パリでインターネットを契約する

新しい部屋に引っ越して以来、近所を散策するのが楽しみ。5区はよく知っている場所も多いのだけど、この辺りはたまたま、その5区の中でもまだあんまり歩いたことのないエリアで、これからその部分の地図のピースを埋めていけると思うとワクワクする。前に住んでいた郊外は、部屋を出るともう駅に向かうしかなかったけれど、今は東西南北どの方向にも行けるし、どこに向かって歩いてもしばらく行くと突然よく知っている場所に出て、こことつながっていたのか!という驚きと発見でいっぱい。そして途中の景色も、もちろんすべてパリ。
 

近所の景色

 
さて、今回の引っ越しで一番大変だったのはインターネットの契約。前の学生用マンションにはフリーwifiが整備されていて、入居直後から快適にネットが使えたのだけど、このアパートではネットは個人契約。大家さんが手配してくれるわけでもなく、自分でやらなければいけない。でも、今は申し込みもネットを通してできるから、結果的にそれほど難しくなかった。

フランスのインターネットは、固定電話、テレビとセットで契約する「ボックス」タイプが主流。この辺の技術的なことには疎いのであんまりよく理解していないのだけど、このボックスを契約するとネットが使い放題になるのはもちろん、固定電話の通話料が無料になったり、本来は個別に加入する必要のあるテレビチャンネルが多数視聴できたりする。契約は大体、年単位で、1年とか2年ごとに更新。ただし、途中で解約すると解約料を取られる。私は固定電話は使わないしテレビもないから、ネットだけ契約できればよかったのだけど、そういうのはあまりないようで見つけられなかった。でも、フランスではこのボックス契約が安い。

プロバイダーはいくつかあり、主なものはOrange、SFR、Bouygues、freeなど。料金面とサービス面で評判のいいBouyguesにしようか悩んだのだけど、最終的に、すでにスマホのsim契約をしているfreeにしたこの契約については懐かしい記事、フランスで携帯を使うで書いている)。freeは、破格の料金プランでフランスの通信業界に衝撃を与えたことで知られ、ここのsimカードを紹介している日本人のブログもたくさんある。

私が契約しているsimカードは、月19.99ユーロでフランス国内での通話とSMSが無制限、ネット接続は100ギガまでOK。確かに19.99ユーロって安いし、特にこの100ギガというのはあり得ない容量らしく、動画なんかも余裕で見られるぐらいだそう。だから、あまりネットを使わない人なら、このsimプランでPCにつなげば別にボックス契約しなくてもいけると思う。ところが、私のPCの1カ月のデータ使用量は、確認したところなんと150ギガ。これは明らかにテレビだ。前にも書いたけれど、フランスではテレビ番組をリアルタイムでネット配信しているので、私は家にいるときはほとんどずっとネットでテレビをつけている。フランス語の勉強にも有効だし、やっぱり量を気にせずネットを使いたい。新たに通信料金はかかるけれど、freeならボックスを契約するとスマホのsim料金が割引になり、1カ月19.99ユーロが15.99ユーロになる。

ところで、語学学校の生徒たちに聞いてみると、日本人か外国人かにかかわらずテレビを見ているという人がなぜかあまりいない。みんな家でもSNSばっかりなんだろうか。フランスではテレビがあるとテレビ税を取られるけれど、せっかくネットでただで見られるのだから、これを利用しない手はないと思うのだけど。
 

罫線

 
freeのボックスプランは頻繁に変わり、私が見た時点では3種類あって、真ん中の月14.99ユーロのプランをチョイスした。光回線だし、一番高いプランと通信速度が同じだったことが決め手。2年目からは倍以上の料金になるけれど、来年いるかどうかは分からないし。何度も書いている通り、フランスの建物は古いので、光回線もあまり普及していなかったようなのだけど、今は改修の際に回線を設置することが義務づけられているらしく、このアパートは運よく光通信可能だった。これはfreeのホームページで住所を入れると勝手に調べてくれる。

