3回目の滞在許可証更新

またこの季節がめぐってきた。年に1度の滞在許可証更新。もう3回目なので戸惑うこともないのだけど、去年は引っ越し直前に郊外で更新したから、パリで手続きするのは初めて。

まずは、今持っている許可証の期限が切れる前にネットで警察署に更新手続きの予約。余裕を持って4カ月ほど前に予約したけれど、それでもすでにいっぱいで有効期限である9月3日には間に合わず、新しい許可証の申請まで2週間ほど期限切れの状態で過ごすことになってしまった。ただ、これはフランスでは普通のこと、予約さえしていればOK。そして、去年までの郊外での手続きと大きく違うのはこの予約日。郊外の場合、予約自体はネットでできるようになったものの、その日は申請書類を提出する日ではなく書類提出日を予約する日で、1回余計に役所に行かなければならなかった。でも、パリは都会。そんな意味不明の手間はいらず、予約日=書類提出日。

申請に必要な書類自体は郊外と変わらず、以下の原本とコピーを持参。毎回この更新時は大量にコピーが必要で、例のめまいによってかなり体調が悪い中、頑張ってコピー屋まで行ってきた。

●パスポート
個人情報ページ、日本で取得したビザが貼ってあるページ、入国スタンプが押されたページ。
●現在の滞在許可証
●出生証明書
日本の戸籍をフランス語に法廷翻訳したもの。7月の一時帰国時に日本で頼んで用意したけれど、結局「もう提出したでしょ」と返され、必要なかった……。高かったのに。
●3カ月分の家賃支払い証明書(大家さん手書きの領収書)
●この1年間に通っていたソルボンヌ・ヌーヴェル大学語学コースDULFの成績表
●これから通うソルボンヌ・ヌーヴェル大学語学コースDUEFの登録証明書
●滞在に必要な経済力があることを示す証明書
こちらで口座を持っている銀行ケスデパーニュのオンライン口座に毎月送付される利用明細(残高記載あり)を使用。
●滞在期間をカバーする健康保険証明書
これも一時帰国中に日本の海外旅行保険を延長。
●証明写真3枚

パリで初めての手続きなので、これらに加えて念のためアパートの賃貸契約書も持参。

学生の場合、手続きは14区のその名もCité Universitaireにある警察署で行う。ここは去年、住所変更の問い合わせで一度行ったことがあったので、場所は分かる。前に住んでいた郊外にも近く、お城のような外観をよく覚えている。
 

14区警察署1

 
ただ、予約がないと門前払いになるので、中に入るのはこの日が初めて。朝10時からの予約時間に合わせて少し早めに着いたけれど案の定、すでに長い列が。
 

14区警察署前の行列

 
前に並んでいた人に予約時間を聞いてみたところ、同じ10時。安心して、というかあきらめてそのまま列につき順番を待つものの、なかなか動かない。前回の記事で書いたように、この日は学校の授業の登録が12時からネットで行われることになっていて、時間が気になる。20分か30分ほど待ったところで、後ろに並んでいた何人かのおかげで実はこの列の右側が学生用の順番待ちラインであることに気づき、前方の入り口付近へ。その学生用の列にはほとんど人がおらず、すぐに入れたのだった。やっぱり初めての場所は勝手が分からない。

とはいえ、中に入ってもずっと順番待ち。まずは受付の前に並び、一人ずつ書類がそろっているかを確認される。そこで問題がなければ番号札とともに奥の部屋に通されるのだけど、ここがまたすごい人。どんなに早くても1時間はかかりそうな予感。今回初めてだったのは、受付で何か書類を渡され、待っている間に記入するよう言われたこと。名前や住所などの基本情報に加え、滞在中の費用の出どころやフランスでの勉強の目的を書く欄がある。郊外ではこんなのはなかったのだけど、パリだからだろうか。そして学生だけなのだろうか。でも、まだフランス語ができない人にとっては、その場でこれを書かなければいけないのはなかなかハードルが高い。

記入を終えてしばらく暇な時間を過ごし、あと2人ぐらいで自分の順番がくるというところで授業登録の12時が迫ってきたので、ドキドキしながらもその場でPCを開き、なんとか登録を終える。結局、呼ばれたのはその30分後ぐらいだった。

