなく、周囲の目を気にして、周囲の空気から浮かないものを着なければいけない束縛感がある。ここでいったん自由になってしまった以上、以前にも増してそんな社会を息苦しく感じてしまいそう。何より、パリより何倍も暑い大阪でショートパンツをはけないのはつらいなあ。

 
パリジェンヌたちのファッションチェック①はこちら
パリジェンヌたちのファッションチェック②はこちら
パリジェンヌたちのファッションチェック③はこちら

 

プチパリジェンヌ
小さくてもパリジェンヌスタイルで

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