パリ20区歩き ―6区―

6区位置

 
パリはセーヌ川を挟んで右岸と左岸に分かれている。北側が右岸、南側が左岸で、すでに歩いた1区や2区があるのは右岸ということになる。右岸はルーブル美術館や凱旋門、シャンゼリゼ大通り、オペラ座などパリを代表するような観光スポットが集まっていて、いつも観光客で賑わっている華やかなイメージ。一方の左岸は、大学や上流階級の人たちが多い落ち着いたイメージとされていて、どちらかというと左岸の方が好みだ。その左岸の最初の地区として、今通っている語学学校もある6区を歩いてみた。
 

レンヌ通り
通りを左側に行くと学校が

 
6区はフランス映画、それもヌーヴェル・ヴァーグのファンなら絶対に訪れなければならないエリア。作品の中に多数登場するサン・ジェルマン・デ・プレ界隈はここにある。この辺りにはかつて、多くの文豪や知識人たちが集っていたといい、フランス文化史にとっても重要な意味を持つ場所。若き日のヌーヴェル・ヴァーグの監督たちも、ここでカメラを回し、議論しながら、それまでになかった新しい映画をつくっていったのだ。

芸術家たちのたまり場だったとして旅行客にも人気なのが、2つの老舗カフェ「レ・ドゥ・マゴ」と「カフェ・ド・フロール」。ヌーヴェル・ヴァーグの作品を見ているとこの2つは本当によく出てくるけれど、今でも文学や映画関係者などの常連客が多いそう。前回初めてパリを訪れたときはうかつにもこの界隈を見逃していて、2軒が並んでいるって知らなかった。イメージの中とまったく同じだ!今は観光客であふれ返っているけれど、どこかにジャン=ポール・ベルモンドやアンナ・カリーナが座っていてもおかしくない雰囲気。
 

 
6区には出版社や書店も多いらしく、作家たちもこれらのカフェで原稿を書いていたとか。それを知っているからかもしれないけれど、歩いていてすごく知的というか学術的というか、いかにもフランスっぽいニュアンスが感じられる。日本で同じような雰囲気を持つ場所ってなかなか思いつかない。
 

 
サン・ジェルマン・デ・プレから北に少し歩くと、セーヌ川に出る。川沿いの景色は本当に美しく、創造力も高まりそう。名物の古本市を見ながら歩くのも楽しい。ところで、セーヌ川にかかる橋の一つに6区と1区を結ぶ有名なポン・デ・ザール(芸術橋)というのがあるのだけど、この橋には興味深いエピソードが。ここに南京錠を取り付けてその鍵をセーヌ川に投げ入れると永遠の愛がかなうと言われているため、恋人たちがたくさんの南京錠を取り付け、その重みで橋が崩れる恐れが出てきた。そのため去年、市が南京錠を撤去したそう。だから今はもうきれいになっているのだけど、どこの国でも似たようなジンクスがあるのだ。この話は日本でもけっこう報道されていたから、知っている人も多いかも。
 

右下画像引用元:http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/02/love-locks-bridge_n_7490140.html
 

 一方、6区の南側にはリュクサンブール公園がある。パリの公園って本当に大きくて、1区のチュイルリー公園も相当な広さだけど、ガイドブックによればこちらのリュクサンブール公園が市内最大だそう。元々はリュクサンブール宮殿の庭園だったそうで、園内にはロダンの彫刻や果樹園などもあるらしい。そしてここでも、たくさんの人たちがくつろいでいた。
 

 
多くの才能が刺激し合い、フランスの新しい文化が生まれていった6区。かといって小難しそうな雰囲気があるのではなく、自由に意見を言い合える大らかさが感じられ、ロマンティックな言い伝えも似合う場所。こんなところに毎日通えるなんて!もしパリに住むなら、やっぱり左岸がいいな。

 

学校近くのショップ
学校近くのショップにかわいらしい食器が!

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