今回、心配だったのはやっぱり引っ越しのことで、1年前からパリにいるのに住所変更しておらず、今持っている滞在許可証の裏側には未だに郊外の住所が記載されていること。でも、それ自体については特に何も言われず、代わりに住所を確認するための書類がないという指摘。郊外では有効だった家賃支払い証明書が、ここではなぜか通用しない。念のために持参した賃貸契約書を出して見たけれど、これも効果なし。何といっても、今回は相手が悪かった。担当のお姉さんがまさにフランスの役所のイメージ通り、とっても意地悪。警察署のホームページには家賃の領収書も有効書類として記載されていることや、これまでにすでに2度、この書類で許可証を更新していることを主張して粘ったけれど「無理なものは無理」の一点張り。ここまで待ってようやく順番が回ってきたにもかかわらず、住宅保険か公共料金支払いの証明書を持って出直すよう指示されてしまった……。こういう話、フランス在住者のブログでは本当によく見かけるのだけど、自分が体験するのは初めて。
 

内側から見た14区警察署

 
いったん家に帰ってコピー屋に行き、また戻るのは考えただけでも面倒。でも、ここで授業登録のために持って来ていたPCが役に立った。運よくUSBもバッグに入っている。14区から直接、行きつけの5区のコピー屋に向かい、店前のベンチでネットに接続して一番簡単な住宅保険証明書をUSBに保存、それを印刷してもらい再び14区へ。また追加書類が必要だと言われたらどうしようと不安だったものの、今度は問題なく受け付けてもらえた。大家さんの手書きの領収書などではなく、住所が確認できる公的な書類でなければならないということらしい。未だにアナログな書類社会のフランスだから、もちろん紙で。

それにしてもこのお姉さん、意地悪でも仕事はちゃんとやるのかと思いきや、かなりいい加減。隣の同僚とのおしゃべりに気を取られて、私の書類を作成しながら別件で横に置いてあった別の国の人のパスポートの内容を入力してみたり、写真を2枚渡したのに1枚なくしたらしく「もう1枚ない?」と要求してきたり。「さっき渡しましたよね」とちらって言ってみると「ええ、そうね。でも私、写真を集めてるわけじゃないから。コレクションしてないから!」とすごい剣幕。なくしたんでしょ。だったら素直に認めろよ。

最後にやっと、新しい許可証ができるまでの仮許可証レセピセをもらえたのだけど、住所が間違っている。確かに住宅保険証明書には、自宅以外にも大家さんの住所とか会社の住所が書いてあってややこしいのだけど、指摘しても「あら、違うところ見ていたわ」と謝罪の一つもなし。その住所を確認するために、証明書をあらためて持って来させたんですよね?そしてPCで正しい住所を入力し直すと、こちらに画面を向けて「これで合ってる!?」となぜか怒りを含んだ質問。間違えたのはあなたなんですけど。なぜそんな上から?

結局、すべて終わって外へ出たのは午後3時半すぎ。めまいで倒れそうな中、自分でも本当によく耐えたと思う。でもその甲斐あって、なんと申請からわずか2週間後に新しい許可証ができたというSMSが送られてきた。さすがはパリ、態度は悪いけど仕事は(郊外に比べると)早い。確かに、レセピセの有効期間がこれまで6カ月だったのに今回は3カ月になっていたから、それなりに早くできるんだろうとは思っていたのだけど。
 

レセピセ

 
受け取りは簡単で、指定された金額のtimbreというものをネットで購入し、指定された書類を持って、指定された日時に4区の警察署に行くだけ。
 

 
待ち時間は長く、やっぱり1時間ぐらいかかったけれど、受け取り自体は3分ほど。ちゃんと1年間有効になっている。それに、今まではずっと最初に入国した9月3日が期限になっていたのだけど、今回は申請書類を提出した日が基準になっていて、来年9月16日までと少し長くなった。
 

滞在許可証

 
ところで、フランスの学生ビザには更新の上限回数や上限年数というものはないらしいのだけど、とにかく学校に通い続けなければならない。語学学校の場合は、指定された学校でないと認められない上に更新できる年数が制限されていて、一般的には短くて2年、長くても5年ぐらいが限界。言語の習得に時間がかかるのは、学校へ行っているふりをして働いているからじゃないかと疑われるらしい。また、いったん大学や専門学校に通った後、語学学校に「レベルを下げた」場合も更新は認められないと言われている。つまり、学生ビザで長期間フランスに住み続けるためには、最終的に大学などの高等教育機関に行かなければいけないのだ。

私はすでに語学学校4年目でそろそろ危ないのだけど、今は書類上「語学学校生」ではなく「大学生」だから、今のソルボンヌ・ヌーヴェルに登録している限り語学コースであと1年ぐらいは更新可能だろうけれど、もうこれ以上学校に通うことはできないので、おそらくこれが最後の更新になる。ビザの種類を変えて学生の身分を変更すれば学校に行かずに引き続き滞在することもできるのだけど、そこはどうするか考え中……。

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