あと、申し込みには固定電話番号が必要とのことで、これも大家さんは知らずに苦労したのだけど、私のすぐ前に入居していた人はネット契約をしておらず、半年以上使われていないから、すでに番号は無効になっているらしい。この場合、ネットでの申し込み時に「電話番号変更」を選択するだけでOK。ブログで情報収集すると、自分でフランステレコムに電話して加入しなければならないと書いてあるものがいくつかあったから面倒だなと思っていたのだけど、freeの申し込みフォームだけで完結。簡単にできた。申し込みが受け付けられると、数日後にその名の通りボックスが送られてくる。上の小さい方はテレビ用なので、実際には箱に入れっぱなし。
 

ボックス

 
ただ、ここまで順調にきたものの、freeにするのをためらった理由が一つある。低価格を売りにしているだけにサービスが悪いらしく、ネット上での評判もよくない。特に、ネット接続は申し込みから1カ月以上かかったと書いている人もけっこういる。それに加えて、このアパートだけなのかどうなのか、線を見えないように配置しなければいけないらしく、回線工事のときには管理人さんに立ち会ってもらう必要があったのだけど、その管理人さんは9月半ばからバカンスに行ってしまうということで、ネットがつながるのは最悪、10月になることも覚悟していた。ちなみに、ずっと以前の入居者が使っていたADSLはこんな風にドアの横に線が引いてあるのだけど、これは本当はNGらしい。
 

ADSL回線2ADSL回線1

 
案の定、ネットで申し込んだ後すぐに自動返信はあったものの、その後連絡がない。そもそも、他のプロバイダーはネット申し込み時に工事の予約ができるようになっているのに、それもない。もしかして、ボックスだけ送られてきて工事は自分で勝手に手配してねっていうシステムなのかもと不安になり、8区にあるfreeのショップまでわざわざ聞きに行った。でも、行ってみて安心。まだ申し込み直後だから手配しているところで、メールで工事の案内がいくはずだとのこと。よかった。このショップに行ったのはフランスに到着したばかりのときにsimカードを買って以来だったけれど、そのときの印象よりスタッフは親切で感じがよかった。

次の日さっそく、言われた通りに工事予約のメールが。見ると、次の週から空いている!しかもそのときはまだ前の部屋に住んでいたから、ネットで困ることはない。結局、8月下旬に申し込んで2週間も経たないうちに予約が取れたのだった。こんなにスムーズだとは予想外!そして、なんと予約前日に、もし都合がよければ今から行けるんですがという電話まであった。残念ながらそのときは別の予定があって断ったのだけど、その電話も丁寧で好印象。

いよいよ予約当日、やって来たのは真面目そうなお兄さん。技術者っぽく口数が少なく、一見、無愛想に見えるけれど、実際にはすごくいい人だった。ただ工事中、くそ!を意味する「Putain!」を連発していたのには笑ってしまったけど。工事には丸々2時間かかり、言葉が通じないだけに気まずい場面もあったものの、まあパリではそんなこと珍しくもないはず。最後は剥がれた壁を塗り直し、掃除までしてくれて、これにはさすがにビックリ。私の中でのfree評価がグンと上がった。少なくとも、パリではちゃんとしている。線も見えないように、この廊下の天井を外してきれいに入れてくれたし。
 

線が隠れた廊下

 
さて、これで心置きなくネットが使える。スピードも問題なく、テレビもサクサク見られて快適。それにしても、海外では本当にネットがないと生きていけない。つくづく、昔留学していた人は大変だっただろうなと思う。日本にいるときは、一日中会社でタイピングした後に家であらためてPCを開く気にならなかったし、そもそもガラケーだったから、プライベートでネットを使うことなんてほぼなくそれで不自由はなかった。でも、今はフランス語の勉強にもサイトやアプリを使っているし、ネットは絶対になくてはならないものになっている。ADSLと光回線の違いを含めた情報収集から始まり、いつまでいられるか分からない部屋のために料金を払って工事までしたけれど、まあここでの暮らしがまた楽になったからいいか。

 

ステンドグラス
建物内のこういう雰囲気を壊さないように

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